新「艦娘」グラフティ7(第18部)   作:しろっこ

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実は提督自身がまだ艦娘オーケストラに懐疑的だったが直ぐに反省した。



第4話<微速前進>

 

「歌うのが好きな子が多いですよ」

 

--みほちん------------

新「艦娘」グラフティ7

第4話<微速前進>

 

---------(第18部)---

 

青葉が言う。

「でも、やっぱり楽譜が無いと二進も三進(にっちもさっち)も行きませんね」

 

「ははは」

思わず苦笑してしまったが、その何気ない一言が総てを表していた。

 

「まぁ、せっかく集まってもらって悪かったが現状はそういうことだな」

「そうですね」

荒潮も肩をすくめる。

 

「でも現状を正確に捉えて共有することが大切だと聞いております!」

吹雪の正論に救われる思いだった。

 

「先ずは楽譜だな。後は追って考えよう」

「では私は手配の準備に入ります」

「頼む、今日は以上だ」

ここで全員が起立して敬礼。「作戦会議」は一旦お開きになる。

 

解散となった艦娘達は各々の持ち場へと戻る。

 

だが誰も居なくなった執務室で私は急に脱力して机に突っ伏した。

「はぁ」

 

額が机に当たってゴンという鈍い音を立てる。汗ばんだ額が冷たい机上で心地良い。

「これじゃ普通の作戦の方が遥かに気楽だよ」

 

地上に居ながらも五里霧中で想定外の連続。雲を掴むような状況が続く。

 

そのままボンヤリと考える。

(それでも徐々に輪郭が出来つつある美保鎮守府交響楽団か……初公演目指して微速前進だな)

 

「しかしオーケストラの演奏なんて本来、艦娘がやるべきことじゃないよなぁ」

ついボソボソと愚痴が出る。

 

「お疲れですか」

「エッ!」

驚いて顔を上げると、いつの間にか副司令が居た。

 

「あ、いや」

私は慌てて座り直して帽子を被り直す。

 

(額が赤くなって無いかな?)

然(さ)り気無く手を当ててみる。

 

しかし彼女は平常心。私の机に報告書を差し出した。

「大淀さんから響を中心に出撃シフトを再考するとのことです」

 

「なるほど」

相変わらず仕事の早い軽巡洋艦。

 

そのまま自席に座った祥高さんが続ける。

「響はヴァイオリンが上手ですね」

 

「あン?」

意外な問い掛けに、まごついた。

 

しかし彼女は書類を整理しながら畳み掛けてくる。

「提督は響の演奏は?」

 

「いや、未だ」

実は聴いたことがない。

 

ここで祥高さんが微笑んだ。

「私も音楽には疎いのですが、とても良い感じだと思いましたよ」

「そうか」

 

言葉を返しつつ私は後ろめたい気持ちになった。

(他所の鎮守府から批判される以前に私自身が艦娘の楽器演奏に否定的だったな)

 

そこで尋ねてみた。

「響は何処で演奏しているのかな」

 

「空いている講堂です」

「フム」

単純に興味が湧いた。

 

「ちょっと聴いてみるか」

私は立ち上がる。

 

すると祥高さんがニコニコして言った。

「熱心に演奏してたので、まだ居るかも知れません」

「あぁ」

 

ドアノブに手を掛けた私に彼女は言う。

「提督、艦娘は案外歌うのが好きな子が多いですよ。確か、講堂には六駆の艦娘たちも一緒でしたし」

 

一瞬、心臓が飛び出すかと思った。

「そ、うか」

 

ドキドキしながら私は逃げるように廊下へ移動した。

 

 




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