時間は師団見学の時、入間が最後にアメリが会長である『生徒会』の元へと行き、二人だけでの話し合いとしてアメリに対し、『魔具研究師団』の団長であるアミィ・キリヲが要注意悪魔である事を報告した。
「念のため、バラム先生にも家系能力を使っていただいて確認してもらったので間違いは無いと思います。なので少し、探ろうかと」
「なっ、そんなこと生徒会長として認める訳がないだろうっ!!」
アミィ・キリヲが何らかの行動を引き起こすかもしれないから『魔具研究師団』にスパイとして所属する気だと伝えるとアメリは個人としてもそして、生徒会長の立場からも入間の行動を容認できず、当然の如く、咎めた。
「すみません、そう言われるとは思っていましたよ。ですが、キリヲ先輩の事はバラム先生だけじゃなく、カルエゴ先生や爺さんにもちゃんと報告しますしそれに結局のところ、探らない事には始まりません。それに他者の判断ではあるので性質が危険であってもキリヲ先輩本人は善良なんて事もあるかもしれませんから……俺も理事長の孫としてこの学校を守りたいし、学校に危険があるかもしれないのに何もしないなんて事は性に合いません。だから、どうか協力お願いしますアメリさん」
入間は心底、アメリに対し申し訳ないという態度と言葉で言い、最後には頭を深々と下げた。
「し、しかしだな……」
「重ね重ね、お願いしますアメリさん。これが解決したら『生徒会』に入団して会長の言う事を
悩むアメリに入間が取引を持ち掛けた。
「む、むぅ……な、なんでも……」
元々、入間を生徒会に勧誘する気だったアメリは入間からの取引に考えに考え……。
「危険だと判断したら即座に撤退するのだぞ、そして教師だけでなく、私にも活動中による状況の仔細を報告しろ。良いな?」
「はい、それは必ず……無理を聞いてくださり、ありがとうございます」
長い話し合いの結果、アメリは入間のスパイとしての『魔具研究師団』の所属を認めたのである。
そして……今夜、もうじき開催される師団披露前の準備を泊まりで行っている師団がいる関係で『生徒会』も各々の師団の巡回やら活動をしていた。
『カルエゴ理事長代理によるアミィ・キリヲの確保完了』と入間による連絡がアメリのス魔ホに入った。
「そうか、終わったか……長い間、お疲れ様。直接話を聞きたいからいつもの場所(談話室)に来いっと」
見回り中にメールが来たのでアメリはそう、返信した。すると『少し休憩してから行きます』と入間が返信してきたので最後に屋上の見回りを済ませて談話室に行こうとしていたアメリだが……。
「っ、そこに居るのはだ……イルマ?」
屋上に辿り着けば、先客が居て師団披露の準備が行われている中庭を見下ろしている者が居たので問いかけながら、近づけばそれは入間だった。
「アメリさん、見回りしていたんですね。まさか、ここで会うなんて……っ!?」
入間はアメリが屋上へとやってきたのは彼女が見回りをしていたからだというのを把握すると苦笑を浮かべながら、近づいたが突如、その身体が倒れ始める。
「イルマっ!!」
アメリは瞬時に入間へと近づくとその身体を抱き止め、完全に倒れ切るのを防いだ。
「す、すみません。思ったより気が抜けちゃ……うぐっ、ええええっ!!」
またも苦笑しつつ、大丈夫とアメリの体から離れようとした入間であるが突如、下に向かって空嘔吐く。
この原因としてはキリヲの目的が『師団披露』の際にバビルスを破壊すると予想出来たからこそ、そうさせないように徹底的に周到に、かつ臨機応変に対応できるように幾つもの対策をしながらも用心深すぎる程に集中と警戒していたが故の自分自身への重圧の反動、更に一番負担があったのはキリヲから全ての情報を引き出すために『元祖返り』である彼の凄まじく醜悪であり、邪悪に過ぎる精神面に侵入したが故の反動である。
それによる心身の消耗を耐えきっていた入間だがアメリとの接触による入間本人も自覚していない安堵感によるものから、彼の言ったように気が抜けた事で一気に消耗による影響が出てしまったのである。
「ぐっ、す……「良い、耐えるな。そのまま、収まるまで嘔吐け」うえ、えええっ!!」
口元を押さえて嘔吐くのを堪えようとする入間に対し、アメリは彼の手を抑えて指示をし、入間の背中を擦り始める。
そうして嘔吐く事、十分近く……。
「はぁ、はぁ、はぁ……も、もう大丈夫です……迷惑かけてすみません」
「本当に大丈夫か?」
ようやく吐き気が収まった入間はアメリに対し、そう言った。アメリは問いかけつつ、入間が嘘をついていないかなど様子を観察し、無事のようだと判断すると……。
「イルマ、あれほど無理をするなと言ったのに……約束を破ったな」
イルマの頭を両手で捕まえるとそのまま胸へと引き寄せた。
「……すみません。でも、俺は怖かったんです。俺だけが危険な目に遭うのは良い……でも、俺の関わる人たちが危険な目に遭うのは耐えられないし、許せません。だから……」
「何がだからだ……それで自分の身を酷使しては元も子も無いだろう。それに逆にお前が危険な目に遭うのを耐えられない者が居るとは思わないのか?」
アメリは入間を胸に抱きながら姉が弟に言い聞かせるように言葉をかけ、問いかける。
「……それは……」
「お前は確かに優秀な悪魔だが、同時に問題もあるな。『生徒会』に入ったら覚悟しておけ。そうした性格はしっかりと矯正してやるからな」
「……はい」
「しかし、それはそれとしてだ。良くやったな、イルマ」
申し訳なさそうにしている入間に対しアメリは甘く優しい言葉を送って、彼の頭を優しく撫で始める。
「あ、アメリさ……」
「本当に良く頑張ったよ、お前は……」
「う……あ……」
次々に甘く優しい言葉を送り、頭を撫でるアメリの行為に入間は嬉しそうにしながら受け入れ、身を委ねていく。
「ふふ、眠そうだな。構わん、今はしっかりと休め」
「は……い……」
そうして入間はアメリからの甘やかしによって気を抜き切り、眠りに落ちて行った。
少し時間が経過して早朝間近、入間は目を覚ますと……。
「(ど、ど……どういう事だぁぁぁっ!?)」
アメリ専用の仮眠室にてアメリの抱き枕となっている事に入間は激しく混乱した。
「ふふ、イルマよ。お前の抱き心地は中々良かったぞ」
「……か、揶揄わないでくださいよ……」
混乱に陥る中、気分良さそうに目覚めたアメリから艶やかな笑みと共に声をかけられ、入間は悶絶さながらの反応を見せつつ、そう言うしかないのだった……。