「ソロのデビュー戦だ」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ7
第2話<演奏会について>
---------(第18部)---
敬礼をして立ち去る響。
返礼しながら私は呟いた。
「さて問題は演目だな」
軽く腕を組む。
(手っ取り早く当日は全部同じ作曲家で固める、というのもアリか)
ふと作曲家であるハチャトゥリアンの肖像画……濃い眉毛の顔を連想する。
「ガイーヌは面白い。だが彼の交響曲だと『鐘』になるよなぁ」
そこで考えを改めて苦笑した。
「曲が重い。やっぱ一般市民には難しいか」
そこにコンマス兼、副指揮者の荒潮がやって来た。
「提督」
小脇に書類。譜面だろうか?
「おぉ、荒潮か」
私に向かって立ち止まって敬礼をした彼女は言う。
「提督、次回の演奏会の演目ですが」
「ウム、ちょうど考えていた処だ」
すると荒潮は軽く頷いた。
「立ち話も何ですから場所を変えましょう」
「そうだな」
さらに提案。
「提督、関係する艦娘にも声を掛けましょうか」
「ああ、可能なら頼む」
早速、荒潮は無線で連絡を取り始める。取り敢えず私は執務室へと移動した。
ドアを開けたが部屋には誰も居ない。
私は内線電話で鳳翔さんを呼び出す。
「私だ。執務室に、お茶を頼みたい」
急だったので途中で会話が詰まる。
「えっと、数は……と」
口ごもっていると明るい声が返る。
「打ち合わせでしょうか?」
「あぁ」
「では多少の増減でも大丈夫な人数で、ご準備します」
「それで頼む」
安心した私は、そのまま内線を切った。
彼女は機転が利くから助かる。
やがてドアがノックされた。
「失礼します、青葉です」
「吹雪、入ります」
いきなり重巡洋艦と駆逐艦だ。
「演奏会の件だと伺いました」
「場所は何処でしょうか?」
賑やかだな。
「まぁ、座れ」
頷いて指示に従う二人。相変わらずフットワークが軽い。
続けてドアがノックされた。荒潮が顔を出す。彼女の抱える資料は増えていた。
「荒潮、入ります。皆さん、お揃いですね」
続けて鳳翔さんが、お茶を持参してくれた。
「失礼します。あぁ、ちょうど良かったですね」
彼女が、お茶を準備する間に駆逐艦が資料を配布。
重巡洋艦がホワイト・ボードを設置。
「では失礼します」
お茶を配り終えた鳳翔さんが退出する。
落ち着いてから私は立ち上がった。
「作戦会議じゃないから、お茶でも飲みながら進めよう」
この言葉で各自お茶を取る。
続けて荒潮が着席したまま背筋を伸ばして宣言する。
「えっと、では次回の演奏会について打ち合わせを始めます」
机に目をやった吹雪は驚いた。
「資料、多いですね」
「その資料は、まだ未決の物も多いので参考に留めて下さい」
やんわり説明する荒潮。
サラサラと頁を捲(めく)っていた青葉が感嘆の声を上げる。
「おぉ、やはり次は響ですね」
「そうだ。ソロのデビュー戦だ」
私は補足した。
吹雪も目を輝かせて頷く。
「結局、駆逐艦でヴァイオリンをマスターしたのは響さんだけですよね。凄いなあ」
青葉は、何度も頷く。
「寡黙だけど頑張り屋さんですよねえ」
それには私も同意する。
「そうだな。お陰でうちのオケも体面が保てるってモンだ」
この言葉に一同が納得。
私は重巡洋艦に確認する。
「青葉の方では、ウチへの批判情報は入っているか?」
ウインクして否定する青葉。
「いえ、今のところ無いです。むしろ批判していた拠点は軒並み舌打ちしてますよ」
吹雪が聞く。
「それは、どういうことですか?」
荒潮が受ける。
「ここ数年、海軍省から音楽とか芸能の一般大衆向けの公演要請が多いの」
「あ、あぁ。そうですね」
広報も担当する吹雪には思い当たる節があるようだ。
「最近は行った先から『楽団は来ないんですか?』って聞かれることも多いンです」
そんな彼女の言葉に青葉も加勢する。
「最初は私たち艦娘がオーケストラを作るなんて誰も信じませんでしたし」
私は続けた。
「深海棲艦によって陸に閉じ込められた国民には音楽が持つ癒しの力は大きい」
この説明には全員が深く頷くのだった。
「まぁ、思い出話はこのくらいにして……」
私の言葉を受けて荒潮が頷くと、軽く咳払いをしてから立ち上がった。
「では、概要から説明します」
ホワイト・ボードの前に立った彼女は一礼をした。
「今回はツアー公演を予定しています」
一同、どよめく。
「いよいよですか」
「遠征ですね!」
私は解説する。
「軍令部と海軍省も期待している。当然、青葉と吹雪にも同行してもらう」
頷く二人。私は続けた。
「演奏会を通じて社会不安を拭い治安維持に期する意味では憲兵にも期待されているようだ」
「ワクワクしますね」
「うーん」
吹雪は感動している。
「演目の候補はお決まりですか?」
「そうだなあ」
私は考え込んだ。
「ウチのオケで出来そうな曲かぁ」
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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