魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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六入

 

 

 

 悪魔学校バビルスに通う新入生のクラス発表が行われた翌日。

 

 早速入間にアリス、クララは三人一緒になれた『問題児クラス』の教室へと向かっていた。

 

「(まあ、実際問題のある事しかやらかしてないしな)」

 

 問題児(アブノーマル)と曰く付きの名前であるが入間は入学式から今まで問題のある事ばかりしかやらかしてないので納得していた。というか、どのクラスであれ、授業受ける事は同じなのでどのクラスに配属されようと問題無かった。

 

 サリバンの孫としてサリバンの名に泥が付くような事さえしなければよく、勿論サリバンの孫に相応しいと思われるだけの実力や功績を示すことが大事なのだから……。

 

「随分とあからさまな隔離だな」

 

「校舎の外とは……授業を受ける部屋まで行くのに面倒ですね」

 

「わーい、探検だ。探検」

 

 問題児クラスの教室までの地図に従って向かえば、校庭のとある場所にある洞窟染みた入り口の前に辿り着いたので入間は苦笑し、アリスは苦い顔をし、クララは喜びはしゃぐ。

 

 ともかく、入り口を通って地下へと続く階段を下って行けば……。

 

 

「せめて衛生管理くらいはして欲しいもんだ。凄く臭ぇ」

 

「こんな所をゴミ捨て場にするとは……」

 

「うぅ、くさーい」

 

  階段の踊り場にゴミの山が出来ており、入間達は鼻を押さえて更に階段を下っていき……。

 

「本当、隔離にしても体裁だけでも良いから学習出来る環境くらい整えて欲しいもんだ」

 

「酷すぎる」

 

「ぼろっぼろだね」

 

 問題児クラスの教室の前、相当に古びていて上に『1――危』と札がかけられている扉を見て入間は思わず頭を抱え、アリスは絶句、クララは呑気に言った。

 

「ともかく、入るか……ん?」

 

「どうしました、入間様?」

 

「早く入ろうよ、入間ち」

 

 扉を開けて教室に入ろうとした入間は数多くの修羅場を潜り抜けた事で培った感覚が疼いたので一旦、動きを止める。

 

「アリス、クララ。俺が先に入ったら少しだけ待機していろ」

 

 そう真剣な表情と言葉で言うと教室の扉を開けて入間が中に入った瞬間……剣や槍に斧や槌など凶器による弾幕が入間を襲った。

 

「(悪戯にしても度を超えてるっての)」

 

 入間はそれに対し、軽く毒づきながらまるで豪雨の中に佇立して一切濡れないような無茶を実現させると確信できる程の超精密にして微細な体捌きを実現しながら歩きつつ、傍目にはある筈の無い凶器の弾幕の隙間をすり抜ける。

 

 これも又、数多くの修羅場を潜り抜ける事で得た回避能力であり、絶技であった。

 

「ふぅ、手厚い歓迎をありがとう皆」

 

 そして、凶器の弾幕を仕掛けただろう教室内の者たちへと言った。

 

 

 

『おおおおおおおっ!!』

 

 特に焦りも何も無く、何でもない事のように歩いていただけなのに凶器の弾幕に全く当たらなかった入間に声を上げ、拍手を送る仕掛け人たち。

 

「一切動じないなんてやるねぇ、特待生君……」

 

「今の一体全体、どうなってんの。本当に凄かったよ」

 

「流石は話題に事欠かない特待生ですな」

 

「是非とも、もう一回見たいでござる」

 

「素敵……」

 

 

 そしてそれぞれ、問題児クラスに配属された学生で黒い短髪で飄々とした雰囲気の男性悪魔であるアンドロ・Ⅿ・ジャズに前髪が目にかかる程度に長い金髪で上下の記号のような特殊な形状の角があり、尻尾を地に付けて浮いてる男性悪魔のシャックス・リード、梟そのものなカイム・カムイに藁人形のような容姿のガープ・ゴエモン。金髪の長い髪をリボンで後ろに纏めた色気のある美女でグラマーなスタイルをもち、先が少し曲がっている角、臀部の尻尾はハート型であるイクス・エリザベッタが声をかける。

 

 他にも宙に浮く雲に乗り、睡眠帽のような形に整えられた茶髪、着ているのは寝間着、両目にはアイマスクをしているアガレス・ピケロ。獅子のマスコットキャラ染みた見た目のアロケル・シュナイダー、我関せずとばかりに机に座っているおかっぱ頭の男性悪魔であるプルソン・ソイや氷のような色合いの短髪に短めの角、眼鏡をかけている女性悪魔のクロケル・ケロリなどが居た。

 

「入間ち、凄―!!」

 

「やはり、入間様は素晴らしいです。それにしても貴様ら、何のつもりだっ!!」

 

 入間に続いてクララが称賛し、アリスも称賛したが凶器の弾幕という罠を仕掛けた者たちへと怒り混じりに問いかける。

 

「なにって入室ドッキリだよ。何発当たるか賭けてたんだ……保健室も近いし多少の怪我は大丈夫、大丈夫」

 

 リードが笑いながら代表して答え、後ろではジャズが賭けの結果の配当をすると呼びかける。

 

「多少の怪我じゃすまないと思うけどな……少なくとも退屈しないクラスメイト達ってのは良く分かったよ」

 

 苦笑しつつ、入間はそう溜息を吐きながら言った。

 

 

 

「それにしても全部避けるなんてね……全部受け止めたのは居るけど」

 

「笑止!! 避けるなんて臆病な真似は(うぬ)はせぬ!!」

 

 リードの言葉に大きな声であり、古風な言葉にて答える者が居た。

 

 

 

「このサブノック・サブロは魔王に相応しきビッグな男だからな」

 

 逆立った金髪で長身、それに見合う体格と十分な筋肉を有する男性悪魔のサブノック・サブロであり、彼の身体中に凶器が刺さっていた。

 

「(リアル弁〇の立ち往生……でも羨ましい肉体してんなぁ)」

 

 入間はサブノックを見て、自分が憧れる長身であり筋骨逞しい肉体を持つ彼を羨ましがった。小柄で細身であるが故に入間は自分の肉体に対してコンプレックスがあるのである。

 

「良いか特待生。先にヨドとなり魔王となるのはこの己だ。ヌシもいずれ、うぬの前に跪く事になろう」

 

 身体中の筋肉に力を入れると刺さっている凶器を押し出しながら、サブノックは入間を挑発した。因みにサブノックの言うヨドとは位階の事であり十段階の中で一から順にアレフ、ベト、ギメル、ダレス、へー、ヴァウ、ザイン、ケト、テト、ヨド。

 

 つまり、ヨドとは最高位だ。

 

 魔界の王である魔王はヨドの位階に達している悪魔が選ばれるのである。

 

 

 

「随分と分かりやすい性格してるな、サブノック。お前のような奴は好きだぜ」

 

「己は己より、位階が高くなりそうな全員、気に入らんが」

 

「それで教師に喧嘩売って、このクラス入りだもんねぇ」

 

高位階(ハイランク)を倒すのが一番の近道と思ったのでな」

 

 

 サブノックの言葉に対し、リードが笑って言い、サブノックは堂々と頷いた。

 

「ああ、カルエゴ先生が言ってた教師に殴りかかった奴ってお前か……っていうか学生なのに教師と争うなよ。魔界では権力や身分は大事って聞いたぞ」

 

「その通りです入間様。なんて野蛮な悪魔だ、それに入間様への無礼も見逃せん」

 

「む、出たなアスモデウス」

 

 入間のサブノックに対するツッコミにアリスは頷きつつ、入間の前へと出てサブノックを睨むとサブノックは待っていたとばかりに笑みを浮かべる。

 

 そして、アリスはゴルゴンスネークを召喚したが自分は水馬であるケルピーを召喚し、足がある故に自分の方が凄いという謎理論、入間の従僕となっているから自分のライバル候補からは脱落していると一方的に言えば……。

 

「いるか、そんな称号!! それと私は従僕では無い……私は入間様のお友達だ」

 

「ぬ……お、オトモ……」

 

 サブノックは堂々と言うアリスに戸惑った。傍ではクララも自分も友達だとアピールしている。

 

 因みに悪魔には友達という概念が無く、だからサブノックもだが他の悪魔たちも戸惑っていた。

 

 入間はアリスとクララに友達の概念を多少、盛って伝えつつそういう関係でいようと言っているが……。

 

「教えてやろう、お友達とは共に時を過ごし、苦楽を分かち……そして、その方のためならば命を賭す血の契約なのだ!!」

 

「(俺が言った事より、さらに脚色してやがるっ!!)」

 

「何ぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

「(効くんかいっ!!)」

 

 入間はアリスとサブノックのやり取りに内心でツッコミを入れながらぶっちゃけ吹き出しそうになるのを頑張って堪えた。

 

 

「喧しいぞ、貴様らっ!! 外まで丸聞こえだ、もっと粛に出来んのか」

 

 するとこの『問題児クラス』へと怒りによって扉を勢いよく開けながら、カルエゴが入って来た。

 

「カルエゴ先生っ!? 此処に入って来たという事はカルエゴ先生が俺たちのクラスの担任なんですか?」

 

「お蔭さまでな……貴様の使い魔だからというそれだけの理由であのアホ理事長に押し付けられたのだっ!!」

 

 入間が嬉しそうに問いかけるのに対し、カルエゴは本当に嫌そうにそして思いっきり不満げに答えた。

 

「そして、入間。担任である以上、問題児たちであるお前達に目を光らせなければならん。だから非常事態もそうそう無い。だから、貴様が持っている使い魔召喚シールは全て私が預かろう。これは担任命令だ。さぁ、出せすぐ出せ……さもなくば、粛清(コロ)す」

 

 カルエゴは入間の胸倉を掴んで脅しをかけた。

 

「そんな凄まなくても言ってくれれば、喜んで預けますよ」

 

 入間は懐から十枚の使い魔召喚シールをカルエゴに渡した。

 

「何、十枚も持ち歩いてるのだ。貴様」

 

「備えあれば、憂いなしですから」

 

「備え過ぎだわ、馬鹿め」

 

 入間の返答にカルエゴは頭を抱えて溜息を吐く、

 

 尚、実は両靴の底にも入間はそれぞれ一枚の使い魔召喚シールを仕込んでいる。

 

 ともかく、その後はカルエゴは簡単にクラスの生徒が出席しているのを確認すると……。

 

 

 

「それでは授業を始める。全員、外へ出ろこの問題児、アホ共……これから貴様らの位階を決定する」

 

 そうして皆で学校裏の高台へと移動するとカルエゴは霧がかかり、谷に囲まれた断崖絶壁を通った最奥にある旗までの競争をすると言い……。

 

 

 

 

「では、コースの説明をする」

 

 指を鳴らすと宙に可愛らしい見た目のディスプレイが出現し……。

 

「じゃあ、コースの説明をするよ☆」

 

 以前、使い魔召喚の儀の説明映像にて登場したのと同じハートのマスコットキャラが登場する。

 

 そして遠回りだが、緩やかでのどかな谷を進む『囀り谷』コースと危険度の高い『金剪の谷』コースがある事をやはり、可愛らしく紹介しているがその最中、カルエゴは不満気で……。

 

「さあ、皆もレッツ「ふん」ゴォッ!?」

 

 とうとう耐え切れず、ディスプレイを踏み倒した。

 

 

 

「(嫌いなんだ……)」

 

「(やはり嫌いでござるか、あの可愛い奴)」

 

 そんなカルエゴにリードとガープが突っ込んだ。

 

 

 

「概要は以上だ。加えて今回は『囀り谷』コースのみとする」

 

「はぁっ!? どういう事だ」

 

「何故か金剪の長の気が立っていてな。今、『金剪』は立ち入り禁止なのだ」

 

「ふざけるな、己は金剪でなければ意味が無いのだ」

 

「知るか」

 

 執拗に突っかかるサブノックをカルエゴは適当にあしらいつつ……。

 

「では、総員準備。これより、()()()()を開始するっ!!」

 

 

 

 

 そう、これより行われるのは悪魔が背の翼を広げて行う飛行試験。つまり、悪魔でない人間の入間には絶対に実行できない試験である。

 

 その筈だが……。

 

「位置について用意スタート!!」

 

 

 

「イヤッハァァァァァァァッ!!」

 

 入間は背中から()()()()()()()()()()()、ハイテンションな叫びを上げながら凄まじく速い速度での飛行を開始したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

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