うわっ…私のサーヴァント、強すぎ……? 作:あんどぅーサンシャイン
「相手にならないって……どういう事ですか、先輩?」
「言葉通りの意味だよ。あんなヤツらじゃあ白ひげの相手はつとまらないってこと……いや、準備運動にでもなれば御の字って感じかもね」
「アンタ、ちょっと白ひげに対して過大評価してないかしら。確かにランサーを倒したのは相当な実力だとは思うけど、だからって複数のサーヴァントを同時になんて……」
「ま、見てればわかるよ」
そう立香が二人に自信満々に告げると共に、白ひげは地面を強く踏み込み、一気にシャドウ・サーヴァント達との距離を縮める。
そのスピードは速く、その巨体からはとても想像も出来ないほど身軽な動きだ。
「せいぜい肩慣らし程度にはなって貰いてェな」
「馬鹿正直デ突ッ込ンデクルトハ、命知ラズナ奴メ!」
その中の一体―――髑髏仮面を付けたサーヴァント、シャドウ・アサシンが飛び出し、白ひげと対峙。
自らの得物である短刀を構えた。
「ぬっ!」
白ひげもアサシンと対峙し、薙刀を上段に振り上げる。
その構えの角度から右斜めに振り下ろしてくるとアサシンは攻撃の軌道を予測し、まずは回避姿勢に入る。
その攻撃後のタイミングを狙い白ひげの首に短刀を刺し、頸動脈をかっ切って殺すという算段だ。いくら肉体が頑丈とて、急所さえ突いてしまえば人間は脆く崩れる……そうアサシンは思っていた。
敵の隙をついて奇襲、暗殺―――それがアサシンのスタンダードな戦い方だ。
「フンッ!!」
そして予想通り、白ひげは薙刀を右斜めに振り下ろす―――
……そう、振り下ろす直前までだけだ。しかしアサシンはそれを自分の読みが当たったと勝手に勘違いし、仮面の奥で笑みを浮かべる。
そして白ひげの攻撃よりもワンテンポ速く、逆の方向へと移動する。
「詰メガ甘カッタナ! ソノ心臓、貰―――」
―――が、
「やらねェよ」
「ッッ!!?」
アサシンは勝鬨の言葉を最後まで紡げなかった。いや、今現在自分に何が起こっているのか理解すらも出来ていないだろう。
「……………」
何故なら白ひげによって……
「甘ェのはてめェの方だ」
断末魔すらあげる事も無く、二つに分断されたアサシンの身体は粒子となって消えた。
「おめェの行動なんざとうにわかってたぜ」
ニヤリと広角を上げる白ひげ。
そう、彼が使ったのは彼の世界でのみ存在する“覇気”と呼ばれる能力の内の一つ―――“見聞色”だ。
覇気とは、『気配』『怒り』『殺気』『闘争心』『威圧』などといった全ての人間に潜在的に備わった概念を呼び、またそれを戦闘用に昇華させ、具現化させたものを指す。
白ひげの世界での“覇気”は大きく三つに分類され、その中の一つが見聞色の覇気。これは相手の気配を強く感じたり、生物の心の声や感情を聞くことの出来る能力を持つ。
更にこの見聞色は鍛える事が可能で、極限まで鍛え上げれば、少し先の未来すら見通すことが可能になる。
もちろん白ひげの見聞色はこの極限の領域に達しているため、未来視によってアサシンの行動をあらかじめ把握することが出来た。
そしてその上でわざとオーバーな攻撃モーションを取り、勝ったと油断した所を討ち取ったのだ。
「その程度じゃあおれの首は取れねェな、若造」
さて、次の相手はどいつか……、と視線を上げようとした時、
「白ひげ! 後ろ!」
「あァ?」
「■■■■■■■!!!」
暴獣の様な咆哮をあげて白ひげに向かってくる影が一つ。
彼には劣るものの、常人の背丈を軽々と超える長身に岩石のごとき筋骨隆々な肉体。その手にはこれまた巨大な大剣が握られている。
サーヴァント―――シャドウ・バーサーカーだ。生物としての理性を捨てた代わりに強大なパワーを得た文字通りの狂戦士。
「次はアイツか」
「! バーサーカー!」
力強く振り下ろされた大剣が白ひげに迫る。
「■■■■■!!」
「白ひげさん! 避けて下さい!」
マシュが叫ぶ。
だが……もちろんこれは全て見聞色の覇気で既に予測済み。
「■■■■ッッ!!?」
バーサーカーの渾身であろう一撃はいとも容易く防がれてしまった。
「殺気出しすぎだ。アホンダラ」
そう言って大剣ごとバーサーカーを押し返す。
「あんな軽々とバーサーカーの攻撃を受け止めるなんて……アイツの筋力スキルどうなってんのよ!?」
「しかも表情が全く歪んでいません……余裕すら感じます!」
「いいぞー! いけいけ白ひげー!」
―――しかし、相手はバーサーカーだけではない。
「あ、白ひげ気をつけて! 言い忘れてたけど上空にも敵いるから!」
「言われなくてもわかってらァ……さっきからうっとおしい真似しやがって、あの野郎……」
そう呟いて上空を見上げると、そこには左右それぞれに大きな魔方陣を出現させ、そこから魔力で生成した玉をまるで銃弾の様に白ひげに向かって放ち続ける存在がいた。
サーヴァント……シャドウ・キャスターだ。
「■■■■■! ■■■■■!!」
「また来ます!」
「ッ!」
バーサーカーの無双の連撃とキャスターの魔弾が彼を襲う。
「……………」
それをかわしたり薙刀でいなしたりしながら、白ひげは落ち着いた表情でバーサーカーとキャスターを観察する。
(確かにパワーはそこそこあるみてェだな。そしてこの防御の概念なんざ全て捨てちまったかの様な猪突猛進な戦闘スタイル……狂戦士とはよくいったモンだぜ。おれはともかく、マシュが相手をしてたら危なかっただろうな……)
(……が、逆に言えば防御に重点を置いてねェぶん、一度態勢を崩しちまえば簡単に反撃が出来るな。ま、この程度のパワーならなんてこたァねェんだが)
(あのキャスターとかいうヤツも……遠距離攻撃と魔術とやらには長けてる様だが、後は大したことはなさそうだ)
(となりゃァ……一体ずつ殺るのは面倒だな。
すると、白ひげはいきなり防御の構えを解いてバーサーカーに向き直った。
「ちょ!? アンタなにしてんの! ガードガード!!」
背後からオルガマリーの声が聞こえるがスルーする。
「グララララ……来てみろバーサーカー! おめェのクソッタレな攻撃なんざガードする必要もねェ!」
声を上げて挑発する。するとバーサーカーはその言葉に従う様に地面を蹴り、大剣を振り上げながら一気に肉薄してきた。そして、
「■■■■■■■ッッッッ!!!」
衝撃音と共にヤツの大剣が白ひげの脳天に命中する。
これにより無残にもピキピキとヒビが入り、やがて砕き割れてしまった。
「白ひげさん!!」
「あのバカ!! なにやって―――」
「!!」
―――なのだが、
「「「……………は!!?」」」
三人が驚きのあまりハモった声を出す。
何故なら砕け散ったのが白ひげの頭部ではなく―――バーサーカーの大剣の方だったからだ。
対する白ひげの頭部は破壊されるどころか傷一つ付いていない。
「■■■■!?」
さすがのバーサーカーも予想外の事態に驚いているのか、声色が変わる。
「
「ど、どうなっているんですか……。あのバーサーカーの強固な大剣を打ち破るなんて……」
「どんな石頭よ……!」
「いや、違うな。多分あれは……“武装色”の覇気だよ」
「「武装色の覇気?」」
立香の言う通り。
白ひげは先程説明した三つの覇気の内の二つ目―――“武装色”の覇気を使ったのだ。
この武装色は簡単に言うと『見えない鎧を纏う』覇気であり、体内に存在する覇気を身体に流す事によってその部分を硬質化し相手の攻撃を防ぎ、また攻撃に転じさせる事も可能。この覇気は武器に纏わせる事も出来る。
武装色は見聞色と同様に鍛える事が出来、達人級の域になると外部破壊だけではなく、相手の内部に直接武装色を流し込んで内側から破壊するという芸当が出来るようになる。
ちなみにこの武装色はとある国では“流桜”と呼ばれている。そして無論白ひげの武装色は言うまでもなく達人級だ。
そして武器を失いがら空きになったバーサーカーの頭を武装色によって黒化した手で鷲掴みにする。
「もういいだろう。終いにするか」
そう言って白ひげは、バーサーカーの頭を掴んでいる方とは逆の腕に力を込める。武装色に加え―――彼自身が持っているあの能力も。
「おい。おめェらもうちっと遠くに離れてな。そこにいたら
後ろのマシュ達にそう言う。
「え?」
「巻き込んじまうって、アンタ何するつもり―――ってちょっと藤丸! アンタどこ行くのよ!?」
「なにって、白ひげの言う通り離れるんだよ! いいから二人ともこっちへ!」
「どういう事ですか? 先輩は白ひげさんが何をするか分かっているのですか!?」
「もちろん! この際だから教えてあげるよ。いい? 白ひげが能力を使う時はね―――何者も近くにいちゃいけないんだよ! 死にたくないならね!」
「し、死にたくないならって……!?」
「うん! だって白ひげは―――」
―――そう、彼女の言葉は正しい。
何故白ひげがかつての世界であらゆる人間達から、“世界最強の海賊”、“世界を滅ぼす力を持っている男”と呼ばれ、恐れられ続けてきたのか。
もちろんそれは白ひげの海賊としての存在感や強さ、高濃度に練り上げられた覇気もあるのだが―――今から彼が披露する能力こそが、白ひげという人間を最強たらしめるものだ。
数秒後、マシュとオルガマリーはそれを激しく理解する事になる。
「耐えれるモンなら耐えてみな、」
そして、その手にエネルギーが溜まったのを見計らうと、
「オオオオオオオオオオッッッッ!!!」
「ッッッ!!!?」
怒号の様な雄叫びをあげ、バーサーカーを思い切り殴り付けた。
その瞬間―――
―――空間が、割れた。
「グラグラの実の―――“地震人間”なんだから!!」
白ひげの戦闘描写って文字に起こすと普通にコイツチートじゃね? ってなりますよね。まぁ実際チートキャラなんですけどね。