六十九入
今日より始まった『終末日』を楽しもうと入間は自分のクラスである『問題児クラス』全員とクラスの違うエイコと『生徒会』の会長であるアメリと生徒会の一員であるスモーク、バビルスの教師であるライムに『十三冠』の色頭にしてアリスの母親であるアムリリスらとウォルターパークに来ていた。
因みに特に皆で一団となって行動しようとかそういうのではなく、それぞれ自由行動という事にしている。
これは実は今日と明日でアクドルの『くろむ』として活動しているケロリはウォルターパークでコンサートをする予定があり、いつでもコンサート会場へと向かうようにするためというのも理由の一つだ。
因みに入間も『リン』としてコンサートをする予定があるし、更に『DJ.MAIRU』としてのEDMのフェスイベントをする予定もあるが……。
しかし、自由行動をさせる一番の理由は皆がそれぞれ、皆が思う様に楽しんでもらいたいからである。
そのために逐一、皆の状況を探れるようにしているし何かあった時に連絡を取り合えるようにしているし、対処できるようにもしているからだ。
今までが今までなので『何かあった時は俺が何とかするから、思う存分楽しめ』という入間の言葉は皆、とても安心感を得たのである。
そうして、それぞれがそれぞれの楽しみたい場所へと向かう中……。
「ふふふ、この日を楽しみにしていました。入間さん」
「それじゃあ、待たせた分楽しませるよ……それにしても今日は乙女モードの気分なんだな」
「乙女モードの会長はこういう時、強くて羨ましいです。負けるつもりはありませんけど」
「当然、私も負けてられないわ」
「私だって負けないよー」
「わ、私も」
「私だって、負けません」
「あらあら、それじゃあ私は授業をしてあげるわ」
「ふふふ、大好きなイルマ君とアリスちゃんと一緒に居られて幸せ」
「私は場違いでは……」
入間は乙女モードになっているアメリとスモーク、エリザベッタにクララとエイコ、ケロリとライム、アムリリスらに寄り添われながら一緒に行動している。
もっとも寄り添っているアムリリスはアリスを抱き締めていたりもしたが……そうして、まずはジェットコースターなどアトラクションを楽しみ……。
「(一応、動物という概念はあるんだよなぁ)」
激しく楽しいアトラクションの後は穏やかで癒される時間を過ごすために動物(凶悪な見た目の魔獣とは違い、可愛らしさや穏やかさを感じさせる見た目の魔獣の事)コーナーへ行き、なんとなく動物たちと触れ合っている子供たちなどを見ていると……。
「……」
遠くの方で白い短髪で目つきは鋭いものの、美人と言える見た目の女性で露出性の強い服装の女性が羨ましそうに見ているのを発見したので一旦、アメリたちに直ぐに戻ると言って、女性の元へと移動した。
「失礼……お姉さん。遊びたいなら、遊べば良いんじゃないですか?」
「え……いや、ボク……は触ろうとすると動物が……逃げる……から」
彼女に対し入間は促すと自身の悩みを実演しながら女性は打ち明ける。
上から手を出す彼女の行動は威圧的だった。
「それじゃ、怖くて動物たちも逃げますよ。もうちょっとこう、親密に……早々、その調子……」
「おぉ……」
入間は動物に対するコミュニケーションのやり方を実演しながら教え、女性はそれと同じようにやると最初こそ苦戦したが、段々と動物は彼女へと心許していく。
「はい、笑って」
「え……」
自然に動物と触れ合い、微笑みを浮かべている彼女へと近づき自家製の魔具にしてス魔ホなフォルムのカメラで自分と共に写真を撮った。
「うん、これでレクチャー代は貰いました。ほら、お姉さんの分も……」
写真を撮ると入間の手元にそれが現れ、更にもう一枚同じ写真が出現したのでそれを手渡す。
「あ、ありがとう」
「いえいえ……お姉さん、貴方は良い人だ。だから今、考えているような事は止めた方が良い」
「っ!? 君は……っ、いなくなった……」
入間の言葉に女性は驚いて入間の姿を見るも彼の姿は突如、いなくなったのだった……。
二
ウォルターパークとは元々、悪周期の悪魔たちのストレスを発散するために造られた物である。そのため、残っているのだ。
当時の血で血を争い、違法な魔具を取引していた裏通り……『カララギ通り』が……そして、そこに
「もし、そこの坊や(ようやく、来た久々の獲物が)」
カララギ通りで密かに生活している悪意に満ちた悪魔が迷い込んだ少年を己の欲のままに蹂躙しようとしたが……。
「っ!?」
「ああ、悪い。そいつは俺や俺の関係者に対する敵意に敏感なんだ。という事でまぁ、なんだ……。文字通りの弱肉強食って事で……ヘルハウンド、喰え」
「うぎゃあああああああっ!!」
目的があって、カララギ通りへと入った入間は自分に襲い掛かろうとした悪魔に対し、ヘルハウンドを出現させる。そうして、ヘルハウンドは主人に危害を加えようとした悪魔に牙を突き立てながら、持ち上げ主人の指示と共に喰らい尽くした。
「さて、他の奴はもっと骨のある奴だと良いが……」
そうして、カララギ通りを制覇すべく、入間は歩み出すのであった……。