魔界に住まう悪魔は『悪周期』というものがある程に衝動的に大なり小なり、悪事をしたい欲求を抱える種族であり、己が欲を優先する生き物だ。
面白そうな物ややりたいと思う事があれば興味は移ろうし、他に行動している事があれば中断してしまうなど生来的に飽きっぽいのだ。
転じて集中力と忍耐力が長続きしないのである。
しかし、悪魔の種族の中で唯一、集中力に忍耐力が長続きする一族がいる。
それが『バルバトス家』とその分家である『バルス家』だ。どちらも家系能力が弓に関連しているだけあって射手として優れているのだ。
バルバトス家の家系能力は『
であり、必ず当たる矢を集中力が続く限り、打ち続けられる能力で一日に一回だけ標的に対して例え、間に障壁や物体があろうとも擦り抜けたりするなどして干渉を受けず、絶対に当たる矢を放つバルス家の『一射必中』の進化系である。
ただ、実際にバルバトス家の中で百射撃って百中するのはバチコとバチコの父親である頭領と祖父である大頭領の三人だけ。
それくらい、悪魔にとって集中と忍耐は鬼門なのである。
そして、悪魔が弓を使う場合にはバルバトス家やバルス家は家系能力の副次効果のようなもので魔力によって弓を造れるが、それ以外の悪魔は魔術の一つ、【
核には相性もあるし、魔力を込めた者のイメージや性格に弓は影響を受ける。
自分にとっての一番の弓を造る事さえ難しいのに標的を狙いながら、弓矢に射るというイメージを込めなければ十分に機能しない。最初から最後まで集中力と忍耐を要求されるのである。
そう、だからこそ……。
「ふっ!!」
「っ……(嘘だろっ!?)」
使い魔にしているロビンから入間が弓の触りは教わっているというので試しに撃たせてもみれば、金剪の長の羽の一つを素材に何物をも喰らう牙の形状をした弓矢を出し、そして的へと矢を放ち、撃ってみせ的を破壊する。
「どうですか、師匠?」
「……面白ぇじゃねえか。ならとことん試してやる。百回撃ってみろ」
バチコは何処まで集中力と忍耐力が長続し、命中させられるかを試す事にし、百回的に対して撃たせる事とした。
「しっ!!」
そして、入間は次々と矢を放ち続け、的へと命中させていく。結果としては正に百射百中の体現をした。家系能力も何も無しに己が技術だけでやってみせたのだ。
しかも精神的な消耗や疲労をまったくしていなかった。
「ははは……まじかよっ!!」
「鍛え甲斐はありますか?」
「おう、あッチがお前をとことん鍛えてやるよ、イルマっ!!」
バチコは入間の驚異的な才能に惚れこみながら、自分の実力をも引き上げてくれる者だと確信して鍛え上げ、至高の弓使いへの道を入間と共に進んでいく野望を持ったのであった……。