悪魔学校バビルスに通う一年『問題児クラス』の女子生徒の一人であるクロケル・ケロリにはもう一つの顔がある。それは魔界において大人気の『アクドル』である『くろむちゃん』本人であるという事。
悪魔には暴力的、加虐的な思想が高ぶる『悪周期』というストレス周期があり、それを抑えるために魔界には数多くの娯楽がある。アクドルもその娯楽を司る重要な職業であるため、人気のアクドルは特に優遇されていてそのために学業との両立が許されているのだ。
とはいえ、アクドルとしてのケロリの活動はハードそのもの……平日も休日も大忙しである。
そんな彼女は今、休日の夜に魔界において大人気の音楽番組にゲストとして生出演していたのだが……。
「そして今夜はなんと、あのデビチューブ界に現れた超新鋭の音楽アーティストであるDJ.MAIRU&イマジナリーシンガーEGIIにも顔出ししなくて良いならばと出演してもらっていまーす」
「どうも」
「厳粛に頼む……」
突如、デビチューブ界に現れたかと思えば代表曲の『SHU☆KU☆NI』を始めに『GEN☆SHU☆KU☆NI』や『BAN☆KEN』などのEDⅯ曲を生み出しながら配信し、そうかと思えばヒップホップやポップやバラードと言った様々なジャンルの音楽の演奏曲や歌を配信し続けている現在、人気の音楽アーティストであるDJ.MAIRUとして顔には道化のような仮面をつけて隠している入間が居た。
肩にはモフエゴの人形を乗せて『EGII』として腹話術で喋らせている。
「(なんであんたが出演しているのよぉぉぉぉっ!?)」
という訳でケロリにとってはものすごく気まずいし、やりづらい状況となっていた。
「今までこういった番組出演はしなかったのにどうして、出演していただけたのでしょうか?」
「そ、それはくろむちゃんの事を尊敬しているからです……」
「立派な者には敬意を表さねばな」
「あ、あはは……ありがとうございますMAIRUさん。EGIIさん」
入間は途轍もなく、ハイスペックなためにケロリは自分の正体がバレないように気を配りながら礼を言った。
「それにしても、MAIRUさんは幅広い音楽の才能をお持ちですね」
「自分、音楽しか取り柄が無いので……」
「本当に駄目だからな、音楽以外は」
「(あんた、そのキャラでやるのね……本当、良くもまあ、そんな……)」
普段と打って変わって人見知りなキャラを装う入間にカルエゴとの普段のやり取りを思い返しつつ、ケロリは突っ込んだ。
「ところで最初の方で三曲ものEDMを配信しましたが、曲名には共通点があるのですか?」
「自分、ナベリウス家をリスペクトしていますので」
「厳粛に評価して、そうするに値するからな」
「(あんた寧ろ、ナベリウス家の中の一人を曲名も含めて思いっきり虚仮にしまくってるでしょうがぁぁぁぁっ!!)」
とまぁ、こんな感じで入間の受け答えには普段の学業生活で彼を知る者からすれば突っ込み所しか無かった。
「(うう、本当に才能だけは凄すぎる……)」
それでも生演奏&生歌は正に魔才というしかない超絶的なものだったのだが……。
「サインと握手……ありがとうございました」
「改めて敬意を表する」
「いえいえ、これからも頑張ってください。それと応援よろしくお願いしますね♡」
収録後、ケロリはくろむとしてのサービスをして入間はそれに対し、喜んでいたが……。
「それじゃ……明日は学校なんだからお互い、寝坊しないように気をつけような。
「あ、うん。そうだね……イルマさん」
手を虚空へと翳すと直後に魔方陣が出現し、サリバン邸が見えるゲートに変化し入間は手を振りながら呼びかけたので思わず、ケロリは学生として応じてしまい……。
「って……ちょ、バ、バレてたぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ゲートを通って入間が姿を消し、ゲートも消えるのを呆然と見ながらも瞬時に気づいてしまい、ケロリは入間が自分がくろむとバレていたのに驚愕する。
ヤバい、弄られてしまうと絶望に近い心境でいれば……。
「で、電話……も、もしもし?」
「心配しなくてもアクドルとしての活動に支障が出る事はしないし、弄ったりもしないから安心しろ。むしろ、お前の所の社長に色々と仕事を持ちかけられているからそれを通じて協力も応援もしてやるよ。じゃあな」
「……ほっ」
入間からの電話により、安堵したケロリであった……。