魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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三十四入

 

 

 バビルスにて活動する多くの師団の中の一つに『魔王師団』が存在する。その活動内容としては魔王に関する文献をひたすら読みふけって考察するというもので現在、『師団披露』の本祭における出し物としては……。

 

「我は天遍く存在の王、消失の魔王デルキラである!! ひれ伏せいっ!!」

 

『魔王師団』が用意した天幕の中でデルキラに扮したサブノックが演劇をしていた。

 

 彼こそは過去の魔王の逸話を舞台で披露するという『魔王活劇』の主演で長身と筋骨たくましい身体もあって実に様になっているし、本人が魔王に憧れているのもあってノリノリである。

 

 そう、サブノックは『魔王師団』に所属しているのだ。脳筋思考な彼を知る者からすれば意外でしかないが、実のところ、家にある魔王に関する文献を読むためにサブノックは勉強していたり、魔王に知識は必要だからとやはり、勉学にも励んでいるので普通に頭脳は優秀だ。

 

 そして、最初こそ魔王の字に惹かれたものの、『魔王師団』の活動内容もサブノックに合っていたので今ではすっかり、魔王師団の者と仲良くやっている。

 

 

 

 

「いやぁ、中々様になってるじゃないか。本当、背高くて筋骨逞しいのが羨ましい」

 

 サリバンにオペラと師団巡りをしている入間は『魔王活劇』を見ながら、そんな事を呟く。

 

 実のところ、魔術などの改造で自分の背を伸ばし筋骨逞しくしようと考えた入間だがそれは負けを認める事にもなりそうだったし、後、サリバンとオペラにも猛反対された。

 

 現に……。

 

 

 

 

 

「入間君はそのままで十分、素敵だよ」

 

「そうですよ、今のままのイルマが一番です」

 

「あうあう……」

 

 入間の呟きに対し、サリバンとオペラが両脇から抱き着きながらそう言ったのだった。

 

 ともかく、劇が終わった後に入間はサブノックの楽屋へと行けば……。

 

「ヒュー、イカしてたよ兄様ーーっ!!」

 

 サブノックの肩に乗りながら、元気いっぱいにいうのは金髪逆立て、活発な印象を受ける少女であるサブノック・サブロの実の妹であるサブノック・シルビアであった。

 

「ああ、中々の役者ぶりだったなサブノック。そっちが例の妹さんだな」

 

 サブロへと言う入間のそれは良く、サブノックの背中に登っているクララに対しサブロは慣れているような反応だったので問いかけた際に『妹がよくやっているからな』と答えた事でサブロに妹が居るのを知ったからだ。

 

「ハッ、妹のサブノック・シルビアであります。兄様は中々、実家に戻られないので会えて嬉しいっス!!」

 

 シルビアが入間の問いに応じながら、笑顔を浮かべて入間にそう言った。

 

「それはなによりだ」

 

「一人で来たの?」

 

「いえ、一番上の兄と一緒に……でも二秒ではぐれたっス!!」

 

「先に言えっ!!」

 

 サリバンの問いに呑気に答えるシルビアにサブロは突っ込んですぐに探そうとしたが……。

 

「ちょっと待て、一々探すのも面倒だろう。手伝ってやるよ」

 

 そう言って入間はサブロを呼び止めると呪文を幾つか唱えながら、両手を叩き合わせて広げると共に大きめな魔方陣を構成し、両手を押し出すようにして虚空に魔方陣を留めてみせた。

 

「後はそれに手で触れながら、お前が会いたいと思う者をイメージすればそいつが居る場所へのゲートが開くぜ」

 

「おお、そうかすまんな。我がライバルよ、恩に着るぞ」

 

 入間の言葉を聞いたサブノックはその通りに行動すると魔方陣が穴となり、その先に……。

 

「サブロにシルビアっ!?」

 

 サブロとシルビアの兄が突如、ゲートが出現しサブロとシルビアの姿が見えるのに驚愕した。そのまま、サブロとシルビアはゲートを通って兄の元へ向かう。

 

 

 

「じゃあ、後はごゆっくり」

 

「ああ、本当に感謝する」

 

「ありがとうございましたっス」

 

 入間はサブロとシルビアの礼を聞くと、ゲートを消したのであった。

 

 

 

 

「流石、入間君頼りになる~!!」

 

「お見事です、入間様」

 

 そうしてサリバンとオペラに褒められながら入間は師団披露巡りを再開し……。

 

 

 

 

 

「ピギャアアアアアアッ、も、もう勘弁してくれぇぇぇっ!!」

 

 

「お、お許しくだせぇぇぇぇっ!!」

 

「いやぁぁぁぁ、うちが潰れるぅぅぅぅぅっ!!」

 

「師団潰しだ、師団潰しが現れたぞおおおおおっ!!」

 

 

 次々に阿鼻叫喚となる師団たち、それは入間とオペラがいつも以上にテンション上げて参加型の師団の出し物に参加し、景品を収穫する事によるものだ。

 

 もっとも子供に譲り渡したりもしたが……これによって、自分たちの出し物を潰される師団は戦々恐々となって一時的に避難するわ、絶望して項垂れるわで混沌となっていく。

 

 

 

「行かんぞ、絶対に行かんからな」

 

 カルエゴは胃がいつも以上に疼くし、傷む事で入間がロクでもない事を合っているのを感じて絶対に関わらない事を決めたが……。

 

「(後でたっぷり、しっかり弄りまくるのでご安心ください。カルエゴ先生)」

 

「(こいつ、直接私の脳内にっ!!)」

 

 入間からの念話にやはり、自分に対してロクでも無い事をしようとするのを感じて用意していた胃薬を開けにいく。

 

「(ああ、勿論。貴方もですよオリアス先生)」

 

「いやあああああっ!!」

 

 何を安心しているんだとばかりに告げる入間に対し、オリアスは悲鳴を上げてカルエゴから譲ってもらった胃薬を開けに向かったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 そうして夜中となり、自分の出し物をサリバンとオペラに披露したりする入間は……。

 

 

 

 

「良いなぁ、イルマくんとこは」

 

「自慢の家族だろ」

 

 入間にサリバンとオペラが団欒しているのに対し、リードは自分の姉が寝坊した事でジャズは自分の兄に財布をすられたと嘆きつつ、入間に対してそう言ったのに対し……。

 

「ああ、()()()()()()

 

『っ!!』

 

 サリバンとオペラの手を取りながら言う入間にサリバンもオペラも喜んだ。この師団披露を通し、入間はサリバンとオペラを家族以上の存在と認めたその証明である。

 

そうしてこの後は写真を取りに行き、更に……。

 

「さて、それじゃあ最後に大きな事やりに行くから期待してくれ、爺さん。オペラさん、後で手伝い頼むのでよろしくお願いします」

 

 そうサリバンとオペラに言うと本祭向けのビックサプライズを披露するためにアリスにクララ、エリザべッタと共に何処かへと行き、事前に相談しながら打ち合わせていた()()()()()にも連絡をしたのだった……。

 

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