うわっ…私のサーヴァント、強すぎ……? 作:あんどぅーサンシャイン
「終わったぞ」
敵が二体とも消え去ったのを確認し、白ひげは三人の下へと戻る。
「……………」
「……………」
「……………」
しかし当の三人は驚きのあまり開いた口が塞がらず、目の前に広がる
ある程度白ひげの能力を知っていた立香でさえまともなリアクションが取れないのだ。他の二人なんてなおさらだろう。
それだけ彼の所業は常軌を逸したものだった。
白ひげがバーサーカーを殴った瞬間―――とんでもない現象が起きた。
「なっ!?」
「何あれ!?
そう―――まるでガラスが割れる時かの様に白ひげが殴り付けたバーサーカーを中心に空間にビキビキと音を立てて亀裂が走ったのだ。
その亀裂はどんどんと広がり、やがて……
「■■■■■■■■■■■■■ーーーッッッ!!!!?」
強烈な破壊音と共にバーサーカーをぶっ飛ばした。
その衝撃は凄まじく、地面は激しく振動し、周囲の瓦礫や炎を吹き飛ばす。
「な、なんなのよ!? 今度は地震!?」
「わわっ!? 立ってられない!」
「所長! 先輩! 私に掴まって下さい!」
「ありがとマシュ!」
全身に力を込めてその場に踏ん張るマシュ。
一瞬でも気を抜いたら瓦礫同様自分達も吹き飛ばされてしまいかねないからだ。
そして吹き飛ばされたバーサーカーの直線上には―――シャドウ・キャスターがいた。もちろんこれは偶然ではなく、白ひげがそうなるよう角度を調節して攻撃を放ったのだ。
「!?」
突然の事態であった為に、キャスターは魔力障壁を張っての防御や回避行動が間に合わず、
「ぎゃぁぁああああああああッッッ!!!?」
バーサーカーに激突し、断末魔の叫びを上げて空の彼方へと消え去った。
勿論生きていられる筈もなく、二体は霊核を粉砕されて消滅した。
「そんなに飛びてェなら、仲良く空中旅行でもしてやがれ。グラララララ」
二体が飛んでった方を見上げて笑う白ひげ。
その表情はまだまだ余裕たっぷりであり、シャドウ・サーヴァント達との圧倒的力量の差を物語っていた。
以上が、つい先程に起こった事である。
「……? おい、なに揃って間抜けたツラしてやがる」
白ひげが三人に問う。
「あ、あはは……」
「ん?」
「わ、わかってはいたけど実際に目にするととんでもない能力だね……グラグラの実って。私まだ足がガクガクしてるよ……テンション上がったからハイタッチでもしてやろうって、思ったのに……」
「グララララ、小娘にゃあ刺激が強かったか?」
「刺激なんてモンじゃないよ……さすが“怪物”だね……」
「……え、えっと……今のって、夢じゃ……ないのよね?」
「は、はい。私もまだ信じられませんが、これは歴とした現実です……」
三人は心底思った。
彼が敵でなくて本当に良かったと。
『―――あ! 繋がった! おーい、無事かい三人とも!?』
突然誰のものでもない声が響く。
その声の発生源は立香が手首に付けていた腕時計のような機械からだった。
「あっ、その声はドクターだ」
立香がドクターと呼ぶその人物。
名前をロマニ・アーキマン。人理保障機関“カルデア”の医療部門トップを務める
「ドクターも無事だったんですね」
『ああ。あの後異常があった地下の発電所に向かっていたから、運良く爆発を逃れたんだ―――ってマシュ!? なんだいその破廉恥な格好は!? 僕はそんな子に君を育てた覚えはないぞ!? っていうか身体能力と魔術回路が格段に上がってるし!』
「いや、これはですね……」
「ちょっと!! なんで貴方が先に出てくるのよ!? レフはどうしたのよレフは!?」
「うわぁぁああっ!? 次は所長!? え、なんで貴女がいるんだ!? あり得ない!」
「あり得ないって何よ!! 幽霊か私は!!」
「鬱陶しさと目付きの悪さだけなら幽霊よりも上かもね」
「藤丸。歯を喰い縛りなさい」
「所長! それはダメです! ガンドは人に向けて撃っていいものじゃないですから!」
(……うるせェな……というかさっきから誰と喋ってんだコイツは)
その後、マシュがロマニに簡単に事情を説明する。
『なるほど、つまりマシュは英霊と人間の融合体―――デミ・サーヴァントになったワケだね。ようやく成功したのか』
「はい。そのおかげでなんとか一命を取り止めました」
『それじゃあ、君の中にはどんな英霊が?』
「……それは、わかりません。彼は私に戦闘能力のみを託して消滅しましたから。最後まで真名を告げずに」
『そうか。まァでも、あの状況じゃそうなっても致し方ないさ。あ、そういえばさっき信じられないぐらい強大な魔力反応と敵性反応の著しい消失があったんだけど。もしかしてそっちでサーヴァントに出会ったりでもしたのかい?』
「サーヴァント……あっ! そうだドクター! 私達やりました! さっきとんでもなく凄いサーヴァントと出会ったんですよ! 今一緒にいるんですけどね!」
『おおうっ! 随分と興奮してるみたいじゃないか藤丸君。凄いサーヴァント? なんだいそれ?』
「ふっふっふ~。何を隠そうあのワンピ―――」
「おい、さっきから誰と話してやがる」
「あっ」
業を煮やした白ひげが、立香の背後にしゃがんで近づく。
ちなみに白ひげ側からは見えないが、向こう側からはこちらの光景が見えている仕様になっているので、
『…………………………』
急に黙り込むロマニ。
「? おーい、ドクター?」
『……………』
「ドクター?」
『……………し』
「し?」
『白ひげェェェェェェえええええええええええ!!!?』
「「「わああああああ!!?」」」
ロマニの怒号の様な驚愕の声がいきなり鳴り響き、ビックリする三人。
「ちょっとロマニ! いきなり大声出すんじゃないわよ!」
『嘘っ!? へっ!? はっ!? えっと、あっ、な、ななななななんで白ひげがァァ!? しかも若ッ!? 若ァァああ!? マリンフォードの時より全然若々しい様に見えるんだけど!?』
「お、落ち着いてくださいドクター! さっきの先輩と全く同じリアクションを取ってしまっていますよ!?」
『いやだって予想外過ぎるじゃないか! はじめてのサーヴァントが世界最強の海賊って! いやまァ確かに架空の存在がサーヴァントとして現界するのはなんら珍しい事ではないけども! しかもなんだいこの馬鹿げたステータスは!? マスターがいない状態でコレとかまるでグラ―――』
「ああもううるさいわね! 貴方といい藤丸といい一々リアクションがオーバー過ぎるのよ!!」
「まァ白ひげだからね。しょうがないね」
「嬉しそうですね、先輩……」
うんうんと頷く立香。
「というかドクター。白ひげを知ってるって事は貴方も読んでたんだね」
『当たり前じゃないか! なんならカルデアの僕の部屋に最新巻まで一式揃っているよ! 休憩中やサボりの時に結構読んでるからね』
「えっマジで? じゃあ帰ったら読みにいっていい? 私まだ最新巻読んでないんだよねー」
『ハハハ! いいともさ!』
「おい」
サボりと聞いてオルガマリーがまた何かギャンギャン言い始めた。
しかし全員スルーした。
「おい。それよりもおめェは何モンだ」
『あっ、こ、これは失礼した! 僕の名前はロマニ・アーキマン、藤丸君達と同じカルデアのメンバーで医療部門のトップを勤めています』
「エドワード・ニューゲートだ。呼び方は好きにしろ」
『よ、よよよよろしく頼みます。えっと……ミ、Mr.ニューゲート』
「ああ」
緊張が隠せていないロマニ。
サーヴァントとはいえ、相手はあの大人気漫画の中でも最強、そしてかなり人気の高いキャラクターだ。そうなってしまうのも無理は無いだろう。
しかし、当の白ひげは彼に対し―――謎の違和感を覚えていた。
(…………………この小僧……)
―――
その後、ロマニとの通信を終えて四人は再び冬木の街を歩く。
彼曰く、どうやらこの冬木が特異点に変化し、この様な燃える街と化したのは単なる災害ではなく、人為的なもの。
そしてそれに大きく関わっているとされるのが、かつて2004年に冬木で起きた聖杯戦争。しかし見ての通り本来の聖杯戦争とは全く異なる結末に置き換わってしまっている。
そしてその原因もまた―――聖杯によるものであるとロマニは言った。
「なァ、その聖杯ってのァなんなんだ?」
「聖杯というのは簡単にいうと―――ありとあらゆる願いを叶える事の出来る万能の願望器よ。さっきマシュの説明にもあったけど、聖杯戦争で勝ち抜いたサーヴァントとマスターにのみ与えられるの」
「ありとあらゆる願いを……だと?」
「ええ。富、名声、力はもちろんのこと、その果ては―――
「……! つまり、死んだ人間を生き返らせれるって事か……」
「ええ」
「そうか……」
―――今日までこんなどうしようもねェおれを……鬼の血を引くこのおれを………!!
―――愛してくれて……………ありがとう!!!
―――出国はおれの夢なんだ!!! 共に行こう!!! 見せてくれ!!! “世界”を!!!
―――あ、煮えてなんぼのォ~~~おでんに候!!!
「……………」
「……白ひげさん? どうかしましたか?」
「! いや、なんでもねェ」
「?」
なのでその聖杯の所有者を見つけ出し、その者から聖杯を奪取する事が出来れば特異点は消滅し、立香達は元の時代に帰還することが出来るらしい。
その為、まずはその聖杯の所有者を見つけなくてはならないのだが……
『えっ!? 分かるんですか! 聖杯とその所有者の居場所が!?』
「ここに来たときからずっと妙に胸クソ悪ィ気配を感じててな。それがおめェの言うヤツかどうかは知らねェが、状況的に考えりゃあ一番可能性があるだろうよ」
『気配って……それってまさか、俗に言う見聞色の覇気ですか?』
「まァ……そんなところだ」
『おお! それが噂の!』
「さっすが白ひげ!」
という事で、白ひげが先導する形でその場所に向かっているのだが、
「そういえば白ひげ、マシュ。貴方達に聞きたい事があるのだけど」
「あァ?」
「はい、なんでしょうか?」
その道中でオルガマリーが二人に話しかける。
そして彼女の口から発せられたのは―――
「―――貴方達。“宝具”は使えないの?」
そんな言葉だった。
すんごい今更なんですけど、fgoってアプリ版とアーケード版でストーリーとか出てくるサーヴァント違うんですね。ビックリしました。ノアすこ。
というクッッッッソどうでもいい報告でした。それではまた。