新「艦娘」グラフティ7(第18部)   作:しろっこ

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響から独奏曲が決まったことを聞かされた提督。慌てて彼女と、イロイロやり取りをするのだが。




第1話<コトバと音楽>

「言葉は偉大だ」

 

--みほちん------------

新「艦娘」グラフティ7

第1話<コトバと音楽>

 

---------(第18部)---

 

「司令官はハチャトゥリアンは好きか?」

廊下で出会った響ことВерныйに、急に尋ねられた。

 

「フム」

立ち止まって、少し考える。

 

「ガイーヌとか好きだな」

「なるほど」

私の返事を聞いた響は、窓の外を向いて思案している。

 

やがて彼女は決断した。

「よし。やはりハチャトゥリアンだな」

 

そのまま海を見詰めている蒼髪の少女に私は問うた。

「もしかしたら、次の演目は、それで行くのか?」

 

軽くアゴに手をやって少女は答える。

「そうだ。ちょっと泥臭いが。司令官なら大丈夫だろう」

 

「それは光栄だね」

お世辞ではない。私は率直に応えた。

 

この気持ちが伝わったのだろうか。彼女も珍しく微笑みを浮かべた。

 

「言葉は偉大だ」※

ふと口走る響。

 

「なに?」

聞き返した私に、背丈の低い駆逐艦娘は、こちらを見上げるようにして続けた。

 

「言葉は偉大だ。人をつなぎ、分断する」

「……」

 

私が返事に窮していると彼女は淡々と説明した。

「トルストイの言葉だ」※

 

「あぁ、そうなのか」

博学だな、と思った。

 

「だが音楽は違う」

「……」

やれやれ。思わず肩をすくめた。

 

「これじゃ、まるで禅問答だな」

これ以上、返す言葉が無いぞ。

 

私が頭の後ろに手をやっていると少女は静かに微笑む。

「それは司令官も分かるだろう」

 

思わずタジタジになる。だが立場上、苦し紛れに答えておく。

「ああ、そうだな」

 

いつも思う。六駆の中でも、この艦娘は、いろんな意味で突出している。

 

たくさん居る駆逐艦娘たちの多くがヴァイオリンを担当した。

 

当然、習熟度には大きな差が出た。

 

しかし最後まで、きちんとマスターして、ソリスト級の域に達したのは、この子だけだ。

 

そんなことを考えていると再び響が言った。

「他の演目は任せる」

「ウム」

「敢えて言わせてもらえばロシアの作品で統一すると嬉しい」

 

私は腕を組んだ。

「ロシアか」

 

そうと呟いてから改めて駆逐艦に聞く。

「譜面は持っているか? そのハチャトゥリヤンの」

 

響は黙って首を左右に振る。

 

私は、ゆっくりと頷いた。

「分かった。手配しよう」

 

ポケットからメモ帳を出すと『スコア、響の協奏曲、ハチャトゥリアン』と走り書きをした。

 

「さぁ、忙しくなるな」

そう言って別れようとすると、日本海を見詰めながら響が言った。

 

「司令官、当日の演目が決まったら私にも知らせて欲しい」

 

改めて彼女と同じ方向を見た私は応えた。

 

「分かった」

 

 

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