魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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四十一入

 

 

 

 今日はバビルスの()()()()()()にとっては重要な事が行われる日であった。というのも……。

 

「いやー、楽しみだなー。くろむちゃんの魔苦針ドームでの朝昼晩(いちにち)ライブの配信。実際に見れたら一番良いけど……」

 

「仕方ねえよ。チケットはいつも即完売するくらい競争率激しいんだから……」

 

「いや、案外……師団披露の本祭で呼んだくらいにくろむちゃんと親しい入間君ならなんとかしてくれるやもしれません」

 

「いやいや、幾らなんでも散々、良くしてもらってるのにこれ以上頼み事したりするのは気が引けるでござるよ」

 

 ホームルーム前の問題児クラスの教室にて生徒会の仕事から帰ってくる入間を待つアリス、クララ、エリザベッタの傍ら、リードにジャズ、カムイにガープが今日、開催される人気アクドルのくろむちゃんのライブについて話をしていた。

 

 無論、入間についての話になるとアリスがどう反応するかが怖すぎるので小声にはしたが……。

 

「はーい、皆注目!! 知ってる奴は知ってる通り、今日、魔苦針ドームでアクドルくろむちゃんの朝昼晩ライブがある。まあ、晩の部では俺もDJ.MAIRUとしてゲスト参加するんだが……ともかく、くろむにはバビルスの師団披露本祭を盛り上げてもらったからな。ケロリが居ないのは残念だが、残りの皆で応援しにいくぞ」

 

 入間は教壇前に行くと手を叩いて注目を集めながら、皆へと話しかけると11枚のくろむの朝昼晩ライブの晩の部のチケットを掲げながら言った。

 

『一生、ついて行きますイルマ様ぁぁぁぁぁっ!!』

 

 リードにカムイ、ジャズにガープは入間へと駆け寄り、平伏するのだった……。

 

 

 

 因みに入間がチケットを渡したのは問題児クラスの面々だけでなく……。

 

「普段、良くしてもらっていますのでこういうのはどうですか?」

 

「ほう、アクドルのチケットか」

 

「超人気アクドルと関係しているなど、どういう人脈なんだ」

 

「うわぁぁ、凄い!! くろむちゃんのライブのチケットだ。僕、ファンなんだよ。ありがとう、イルマ君!!」

 

「プレゼントされたら、行かない訳には行かんな」

 

「私もくろむちゃんのファンなんだ。ありがとう」

 

生徒会の面々にも渡しており……。

 

「ん」

 

「え、あ、これは」

 

 食堂にて密かにエイコにもチケットを渡し……。

 

「はい、オリアス先生にバラム先生にロビン先生。ちょっとした息抜きにどうぞ」

 

「くろむちゃんのチケット!? 師団披露本祭でもゲストとして呼んでたけど本当にイルマ君は色々と凄いなぁ」

 

「うーん、僕が行くとライブのお客さんを怖がらせそうだけど、まぁなんとかして行くよ」

 

「わーい、くろむちゃんのチケットだぁぁ。ありがとう、ご主人様!!」

 

 オリアスは驚愕し、溜息を吐きながらチケットを受け取り、バラムも思案に暮れながら受け取り、ロビンは調子良く喜びながら受け取った。

 

そして、カルエゴは絶対に入間からは受け取ろうとしない事が分かり切っているので……。

 

「カルエゴ先生と楽しんでください。モモノキ先生」

 

「いつもいつもありがとう、イルマ君」

 

 モモノキにペアチケットを渡す事でカルエゴがくろむのライブに来るよう、仕向けたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔界にある中でも屈指の大きさである魔苦針ドームにて今日、アクドルのくろむによる朝昼晩ライブが開催されていた。朝の部が終わり、昼の部が開催される前……。

 

「これで準備良し。それじゃあ昼の部、頑張れよ」

 

「うん、ありがとう」

 

 入間はくろむの控室にてメイクアーティストとして化粧をし、彼制作のくろむのための衣装を着たくろむを見やると満足気に言い、アクドルのくろむとして活動するため、今日は学校を休んでいるケロリは頭を下げた。

 

 尚、今回だけでなく入間は前にケロリに言ったように彼女のアクドル活動の支援も行っていて、マネージャー以外のメイクアーテイストやスタイリスト、楽曲提供や振り付けなど身近な事を全部、やっていた。

 

 余りの働き振りにケロリの事務所の社長とマネージャーであるマルは……。

 

「全部、一人でやるとかもう、これスタッフいらないのぅ」

 

「くろむ、彼は一体……何者なの?」

 

 社長は呑気に呟くしか無く、マルはくろむへと入間の事を聞く事にする。

 

「そんなの、私が一番知りたいです」

 

 もっともくろむもそうとしか、答えられなかったが……。

 

 ともかく、そうしてくろむのライブの昼の部は無事、終了し晩の部も開催され、入間はDJ.MAIRUとしてゲスト参加する事でライブを大いに盛り上げたが……。

 

 何曲目が終わり、会場全体が暗くなり、闇に包まれる。これはくろむが衣装を着替えつつ、小休憩を挟んで次なる曲に移行するためなのだが……。

 

 

 

 

「え、魔ペラの曲?」

 

「暗き闇のアリアだな」

 

 

 誰かが魔ペラの曲である事を言い、違う場所ではカルエゴが補足する。

 

 突然、静かに魔ペラの演奏が始まり始め、完全なる闇を僅かな照明が照らすとそこには闇を纏うかのように漆黒のヴェールとドレスを着て顔も姿も分かりづらい何者かが居たが……。

 

「Aaah♪」

 

暗き闇のアリアは超ハイトーンで歌わねばならない部分があって難しい曲なのだが漆黒の衣装纏う者、声色から女性だと判断できる彼女はその至高と言ってもまだ足りなすぎる程の美声で歌い、観客を声だけで魅了する。

 

「Shh」

 

彼女は歌い終わるとゆっくりと右の人差し指を口元へと運び、静かにするよう吐息混じりの妖艶な美声を出し……続けてドレスを破り捨てる様に脱ぎ、露出的な黒いアクドル衣装と小柄な少女としての身体を晒すと共に重低音であり、電子音が鳴り響くと歌い出す。

 

 

『邪悪な女悪魔』

 

 

白い衣装を飾りたいの、貴方の血でね

 

貴方が寝ている間も容赦なく貪るわ

 

だって貴方は私の供物

 

その身体どころか魂すらも私の物なの

 

私の愛が欲しいなら 私の欲を満たしなさい

 

それが取引、それが対価よ

 

だって、私は邪悪な女悪魔だもの。

 

さあ、取引よ

 

 ヴェールで顔は隠しながらも女性は美声と妖艶であり、美しい舞踏を会場で披露しつつカメラやら前席まで移動すると誘惑する仕草にて虜にしていく。

 

 

「う、あ……」

 

「お、おお……」

 

 

 そして、演奏が終わると……。

 

「ハッ」

 

 嘲笑うかのような吐息と共にヴェールを剥ぎ取ると……。

 

「私はアクドルのリン、貴方たちに教えるのはそれだけ」

 

 黒い長髪に頭の頂点には触角の如く立つ髪もある妖艶で美しき少女がそう言った。

 

 尚、リンの正体は実は髪を長髪にし、色は黒に染めて女装した入間である。

 

『リ、リン様ぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

 

 そして、観客たちは歓声を送った。

 

 

 しかし、とある者たちはリンを見て直感で正体を感じ取った。

 

『入間に似てる……』

 

 アメリにスモーク、クララにエリザベッタ、エイコと入間に恋する女性陣と彼に敬愛を捧げているアリス。

 

「ふふ、成程」

 

 VIP席にてサリバンと共に見ていたオペラ。

 

「まさか、うん……まさかだよ」

 

「え、もしかして入間君?」

 

 オリアスは何となく、バラムはその観察力からリンの正体を察し……。

 

「(知らん、私は知らんぞ)」

 

 カルエゴも察したが、知らぬ存ぜぬで行くことにした。

 

 

「私のステージで暴れないでくださいよ。リンさん?」

 

「隙を見せる方が悪いのよ。ほら、デュエットいくわよ」

 

 ちょっとしてくろむがやってきて苦言を呈したりするやり取りはあったがライブの最後にくろむの曲である『キミの小悪魔 黙示録』をデュエットで行い、リンの妖艶なる美とくろむの可憐なる可愛さを相乗させる事で会場を満たした。

 

『ワアアアアアアアア!!』

 

 

 こうしてくろむの朝昼晩ライブは配信のそれも含めて今まで一番の盛況となり、超大成功を収めたのだった……。

 

 




 暗き闇のアリアはイメージとして『夜の女王のアリア』。

 邪悪な女悪魔はビリー・アイリッシュの『bad guy』です。


 ビリー・アイリッシュは良いぞ(露骨な布教)

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