うわっ…私のサーヴァント、強すぎ……?   作:あんどぅーサンシャイン

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まさかの一話目にしてお気に入り登録と評価がたくさん……。やっぱり皆白ひげ好きなんだなぁと思いました。


サーヴァント

「「「……………」」」

 

 マシュ。立香。オルガマリー。

 全員が全員声を出せず、目の前の光景にただただ驚愕し動揺している。

 

 しかしそれは仕方ない事だ。彼―――白ひげの()()()()()()()()()()()()想像を絶するパワーを間近にしたのだから。そのリアクションは必然というものだ。

 

「な、なんなのよアイツ……一撃でサーヴァントを沈めた!?」

 

「ま、魔力反応を確認……! アレは、サーヴァントです! で、ですがこの強さは……!?」

 

「……………嘘。あれって、まさか……………!」

 

「グララララ。どうした、これで終いか?」

 

 ボロボロに()()()敵を見下ろし、そう告げる白ひげ。

 

「威勢の割には大したことねェな」

 

「ごぶぁっ……な、なん……だ……この力……は……! こんなの……()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言い残し、女槍兵は粒子となって跡形もなく消え去った。

 白ひげの強烈な一撃が彼女を五臓六腑ごと完膚なきまでに破壊したのだ。

 

「消えやがった……どうなってやがる……? まさか逃げたか……いや、今の一撃の手応えは確実にあったが……まァいい」

 

 すると、今度は倒れ伏すマシュに視線を移す白ひげ。

 まさか今度はこちらか、と思い身構えようとすると、

 

「立てるか。小娘」

 

「えっ、あ、はい………くっ!」

 

「痛むか? けど安心しろ。見たところ致命傷じゃねェ。すぐに手当てでもすりゃあ大事には至らねェだろうよ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 そう言ってゆっくりと立ち上がるマシュ。 

 どうやらこちらに対して敵意はないようだ。

 

「これで邪魔はいなくなったな。もう一度言うぞ。おれはおめェらに聞きてェ事が―――」

 

「あ、あのっ!!」

 

 白ひげがマシュに問おうとしたのを橙色の髪の少女―――藤丸立香が横から声をあげて止めた。

 

「今度は何だ」

 

「……………いきなりこんな事を聞くのは失礼かもしれないけど、も、もしかして貴方は……白ひげ―――エドワード・ニューゲートなの?」

 

 そう尋ねる立香に、白ひげは浅く頷く。

 

「……やっぱり、そう、なんだ……」

  

 俯く立香。

 

「……………」

 

「藤丸?」

 

「先輩?」  

 

「……ほ……ほ……」

 

「あァ?」

 

「本物の白ひげだああああああああああああああああああーーーーっ!!!」

 

「「!!?」」

 

 急に大声を上げる立香。それに思わずオルガマリーとマシュは肩を硬直させビックリする。

 

「ちょっと藤丸!! アンタいきなり大声出すんじゃないわよ!! 耳に響くじゃない!!」

 

「いや所長! だって、本物! 本物の白ひげが、サササ、サーヴァントに……え、ええええええええ!?」

 

「お、落ち着いて下さい先輩! 急にどうしたんですか!?」

 

「これが落ち着いてられる状況!? マシュ!! わかんないの!? あの白ひげだよ!? あの世界最強の海賊と呼ばれた伝説の男が目の前にいるんだよ!! むしろ興奮するなって方が無理じゃん!! 凄い……感激だァ……!」

 

「うるせェガキだな……」  

 

「す、すいませんっ! ほら先輩! 深呼吸、深呼吸ですよ~……」

 

「すぅ~……、はァ~……」

 

 まるで大好きなオモチャを買って貰った時の子供のように目を蘭々とさせてはしゃぐ立香に対し、慌ててそれを宥めるマシュとその様子を面倒くさそうな顔で見つめる白ひげ。何をそんなにテンションが上がっているのか理解出来ていないオルガマリー。

 

 やれやれ、クソ面倒なヤツらに絡んじまったな、と白ひげは思った。

 

「ねぇ白ひげ! 握手してよ握手!」

 

「握手だァ?」

 

「お願い!」

 

「……仕方ねェなァ。ほらよ」

 

「ありがとー! ふぉぉ……これが世界最強の海賊の手ェ……やっぱり固くておっきいなぁ……。私今白ひげの生の手に触っちゃってるぅぅう……多分こんな経験してるの絶対私だけだよねェ……!」

 

 自分の体躯並みに大きな白ひげの手に触れ、歓喜の声をあげる立香。

 

(だがコイツがおれの事を知ってるってこたァ、やっぱりここはかつておれが存在していた世界なのか……? いや、そうとも思えねェな……コイツらのこのナリといいこの町並みといい、生きてた頃も今も全く見覚えがねェしな……どうなってやがんだ)

 

「えっと、とりあえず白ひげさん。いや、ニューゲートさん? あの……どう呼べばいいでしょうか?」

 

 マシュが白ひげに呼び方について尋ねる。

 

「呼び方なんざ好きにしろ」

 

「わ、分かりました白ひげさん。えっと、まずは先ほど危ないところを助けてくださってありがとうございます。私の名前はマシュ・キリエライトと申します。とある英霊と融合を果たしたデミ・サーヴァントと呼ばれる存在です」

 

「そして私がマスターの藤丸立香です! よろしく!」

 

「英霊……? デミ・サーヴァント……? マスター……? なんだそいつァ。悪魔の実の能力の類いか?」

 

「悪魔の実……? それはサーヴァントの固有スキルか何かでしょうか?」

 

「あ?」

 

「え?」

 

 互いに話が噛み合わず、疑問符を浮かべる二人。

 

「いやいや、サーヴァントがサーヴァントを知らないなんておかしいでしょう。」

 

「貴方、まさか自分がサーヴァントの癖にサーヴァントを知らないの? そんなのまずあり得ないんだけど……」

 

「なァ、さっきの女といいおめェらといい、何なんだそのサーヴァントってのは。ああ……おめェは……」

 

「オルガマリー。オルガマリー・アニムスフィアよ。……その様子だと、自分の置かれている状況がまるっきり全然理解出来てないようね」

 

「ああ、何がなんだかさっぱりだ」

 

「しょうがないわね。なら分かる範囲で私が説明してあげるわ。ありがたく思いなさい、白ひげ」

 

「ああ。頼む」

 

「うわー……聞いたマシュ? あの白ひげに向かってありがたく思いなさいだって。さっきまでヒステリックに騒いでた人の台詞とは思えないよね。バカみたい(笑)」

 

「しっ、そんなに大きな声で言ったら聞こえますよ、先輩……」

 

「だいじょぶだいじょぶ。所長ああみえて堅物っぽいし。私が居眠りしてた時だって他のスタッフに言われるまで気づかないような間抜けなところが―――」

 

「残念ながら一言一句全部ハッキリ聞こえてるわよ!!」

 

「ほぶっ!!」

 

「先輩っ!?」

 

 オルガマリーの強烈な拳骨をくらう立香。

 

「大体アンタにバカとか堅物とか間抜けとか偉そうに言われる筋合い無いってのよ! たかがまぐれでマスターになった分際でぇぇええ……!!」

 

「いだだだだギブギブギブしょちょぉぉおお!!」

 

「ああもうレフ! レフはどこにいるのよ! どうして所長の私がこんな目に遭わなきゃなんないのよぉぉおおおーーっ!!」

 

「あああああああああああああああ!!?」

 

「しょ、所長! 落ち着いて下さい! 先輩のこめかみが壊れちゃいますっ!」

 

 喚き散らしながらオルガマリーは両拳を立香のこめかみに押し付けて思い切り捻る―――いわゆる梅干しをかます。

 

 おそらく自分の予想だにしない事ばかり起きている事に対して情緒が不安定になっているのだろう。

 

「……………おい、いい加減にしてくれねェか」

 

 白ひげが若干苛立ちの籠った声色で言う。

 

「ご、ごめんなさい! じゃあ、所長の代わりに私が説明しますね……まずは……」

 

「おう」

 

 彼女の話によると。

 

 ここはかつて白ひげが存在した世界とは一線を画している“別次元”の世界であり、日本の冬木と呼ばれる場所であること。

 

 かつて“聖杯戦争”と呼ばれるサーヴァントと魔術師による戦いがこの冬木で勃発したこと。しかし何らかの影響で歴史が歪んでしまい、このような事態になってしまっていること。

 

 自分達は人理保障機関―――“カルデア”という組織の人間であり、レイシフトという方法で未来からこの冬木にやってきた事。

 

 そして今の白ひげは人間ではなく“サーヴァント”であり、このサーヴァントとは現世で多大なる功績や伝説を残して死んだ者が、魔術によって再び現界した存在であること。

 

「なるほどな……ようするにおれァその魔術とやらで無理矢理生き返らせられたってのか。死んだヤツが生き返るなんて所業、にわかには信じがてェ話だが……」

 

「はい。そういう事になりますね」

 

「フン。だとしたら余計な真似をしやがって……。おれァ二度目の生なんてハナから望んでねェし、そもそも英雄なんていう大層なモンに祭り上げられるような存在でもねェんだよ、おれは」

 

「そ、それは心中お察しします。でも白ひげさんがサーヴァントとして現界したのには何か理由があると私は思います。もしかしたら、私達の―――」

 

「白ひげ!」

 

 マシュの話を遮り、立香が白ひげに再び話しかける。

 

「そういえば、白ひげにマスターはいないの?」

 

「マスター?」

 

「サーヴァントにはマスターっている自分のご主人様的な存在がいるんだよ。例えるなら私とマシュみたいなね」

 

「いや、そういうヤツは今のところ見かけてねェな」

 

 白ひげはどうやらマスターの存在しないはぐれサーヴァントの様だ。

 

「なるほど! つまり今貴方は誰のものでもないフリーな存在って事だね!」

 

「あ、ああ……………ん?」

 

 白ひげがそう言うと、立香はよっしゃ、と小さく声を出してガッツポーズをして見せた。 

 そして白ひげに向き直り、とある提案を持ち掛ける。

 

「ね、ねェ! だったらさ、この私と契約を―――」

 

「―――待て、すまねェ。話は一旦ここまでだ」

 

「え?」

 

「何よ急に?」

 

 何かを感じ取った白ひげが腰を上げて立ち上がる。

 

「下がってろおまえら、何か来たぞ……。それも、さっきよりもメンドくせェのが」

 

 そう言って彼が視線をある方向に向ける。その先には、

 

 

「見つけたぞ」

 

「聖杯ヲ……我ラノテニ……!!!」

 

「■■■■■■■■!!!」 

 

 

 黒い影に覆われた三つの存在がいて、今にもこちらに襲いかかってきそうな雰囲気を出していた。

 

「なっ!? また新手のサーヴァントが!?」

 

「はい! そして当然ながら敵性反応を確認……先ほどのランサー同様、三者ともシャドウ・サーヴァントです!!」

 

「うわっ! この短期間に二回もくるとかしつこっ!」

 

「フン……」

 

 白ひげは考える。

 さっきは事情が事情だったので助けてしまったが、今はもう知りたい事は知った。なら別に彼女らと無理に一緒にいる理由は無い。聖杯回収だが何だか知らないがワザワザそんな無関係な事情に首を突っ込むほど自分はお人好しじゃない。無理に生きている必要もない。

 

 (このまま自決するって手もあるが……)

 

 だが見た感じ、アレらはさっきの女槍兵よりも強い。ただでさえ女槍兵に対して手も足も出なかったマシュがあの三体を同時に相手出来るワケがない。このまま見捨てればいずれ敗北し、藤丸とオルガマリー共々無惨に殺されて終わりだろう。

 

「……このまま見殺しにするってのは、さすがに後味が悪ィか」

 

 それに理由はどうあれ折角全盛期の状態で生き返ったのだ。ならばその恩恵に肖るのも悪くないだろう。

 そう思い、愛刀“むら雲切”を構える。

 

「ちょっと待ってな。すぐに片付けてくるからよ」

 

「は!? アンタ、一人でサーヴァント三体を相手にするつもり!? いくらなんでもそれは無謀よ!」

 

「グララララ、心配なんざいらねェよ。おれァ“白ひげ”だからな。それにあれなら()()()()()()()()()()()()()

 

 そう笑いながら、白ひげは余裕綽々といった様子で敵に向かって行った。

 

「そうそう! 白ひげなら大丈夫だと私は思うな! ていうかそれよりもやった! 白ひげの戦いが生で見られるー!! 楽しみー!」

 

「せ、先輩。なんでそんなに嬉しそうなんですか……?」

 

「当たり前じゃん! ま、でも―――」

 

 

「アイツらじゃあ相手にすらならないと思うけどね」

 

 

 




次回は白ひげの能力を少しだけお披露目しようかな、と思ってます。
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