悪魔学校の新入生にとっての
その時に入間は自分が所持している『悪食の指輪』と同じ素材を使った首飾りをしている『魔具研究師団』に所属し、団長でもある3年生のアミィ・キリヲと出会ったのだが、首飾りとの共鳴染みたそれによって彼の内面を察知出来ている悪食の指輪の化身であるアリクレッドからの意見、そして修羅場を潜り抜けてきた中で視認対象が危険であるかどうかを見抜くことが出来る自分の観察眼にて入間はキリヲが危険悪魔だと判断した。
それを片隅に置きながらも『1年生争奪戦』が終わった後……自分の教室に戻り……。
「し……ん、んんっ……先程師団による1年生争奪戦が行われたが……」
カルエゴはホームルームにて口癖である『粛に』を言おうとしたが、入間がなにやら考え込んだ様子を見せながらも小型のターンテーブルを使って、『SHU☆KU☆NI』を演奏しようとしたので急いで取りやめ、そのまま用件を告げる事にした。
「勧誘されなかった者、勧誘されたが断った者達のためにこれから3日間、師団見学が設けられている。各自、どの師団に入るか真剣に見て回れ。良いか!! 師団は位階昇級に関わる重要な選択だ。適当に決めるなよ、アホ共っ!!」
そう生徒達に言った後、カルエゴは入間へと近づき……。
「さあ、イルマ。何やら先程から考え込んでいたようだが何を考えているか、何をしようとしているのかを直ぐに言え。どうせロクでも無い事しか考えていないし、ロクでもない事しかやらんのだからな」
最近、得た入間が自分に対する弄りをしようとするのを胃痛や胃の疼きで察知出来る(察知出来るだけ)能力が発動しているからこそ、カルエゴは入間へと問いかける。
「……っ!? い、嫌ですねぇ、先生。そんな、まるで俺が先生にとって一番の問題児みたいな言い方するなんて」
「ああ、喜べ。貴様は私の生涯にとって間違いなく一番の問題児で問題児の中の王だ。だから、毛ほども信用も信頼もしておらんっ!!」
「……う、うぅ……うわぁぁぁぁん。酷い、あんまりだっ!! 今の発言で僕の純粋で綺麗な心は傷つきましたっ!! なので、この心の傷を癒すためにカルエゴ先生が生徒達に対して厳粛に審査するようにこの学校にとって塵である師団をぶっ潰しますね。そう、カルエゴ先生の名を掲げながらっ!!」
カルエゴの意見に対し、軽く涙声になりながら入間は堂々と自分のやろうとしている事を宣言した。
「やはり、ロクでも無い事ではないかぁっ!!!! 少し大人しくして……「ほい、指パッチン」っ!?」
入間を取り押さえようとしたカルエゴに対し、入間が指を鳴らせばカルエゴはモフエゴとなり……。
「ふふ、捕まえましたよ。モフエゴ君」
「わぁ、本当にモフモフだねこの状態の君は」
「オペラ先輩どころか、シチロウまでだとっ!?」
瞬時にどこからか登場したオペラとカルエゴにとってはバビルス学生時代からの友人であるバラム・シチロウに捕らえられ、モフモフタイムを始められていた。
「オペラさん、バラム先生。ご存分にモフエゴ先生でのモフモフタイムをお楽しみください。そしてモフエゴ先生、その状態は俺が許可するまでそのままなのでご安心くださいっ!!」
「安心できる要素が微塵も無いわ、馬鹿者っ!!」
「まぁまぁ、観念してモフモフしましょうよ。モフエゴ君」
「そうだよモフモフ……僕は前に君の特訓に付き合ったんだからモフモフ……お返しはモフモフ……すっごくモフモフっ!!」
「ふ、二人とも……特にシチロウ、お、おお、落ち着けぇぇぇっ!!」
入間が告げるだけ告げ、サムズアップをしてクラスメイトと共に姿を消す中、ピギャアアアと悲鳴を上げつつモフエゴはオペラとバラムにモフモフされ続けるのであった……。
2
斯して、今日から3日間、新入生が所属する『師団』を決めるための師団見学は始まった。入間はアリスにクララ、エリザベッタと共に各師団を回りつつ……。
「あれれー、おかしいぞぉ。素人の俺が先輩たちに勝てるなんてぇ」
「ぐばああああっ!!」
「俺、馬鹿だから良く分からないんですけど、これってこういう事なんじゃないですか?」
「こっちこそ、馬鹿ですんませんっ!!」
「もしかして俺、又何かやってしまいましたか?」
「ぎぃえええええっ!!」
「『俺の元には必ず幸運が舞い込む、さぁ俺の幸運に勝てるかな?』って言っといて……ぶふ」
「ぐばあああっ!!」
それぞれの師団にて入間は自分の100年に一度どころか万年でもそうは生まれない超絶的な……相手からすれば最早、家系能力か何かであって欲しいぐらいの『才能』を振るい、それは理不尽であり、不条理、超絶的な暴力となって師団所属の悪魔たちを心身から打ち負かし、多数の師団を壊滅、あるいは再起不能に追いやっていた。
しまいには『
家系能力として自分の行動に置いて必ず幸運を招き寄せる彼と入間は遊戯で勝負し、素で勝利さえしてしまった。
ともかく、カルエゴに言ったように師団潰しさながらの事をやりながら入間は師団見学を続けていき……。
「いやぁ……俺が入れそうな師団は今の所、無いな」
「えぇ、流石は入間様です。まさか、何事においても初めての状態でさえ、師団所属の者達を上回る才能をお持ちとは……」
「入間ちは超魔才だね」
「才能って怖いものでもあるって初めて知ったわ」
そんな会話をアリスにクララ、エリザベッタとしながら次の目的地へと向かっていた次の瞬間。
「うおっ!?」
突如、目的地の部屋から大爆発が生じたので驚きつつ、向かえば……。
「けほけほ、げほっ……ああ、失敗や~」
目的地であった『魔具研究師団』から生じた大爆発の煙が消えると口から血を吐いたキリヲが姿を現した。
「えっと、見学に来たんですけど全然、大丈夫じゃないですね」
「い、急いで手当をっ!!」
「ふらっと死にそう」
「こらこら駄目よ、クララちゃん。そんな事言っちゃ」
ともかく入間達は魔具の調整に失敗した事でぼろぼろなキリヲを手当てし、落ち着いたところで見学を始めたのだが……。
「これは魔力を込めると光る玉、こっちは動く人形や……げ、限界」
魔具の実演をするものの、生来身体が弱く、弱小の魔力であり、位階も2であるキリヲは魔具を少し動かすために魔力を使った途端、吐血し更には息を切らせていた。
「それで……これが先輩が調整をミスった魔具か。見た所……魔力を増強するためのものですね?」
「おお、良く分かったなイルマ君。その通り、これは僕の試作品こと魔力増強魔具『ガブ子ちゃん』や。でも、扱いが難しゅうてなぁ「はい、これで良しっと」
……嘘やーんっ!!」
キリヲの話を聞きながらガブ子ちゃんのパーツが片隅に転がっていたのでそれを弄ってハート型の部品を完成させて組み込み、そのまま起動すると実験代わりに魔力を込めると光る玉を使うと大きく発光した。
「おお、見事ですね」
「凄く綺麗―!!」
「惚れ惚れしちゃうわね」
その発光にアリスにクララ、エリザベッタが惚れ惚れとする中……。
「ホンマに凄いなぁイルマ君。魔具を自作してるいうたけど、こういうのも作った事あるんか? 他にどんな……」
「とにかく、落ち着きましょう先輩。じゃないと……」
「ゴフっ!!」
「ほら、言わんこっちゃない」
興奮しながらキリヲは入間へと詰め寄るも興奮の反動で吐血してしまう。ともかく……。
「僕はな、魔力が無い悪魔でも使うと活躍できるそんな魔具を作りたい。弱い悪魔でも高位階の悪魔とも競えるような魔具でこの魔界を生き抜けるように……いつか魔界の位階社会、上下関係を無くせる様にしたいねん」
キリヲは魔具を作る理由を、自分の野望を入間達に語った。
「良い野望だと思いますよ」
「はい、中々考えさせられる意見でした」
「良く分かんないけど、良いと思う」
「とても優しいんですね」
入間達はキリヲの野望を称賛した。そうして魔具研究師団の見学を終えて入間たちは次に『生徒会』を目指すその一方で……。
「(バラム先生、どうでしたか?)」
魔具研究師団に行く際、念話を通じて入間は家系能力として観察相手の嘘や不正を瞬時に察知出来るそれを活用して、普段は悪魔たちにおいての長期のストレス発散期間である週末日前のテストの際に魔力を学校全体に水面のように広げて生徒たちのカンニング行為を監視しているバラムにキリヲの事と魔具研究師団の事は伏せて家系能力の使用を頼んでいた。
そして……。
「(……入間君たちが話をしたという人物は途轍もなく、危険だ。関わらない方が良い。そして、要監視対象にすべきだから誰なのか、教えてくれないかな?)」
バラムは真剣な態度で入間へと呼びかけた。
「(……それなら僕がしますよ。そして念話はこれからもしますし、万が一の時は助けを呼びますのでよろしくお願いしますバラム先生)」
それだけ言うとバラムとの通話を切って、生徒会へ……。
「おお、良く来たなって……何かあったか?」
「はい、少し耳に入れておきたい事が……」
そうしてアメリと話合いをすると……。
「新入団員がよ、4人も……ぐふぅっ!!」
「キリヲ先輩ぃぃぃぃぃっ!!」
入間はアリスにクララ、エリザベッタと共にキリヲが団長の『魔具研究師団』に入団したのであった……。