魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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七十九入

 

 魔界において生活し、独自の文化や社会を築いている生物である悪魔は基本的に自分の欲望やそれに伴う野望を叶えるために行動する者であり、更に言えば快楽主義者でもあり、他者に対し悪事を働く欲求も有している。

 

 なにより利己的だ。しかし、そんな悪魔の社会は『ランク社会』であり、力を有する者を敬い、従うのが絶対だ。

 

 そうしてハイランク悪魔の家系にして貴族悪魔たちにおいては一つのたしなみが存在する。

 

 貴族悪魔たちを定期的に会場に集めて開催する交流会こと『貴族会(デビラム)』である。

 

 

 悪魔たちにとっての長期休暇である『終末日』の最中である今日、その『貴族会』は開催されており……。

 

 

 

「こんにちは、会長。やはり来ましたか」

 

「ああ、絶対イルマが来るだろうからな」

 

「イルマ君、こういう場で主役になりたがる子だものねぇ♡」

 

 貴族会に参加しに来たアリスと彼の母であるアムリリス、アメリらが一隅に集まって話をしていた。全員、この『貴族会』に入間が参加するだろうと確信もしていた。

 

 なのでアメリもアムリリスも美しいドレスや普段はしない髪形などで気合を入れたお洒落もしている。

 

「おお、アスモデウス様もアザゼル様も……『13冠』を輩出する貴族は気風が全然違うな」

 

 周囲の貴族悪魔たちはアリスたちの雰囲気などに見惚れたり、歓声を上げたりしたが……。

 

「むう、アリス兄さまを奪ったイルマ様……文句を言ってやるんだから。ね、リリー」

 

「うん」

 

 また、長髪の桃色の髪の少女と短い桃色の髪の少女、アリスの親戚であるビオレとリリーは尊敬しているアリスが最近、イルマの事を優先して自分たちとは遊んでくれなくなったのでイルマが来るのならば、見定めつつ、文句を言ってやろうと決意していた。

 

 

 そうして……次の瞬間、貴族会の会場が闇に包まれる。

 

『!?』

 

 ほとんどの貴族悪魔が驚愕し、混乱する中……闇の中で小さな火が出現し、それは舞い踊るかのように魔法陣を描き始めた。

 

 それが完成すると共に魔法陣の中に全ての闇が凝縮されていき、反対に魔法陣が光を強烈に放ち……。

 

「『貴族会』をお楽しみの諸君、遅れてすまない。俺は初参加しに来たイルマだ。どうか、歓迎をよろしく頼む」

 

「僕からも自慢の孫のイルマ君の歓迎、頼んだよー!!」

 

 魔性そのものな美しさと雰囲気纏い、普段とは違って一八〇程の高身長になっていて見た目も美青年化、スーツ姿に後ろ髪を束ねつつ、オールバック風にしているイルマが姿を現し、怪しく笑いながら頭を下げ、サリバンもそれに乗じて頼んだ。

 

 入間達と一歩退いたところでオペラも一礼する。

 

 

 

 

『……おぉ……』

 

 そうしてイルマの雰囲気に貴族悪魔たちは呑まれていく。歩き出す彼の一挙一動に唯々、視線を向ける事しかできない。

 

「こんにちは、アリス。アムリリスさん、アメリ……やっぱり顔馴染みが居てくれると安心するよ。それとアリスは格好良いし、アムリリスさんは蠱惑的に美しく、アメリは可憐な美しさだな。素が良いから、着飾ると物が違う」

 

 入間は先ず、アリスたちに近づき、苦笑しながら挨拶をした。

 

「ありがとうございます、イルマ様。ですがイルマ様も素晴らしく格好良いですよ」

 

「見た目も随分と変えちゃってるわね。でも、大人なイルマ君も素敵よぉ~~ん♡」

 

「ああ、本当に格好良いぞ、イルマ」

 

「こういう場では威厳を持ちたいからな……それで君たちは。見た目からしてアリスとアムリリスさんの親戚ってところか? 初めまして、お嬢さんたち、俺はイルマだ」

 

「……そ、そのビ、ビオレです」

 

「リ、リリーです」

 

 二人に視線を合わせるために屈みながら、ビオレとリリーに優しく微笑む入間の姿に二人は見惚れてしまった。

 

 

 

「自己紹介ありがとう。ビオレにリリー、よろしくな」

 

「ぁぅ……はい、こちらこそ」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 入間は優しく微笑むと二人の頭を撫で、ビオレとリリーは撫でてくる手から伝わるその温かさと優しさに身を蕩かせられながら、なんとか言葉を紡いだのであった。

 

「それじゃあ、俺と踊っていただけないか。アザゼル・アメリ?」

 

 入間が指を鳴らすとバイオリンが出現しそのまま、生き物の如く動き始め聞く者を虜にするほどの魔的な音楽を演奏し始める中、入間は立ち上がるとアメリに手を伸ばしダンスに誘う。

 

 

「っ、はい」

 

アメリは嬉しそうに入間の手を取り、そうして踊り始めた。

 

 

「私とも踊っていただけるかしら、イルマ君?」

 

「喜んで」

 

 そうして、アムリリスとも踊り……。

 

「ほらほら、折角だ。もっと楽しい『貴族会』にしよう」

 

 ターンテーブルにピアノなど様々な音楽に関する道具を出し、演奏にて入間は『貴族会』を盛り上げつつ、様々な貴族悪魔とも交流していったのだった……。

 

 

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