人間の世界で言うなら、『夏休み』にあたる魔界の悪魔たちにおける長期休暇こと『終末日』は終わった。
「はー、楽しかったなぁ『終末日』」
「なんせ、イルマ君が色々と楽しませてくれたからなぁ」
「ウォルターパーク救ったり、カジノのオーナーになったり、配信ライブしたり、パーティしたりとか本当に色々やってくれたよね」
「改めて多芸どころじゃないよな」
『終末日』が終わった日の翌日――バビルスでは新学期が始まるので生徒である悪魔たちは飛行しながら終末日の思い出を語る。
イルマは終末日中、分体を使ってバビルスの生徒や魔界の悪魔たちに対して様々なエンターテインメントを行なっていたので生徒たちはやはり、イルマについて語った。
「今日から新学期だけど、また楽しませてくれるんだろうなぁ」
「あのイルマ君だからね」
そうして、生徒達がバビルスへと近づくと……。
「皆、新学期もよろしくな」
入間がバビルス前に居て、周囲には多数の演奏家――『魔ーケストラ』で名を馳せる超一流たちがいて、入間が言うと共に……。
『うおおお、なんて優雅な気持ちになれる曲なんだー』
悪魔たちには知りようも無いが、入間は自分の世界で言う英国の第2国歌の扱いを受けているクラシック曲を演奏家に演奏させ、それに合わせて即興で作った歌唱を披露する事で生徒たちのテンションを上げた。
「本当、この曲を聴いてるとなんか行進する気分になれるな」
「演奏も歌唱も本当、凄いわ」
「そりゃそうよ、あの演奏家たち超一流のプロばっかだもん」
入間が早速楽しませてくれた事に気分良くしながら、生徒たちは次々と極に合わせるように行進していく。
「(……相変わらず、盛大で無駄に手の込んだ事をしおって……)」
「(でも演奏も歌唱も最高レベルでしょう、カルエゴ先生? 今日からまたよろしくお願いします)」
「(やかましい)」
入間からの念話に応じつつ、そそくさと教員室へと向かう。
そうして……。
「くそ、は、入りたくない。絶対、必ず、確実にこの部屋に入った瞬間、イルマはふざけたことをしてくるに決まっている……くそ、だが……」
カルエゴは自分が担当する『問題児クラス』の教室、『王の間』の前で激しく葛藤し、入ろうとしたり、入ろうとするのに抵抗したりと凄い行動と思考をしていた。
しかし、少しすると……。
『先生、遅刻するつもり? 皆、もう全員揃っているのに先生が遅刻するなんて許されないよ。だから、遅刻したら罰ゲームね……さあ、後……10』
カルエゴがいる扉の上の方にメッセージが描かれ、カウントダウンが始まっていく。
『3……2……1』
「くっそおおおおっ、あの悪魔がぁぁぁぁっ!!」
カルエゴは苦悩と葛藤の末に入る事を決断し、扉を開けると……。
『カルエゴ先生、新学期もよろしくお願いしまーす』
くす玉が割れ、クラッカーが鳴り響かせながらイルマを中心に『問題児クラス』の生徒全員が挨拶し、魔ーケストラで名を馳せる演奏家たちが演奏を始め……。
『うおおおおおお、ガヤガヤするぜぇぇぇぇぇっ!!』
かつて大昔に魔王を怒らせた結果、一族ごとガヤガヤ森に隔離封印されていたクララ一家が住まう『ガヤガヤの森』の先住民たちが太鼓を叩き、踊る民族音楽を披露した。
「……初っ端からやってくれおって……ぐばあっ!!」
カルエゴは絶大なストレスに吐血したのであった……。