魔界にある『
そして、本家領の屋敷の中では……。
「うーん、なんか面白い事起きねぇかなぁ……」
羽のついた頭巾、顔にはヴェールをした者が座敷の部屋で煙管を吹かしながら呟いていた。
「最近どころか大体、暇なんだよなぁ大頭領ってのも……せめて、時々でも良いから魔谷大戦並みのことがあればなぁ」
この座敷の部屋にいるのはバルバトス家にて大頭領――つまり、バルバトス家のトップである。バルバトスにフルフルとゼパルの家は魔谷大戦にて凄まじい武勇を発揮し、活躍した事で三大英雄と呼ばれる存在となっている。
『13冠』とは違うものの、魔界における影響力では負けず劣らずである。
しかしてトップであるからこそか大頭領は滅茶苦茶暇していた。
「ああ、本当にあれは最高だった」
もう何度目になるかもわからない魔谷大戦の思い出を振り返ろうとしていたが……。
瞬間、天井が突き破られ座敷に文が括りつけられた矢が突き刺さる。
「っ、おいおいまじかっ!!」
タイミングがタイミングなので期待に打ち震えながら、大統領は矢文を手に取って開けば……。
「俺の名前はイルマ……一人の弓使いとして最強の弓使いの悪魔であるバルバトス家大頭領、貴方に勝負を申し込む。この領地にある森に潜みながら待っているぜ」
小型の入間が出現して勝負を申し込むと指を鳴らす。すると矢によって破壊された全てが完全修復された。
「……ふふふ、バルバトス家以外の弓使いの悪魔だって……しかも俺に勝負? ふふふふ、はははははははっ!! 面白ぇっ、受けて立ってやるから後悔やがっかりさせんじゃねえぞぉ!!」
そうして、大頭領は屋敷から飛び出し、森の中へ……。
「まずはお手並み拝見だ」
弓使いとして成長するため、バチコには内緒で入間はバルバトス家の大頭領と勝負をする事にした。
全てを喰らう牙の如き、弓を構えながら森林を庭の如く移動している大頭領を観察しつつ、矢を幾本放った。
「ふっ!!」
その放った矢を同じ本数の矢を放つ事で撃ち落とすが、矢の勢いは止まらず入間の元へと大頭領が放った矢は向かっていく。
威力も速度も実力は超絶級である。
「そう来なくちゃなあっ!!」
「へ、血を滾らせてくれるじゃねえかっ!!」
お互い、遠距離より矢を幾本、幾十、幾百、幾千、幾万射ては射返す。
森林を余波で破壊しながら、応酬を続けながら楽しみ……。
それぞれ、最後の一つが放たれ衝突し消える。
「引き分けか」
「久しぶりに魔力が切れるまで射たな」
どちらも魔力が尽きるまで矢を射ていたので結果としては引き分けになった。
そうして……。
「いやぁ、若いのに俺とやり合うなんて大したもんじゃねえか。良い孫を持ったなサリバン様よ」
「そうでしょそうでしょ、本当にイルマ君は自慢の孫なんだよ~」
「まあ、息子もいないのに孫が出来るってのも凄い話だけどな」
入間はサリバンの屋敷に大頭領を誘い、宴を開いていた。
大頭領とサリバンは入間の話で盛り上がっている中で……。
「お前はなんちゅうことしてくれやがってるんだ。大頭領に勝負挑むとかイカレれすぎだろっ!!」
「腕を上げるなら、格上と戦うのが一番ですよ師匠」
「段階ぶっとばすにも程があるだろっ!!」
バチコは入間のやらかした事にドン引きし、パニくっていたが……。