魔界にて最近出来たばかりの大型カジノ施設、『デビルベガス』で遊んでいた入間はチップを稼いでは店員や負け続けている客に譲ったり、飲み物や軽食を用意してもらうなどサービスを利用して賭博を楽しむ事を主としていた。
とはいえ、スロットにルーレット、カードのどれも基本、勝ち続けているのは当然、カジノのオーナーやディーラーに知れ渡っており、それが故か特別な部屋に招待された。
それはカジノにおいて優れたプレーヤーやかなりの金額を賭ける事の出来る客などしか利用できない部屋であり、そこで行われるのは賭ける金額に限度が無い『ハイレート』のゲーム部屋である。
「おいおいなんだよ、オーナー。そんな子供を連れて来て……」
『ポーカー』の席の一つで大量に積まれた円形のチップと高額なそれに換金できる長方形チップを傍に置いている肥満体形の悪魔が言った。
「口を慎め、バカラ君。この子はあのサリバン様の孫のイルマ様だ」
「なっ!? そ、それは失礼した」
「いやいや、俺は若輩者だからな。気にしないよ」
言いつつ、持ってきた大量のチップを傍に積みながら入間は『ポーカー』の席の一つに座る。
「私はドミノよ。イルマ君、予想以上に可愛らしいのね、今日は楽しみましょう」
妖艶であり、魔性の美と魅力を有する女性悪魔ことドミノが入間へと笑いかける。
「イルマ……オズワールが世話になっているそうだな」
「ああ、オリアス先生は確かに世話しているが貴方は?」
「私はダーティ……オズワールとは親戚だ」
勝負師の如き恰好をした男に問いかけられたので答えれば、男はオリアス家のダーティと名乗った。見た目としてはオズワールよりも年を取っている。
「ふふふ、これは楽しめそうですな」
そうしてオーナーも又、ポーカーの席に座る。
「オーナーもやるのか?」
「ええ、私自身も賭博が好きでして」
そうして、今、ポーカーが行われようとしていた。
ポーカーが行われるテーブルの中央にある魔道具へカードの山札が入れられると音を立ててシャッフルするため動き、そうしてそれぞれのプレーヤーにカードが五枚輩出するようにして配られる。
「では、私から三枚交換だ」
三枚をオーナーがディーラーに放ると魔道具から三枚、オーナーへと排出される。
「私は二枚交換するわ」
「俺は四枚だ」
「俺はこのままで良い」
ドミノにバカラが交換し、オズワールの親戚であるダーティは交換無し。
「俺は一枚」
そして、入間が交換を終え……。
「では、ベットだ」
オーナーが幾つかのチップを放り、価格として百万からスタートした。
「コールよ」
「レイズするぜ」
「コール」
「レイズだ」
賭けの価格が四百五十万に跳ね上がる。
「ふむ、では私はレイズしよう」
更に五百八十万へと跳ね上がった。
「……降りるわ」
一人、ドミノが下りる。その役柄は十のワンペアであった。
「コールだ」
「レイズしよう」
「コール」
金額は六百七十万へ……。
「……では、コールだ」
「……降りる」
バカラが五のスリーカードの役が出来ている札を放って降りた。
「レイズだ」
「レイズ」
八百三十万に跳ね上がり、勝負をするのは今のところイルマとダーティ、オーナーである。
「ふふふ、降りよう。二人の勝負を楽しませてもらいたいのでね」
オーナーもハートのフラッシュの役を捨て、降りた。
「……レイズ」
「オールイン」
『はあっ!?』
イルマが全てのチップを出した事で全員が驚愕する。
「……降りよう」
ダーティは不敵に笑って降りる。その役柄はクローバーの五~九のストレートフラッシュ。
「おいおい、もっとガンガンやり合って行こうぜ。じゃないと盛り上がらないだろう」
イルマの役は何も揃ってないブタだった。
「あは、あはははっ。凄い度胸ねイルマ君」
「お前、マジかよ……」
「やはり、サリバン様の孫は大したものですな」
「オズワールが負けるわけだ」
ドミノもバカラもオーナーもそして、ダーティもブタを持っていると思わせず最終的に一ゲームを制したイルマに度肝を抜かれたのであった……。