魔界に住む悪魔たちにとっての長期休暇である『終末日』が近い学期末、バビルスでは終末試験というものが行われる。
試験の科目は『占星』、『魔歴』、『薬学』、『拷問』、『魔術』の五科目であり制限時間はそれぞれ66分。
そして、不正をしようものなら全学年の教室内を家系能力によって探知しているバラムにより、教室から退去させられ不正者は全科目0点となって終末日の大半を補習で過ごす事になる。
「それでは、これより一限目の試験開始っ!!」
今日はそんな終末試験当日、『王の教室』にて『問題児クラス』の生徒たちも監督官であるカルエゴの指示により、試験が始まった。
皆、入間との勉強しつつ試験における基本である名前の書き損じや書き忘れ、問題文の勘違いが無いようにしっかりと何度も読み返しながら試験に挑んでいく。
そんな皆の心中は一つ……。
『(イルマ君との勉強会のお陰で全部、分かる)』
元から学力が優れていた者たちは勿論、学力に自信が無いリード達やクララなども日々のイルマによる勉強会によって、挑む試験全ての問題を解く事が出来ていた。
「(当たり前だが普段から予習と復習をきちんとやっていたら試験なんて楽勝なんだよなぁ)」
入間も勿論、余裕で試験を解いていた。
そして、更に……。
「(わぁい、イルマさんのお陰で全部、分かる)」
「(試験が解けるって、素晴らしい)」
「(ふふ、イルマ殿のお陰で楽勝なり!!)」
他のクラスや上の学年であるが入間の勉強会に参加したエイコやロノウェにエリゴス達も又、勉強会の成果を発揮し試験を余裕で解いていた。
ともかく、終末試験を顔や口を歪めたりもせず、余裕を持って挑み問題を解いていく生徒たちを監督官であるカルエゴは見ながら……。
「(成程、そう来たか……)」
なんとなく、入間が次に自分に対してする弄りを把握した。
いや、学生としては別に試験が出来る事は良い事だし教師としては喜ぶべき事ではある。
しかし、喜べず微妙な気持ちとなっている原因は全て……。
「(イルマめぇ……)」
自分を日々、弄ってくる入間のせいなのであった。
ともかく、終末試験の全科目は終わり……。
『イルマ様、ありがとうございましたぁぁぁぁっ!!』
学力に自信の無いリードたちは入間に対し、深い感謝を示しつつ平伏する。
「いやいや、試験を攻略できたのはお前たち自身が頑張った成果だ。俺は支援しただけでな」
入間は苦笑しながら、皆へと言った。
そして、次に魔術によって試験の不正を見張っていたバラムに対し、念話をする。
「(バラム先生、不正の監視お疲れ様。不正者はいたか?)」
「(ありがとうイルマ君。イルマ君も試験お疲れ様……残念ながら一クラスだけ四人も不正者が居たよ)」
「(それじゃ、手筈通り頼む)」
「(分かったよ)」
そうして、入間は念話を終えたのだった……。
二
終末試験当日――ブエル・ブルシェンコが担当しているⅮクラスに不正者が四人も出た。しかも一限目の試験開始十分以内に一クラスで四人の不正者を出すというバビルスにおける最速記録を叩き出すというおまけつきだ。
その四人とはトイフェル・シャオロンとボンベ・ゾムにシュヴァイン・トントン、レイラー・ウツといういずれは認めさせるつもりだが、現在は非公式に『我々師団』として活動している者たち。
その四人は……
『此処は何処ォォォォォォォォォォォッ!?』
教室から退去させられ罰としてどこかの室内で天井に拘束されたまま、放課後になったかと思えば意識を失い、気づいた時にはどこかの広い島にいて大混乱の叫びを上げる。
「(大丈夫、遊んでやるよ不正者共。俺も含めて皆を楽しませろよ……ゲーム開始だ)」
何処かの部屋で画面越しにシャオロンたちの様子を見ながら、入間はそう内心で語り掛け、行動を開始する事にしたのだった……。