ビルドダイバーズRe:RISE After Stories   作:Φ30

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3話 ヒナタ、ガンプラを作る 下

3話

 

「久し振りだな、BUILD DiVERS。カムイヒナタも」

 

「だから、ムカイだっての、アホマサキ」

 

べしッとシドの脳天にチョップするのは全身にペイントが施されたアマゾネスの女性。

Sランクダイバーのシドにこんなことを気軽にできるのは1人しかいない。

 

「えっ!先輩!?」

 

「こっちでは初めましてだね。ムカイ」

 

ミズキさんか。シドの姉でヒナタの弓道部の先輩だ。

GBNやガンプラに興味はなさそうだったが、どうしてここにいるのだろうか。

 

「どうしてここに?」と、パル。

 

「マサキが助かってから、改めてアンタ達の動画を見ていたら心が踊ってね。気づいたらマサキにやり方を聞いていたよ」

 

恥ずかしそうに頬を掻くミズキさん。

彼女はパン、と手を叩いて話題を替える。

 

「そういうのは置いといて、アンタ達これから動画を撮るって言っていたでしょ」

 

「ああ」

 

「私も折角だからG-TUBEに出てみたいと思ってね、どうかな?ムカイを中心にする、みたいな話だしビギナー同士の方が絵になると思うんだけど」

 

「結構、恥ずかしいと思う人も多いと思うんだが、一応理由を聞いてもいいか?」

 

エルドラの一件以来、カザミの動画に出演したいダイバーは多い。売名目的という事はないだろうが、どのような理由か訊く必要はある。

 

「動画になれば自分の動きも確認できるし、アドバイスをくれる人もいるでしょ、面白そうだし」

 

「うぅん・・・。俺は良いと思うけど、ヒナタはどうだ?」

 

「私は良いですよ。先輩と一緒の方が楽しそうだし」

 

ヒナタはワクワクしている様子でミズキさんに目をやり、お互いに目が合う。2人でやりたい様子だ。

 

「よっし、わかった。2人に合うミッションを決めるぜ」

 

 

 

 

※※※

 

ヒナタとミズキさんをミッションに送った後、俺達はGBN内の動画編集スペースに来ていた。

カザミによれば、ここなら実況と動画の編集が同時にできるらしい。

現在はスタジオを映しているが、GBNのステージにも簡単に切り替えられるとの事だ。

今、カザミは視聴者向けに企画の説明をしていた。

 

「って訳でヒナタの機体の御披露目を兼ねた運用テストをするって訳だ。見ているみんなのコメントが頼りだぜ。ってな訳で解説者の紹介だ!ヒロトにメイにパル、BUILD DiVERSのみんなだな。因みにヒナタの機体にはヒロトが1枚、噛んでるぜ。それから、特別ゲストにSランクダイバーのシドだ。ヒナタと一緒にいるミズキさんはシドのお姉さんだぜ」

 

そう話すと、画面の映像はGBNのステージに切り替わった。

 

 

※※※

 

私と先輩(ミズキさん)の前に広がっていたのは、廃墟と化した市街地。

焼け落ちつつあるビル群は、まるで鋼のジャングルのよう。

 

先輩はどんなのに乗っているのかな、と機体を見る。

タイヤみたいのに乗っているクマみたいな機体。昔作ったプチッガイに似ている。

*1

 

「ムカイ…じゃなくてヒナタの機体はウサギみたいだね、可愛くてヒナタらしいねぇ」

「えへへ。ウーちゃんはかわいいって」*2

 

「ありがとうございます。先輩の機体はバイクをイメージした感じですか?」

 

「そうさ、バイクなら慣れているしね。中身はマサキの趣味だけど。それにしても、ダイバーネームとはいえ、名前の方で呼ぶのは新鮮だね」

 

「そうですね、ミズキさん。私もおんなじ事を考えてました」

 

『2人共、準備は良いか?今回のミッションは殲滅戦だ。ダメージを受けずに、素早く撃破するのが高得点のポイントだぜ』

 

 

 

―MISSION START!―

 

 

開始の合図とともに、空から降りてくる緑色の機体達。

輝く赤い1つ目が流れ星のように地上へ軌跡を描く。

 

 

「早速、仕掛けるよ!」

 

 

アインラッド in ベアッガイは火花を飛ばしながら、凄まじい速度で敵陣に突っ込んでいった。

一方、ヒナタはコンポジット・コアシールド・ブースターからセンサービットを飛ばす。

ウーちゃんのコンポジット・シールド・ブースターは改造によってプラネッツシステムのアーマーの一部を装備できる。今回、装備しているのはウラヌスアーマー。ミズキの奇襲の成功率を高める狙いだ。

 

「凄いスピード。なら私はサポートします!」

 

「おっ、相手の位置がよく分かる。これなら…!」

 

アインラッドはザクⅡの側面に体当たりをぶちかまし、スクラップに変える。

まるで弾丸。大質量のインパクトに加え、タイヤの回転が更に衝撃を高めているのだ。*3

 

派手な奇襲は当然近くにいた他のザクⅡも気づき、マシンガンを構える。

 

 

雷光一閃!

 

 

彼方からのビームがザクⅡを溶かした。

*4

 

 

「流石だね、ヒナタ。良い射だよ」

 

機体のサブモニターに映るビームシュートライフルU7の砲身がついたコンポジット・コアシールド・ブースターを構えたウーちゃんの姿。

ヒナタは弓道部のエースという事だけあって、狙撃とは相性が良かった。だからこそヒロトはウラヌスアーマーを予め貸していたのだ。

 

「ありがとうございます。この調子でどんどんいきましょう」

 

背面のブースターーウラヌスアーマーの脚部と肩由来のそれを吹かし、ヒナタは現在地から離脱する。

弓道と違って、その場に留まる事は撃墜される可能性が高い。

ヒナタは今までのトレーニングから嫌という程、理解していた。

 

「だね。狙うは最高記録更新だよ」

 

敵はまたまだいる。2人は次の敵がいる場所へ向かった。

 

 

※※※

 

 

『2人共、中々のコンビネーションだぜ』

 

ミズキが敵陣を荒らし、ヒナタがサポートする戦略が噛み合い、ほぼダメージを受けないまま次々と敵を撃破していった。

 

「ありがとう。そういえば、いつの間にか敵、いなくなったね」

 

「けど、ミッションクリアの画面は出ないね」

 

『どうやら、エクストラステージに移行したようだぜ、2人共、上を見てみな!』

 

え?というように空を見上げるヒナタ達。

空中に出現する異形の四つ足――ビグ・ザムだ。

 

「何あれ、緑のタコ?」

 

GBNのミッションでは高得点をマークするとエクストラスエネミーが出現する。GBNでは初級ステージの各エクストラエネミーを倒して、ようやく中級者と言える。

 

「随分とデカイ的だねぇ!」

 

防御力は高そうだが、彼女たちは先程までの敵は一撃で倒してきた自負がある。一発では倒せなくても、何発か当てれば倒せるだろうと、2人はビームを次々に放つ。

 

しかし―――、

 

「効いていないの!?」

 

ビグ・ザムの周囲には半透明なモヤーIフィールドが展開されている。

Iフィールドの特性はエリア外のビームを無効化する。

対策はIフィールド内部からの攻撃が弱点。

 

「あ、ミズキさん。ミサイルは当たってますよ」

 

「ホントだ。だけど、このミサイル、あんまり威力が出ないんだよ。あのバリアを何とかすれば、足元から崩していけそうなんだけどねぇ」

 

「もしかして・・・」

 

ヒナタが呆けた次の瞬間ビグザムの砲口がギラリと光った。

 

「ヒナタ・・・!」

 

シールドを機体の正面に構えるように振りかぶった。

 

『間に合わない・・・!』

 

パルは悲痛な叫び。

 

 

しかし―――――、

 

『弾かれた!?なんでだ!?』

 

ビームはシールドに接触する手前で拡散するように弾かれていた。

耐ビームコーティングでは説明がつかない挙動にカザミは目を見張る。

 

『ヒロト、解説を』

 

メイも驚いている様子で真相を知っているであろうヒロトに解説を求めた。

 

『あのシールドにエイハブリアクターを仕込んである』

 

『『ええっ!』』

 

エイハブリアクターはナノラミネート塗料との相互作用によりビーム耐性を大きく引き上げる。

鉄血のオルフェンズの機体の最大の特徴である。

そもそも、宇宙世紀の機体とは技術が異なるシステムだ。

 

『動力を本体とシールド側に分割した場合、性能も低下する筈だが』

 

『そうだ。確かにそのままエネルギー配分を割り振るとスペックダウンは免れない。だからシールド側にはほとんどエネルギーを割り振っていない。しかし、装甲の本来の仕様に変化はない。つまり、パッシブスキルはそのまま適用される』

 

『だから、ビームも本体側のエネルギーでそのまま撃てたのか』

 

GBNにおいてエイハブリアクター搭載のモビルスーツはバランス調整と世界観の再現のため、ビーム兵器の使用ができなくなっている。あくまでエイハブリアクターをエネルギー源にした場合の使用が不可であるだけで抜け穴がある。

 

『エイハブリアクターの部分はGNドライブや通常のジェネレーターへの換装も簡単にできるようになっている。世界観の枠組みを超えたセッティングを調整可能にすることが本機の特徴だ』

 

 

だが、戦闘はビグ・ザムの猛攻を凌ぎ続けている状態でヒナタたちは攻撃を防ぐのに終始しているという状況だった。

 

「やっぱり、あのモヤモヤを何とかしないと・・・。ミズキさん!10秒くらい、私を守ってくれますか?」

 

「・・・なるほどね。作戦があるんだね。いいよ、ノった」

 

ウーちゃんの正面に躍り出るベアッガイ。

アインラッドから降りると、側面のビームシールドを展開させ高速回転させる。

 

『あれは超防御形態だ。本来は相手の攻撃を受け止め、カウンター気味に一撃を決めるための布石。言うなれば、鮭を刈り取る熊の型だ!』

 

 

ビィィイン!

 

 

ビグ・ザムの主砲から巨大なビームが発射されるがアインラッドのシールドが弾いていく。どうやら回転によって、シールドにかかる負担を軽減している。

 

「ウーちゃん、行くよ!」

 

掛け声とともにコンポジット・コアシールド・ブースターのクロー部分がボウガンの弓のように展開する。

本体は膝から下を変形させ、正座するように地面に下腿を付ける。

そして、シールドの先端からギリギリという音とともに杭がせりあがっていく。

 

『エイハブリアクターに、杭ってことはまさか・・・、ダインスレイブか!!』

 

オルフェンズ世界、最高の威力を持つ射撃武装、ダインスレイブだ。その一撃はどのような装甲でも貫く。

一撃だけではあの巨体を破壊する事は難しい。

しかし、機関部に当てることができれば、Iフィールドの停止もできると彼女達は踏んだのだ。

 

『だが、ダインスレイブはエイハブリアクターをエネルギー源としなければ打てない武装の筈。シールドにはほとんどエネルギーを割り振っていない。威力はあまり出ないのではないか?』

 

メイが思案顔になる。そのそばでピン、と犬耳をたてたパルが声を挙げる。

 

『そうか変形!変形システムはパラメータ配分を変えれられるだけじゃなくて機体のエネルギー配分を変えられる。そうですよね、ヒロトさん!』

 

『ああ、今はシールド側にエネルギーのほとんどを割り振っている。更に、機動力を全て射撃攻撃力に変えている』

 

 

ヒロトの目には、ビデオで見せてもらった弓神事でのヒナタの姿と重なって見えた。

この瞬間、彼女は間違いなく、人機一体(アシムレイト)を体現していた。

 

「当てる!」

 

キュッゴッ!

 

音を弾く程の爆音が凄まじい加速で射出された。

最早、もたらされるのは、[ダインスレイブが発射口を穿った]という結果のみ。

 

 

ドォオオン!

 

 

煙を挙げるビグ・ザム。Iフィールドは蒸発するように霧散していく。

 

「よしっ!一気に行くよ!」

 

アインラッドに乗りなおしたベアッガイはビームを足に集中して攻撃を始めた。

 

「じゃあ私も!コアチェンジ・ドッキングゴー!」

 

『おおっ!キター!』

 

ウーちゃんの廃部とシールドからアーマーが分離し、手足、胴体とパーツが合体していく。

最後に頭の後ろにアンテナが付き、リボンを着けたようになる。

 

『やっぱ、コアガンダムと言えば、これだぜ!』

 

ビームをもう一方の足に連射しながら、背部のビームサーベルを抜刀、急接近。

 

こうなれば、敵はもはや、解体されるのみ。ビグ・ザムのヒットポイントは見る見るうちに減少していった。

 

 

―BATTLE ENDED!―

 

 

 

※※※

 

収録を終えて、俺達は2人の下へ向かった。

 

「いやー、楽しかった。動画を見るのが待ちきれないよ」

 

アッハッハ、とミズキさんは豪快に笑いながらこちらに歩いてきた。

ヒナタも笑顔で頷いている。

 

 

「私も楽しかったよ。ミズキさんとできてよかったよ」

 

 

「2人が頑張ってくれたおかげでいい物になりそうです」

 

それからと、ヒナタは俺の方へ向き直る。

 

「ヒロト、ありがとう。ヒロトがいたからこの子をちゃんと作ることができたし、一緒に戦えていたと思う」

 

「そうか、よかった」

 

「これからもよろしくね、ヒロト」

*1

カザミ『ベアッガイはシドの趣味が反映されてるよな・・・。しかし、アインラッドとは・・・』

シド『ああ。やはりクマは強靭さと素早さ、愛らしさ。全てを兼ね備えている完璧な存在だからな・・・』

カザミ『そっちじゃなくて、アインラッドだよ。よく探し当てたな。結構レアな機体だろ』

シド『ム・・・。姉さんならバイクは選ぶのはわかっていたが、アインラッドに一目ぼれしてな・・・』

カザミ『あー確かにあの人、バイク好きそうだもんな』

*2

シド『ヒナタの機体はウーンドウォートとコアガンダムのミキシングか』

パル『バックパックはプラネッツシステムのアーマーですね』

ヒロト『ああ、コアガンダムTR-X[ウーンドウォート ニフリス]だ。アーマーはバックパックとコンポジット・シールド・ブースターに分散して配置させている』

カザミ『名前、長ぇ』

ヒロト『通称はウーちゃんだ』

カザミ『プラネッツシステムの新しい可能性の1つって事か。そういやヒロト、コアガンダムのフォロワー結構増えてきているな』

ヒロト『そうだな、嬉しいことだ』

*3

パル『すごい威力ですね』

シド『機体の性能の割り振りを90%もアインラッドに振っていたからな』

カザミ『あれだな、キマリスに似ているんだ戦術が』

メイ『視角外かつレーダー感知前からの強襲。ミズキもなかなかやるな』

シド『どうやら、アインラッドとの相性は良かったようだな』

*4

カザミ『完璧なタイミングだぜ、なぁヒロト』

ヒロト『隙を見逃さなかったな。センサービットを巧く使っている』




ミズキのモチーフはシドが.hackのバルムンクなので、本SSでは同じフィオナの末裔のオルカをモチーフにしています。

オマケ オリジナルガンプラ設定

コアガンダムTR-X[ウーンドウォート ニフリス]
型式番号:PFF-X127
全高:17.3m(GBN内)
重量:35.4t(GBN内 本体のみ)
ビルダー:ムカイ・ヒナタ クガ・ヒロト
ファイター:ヒナタ
概要
ガンダムTR-6[ウーンドウォート]とコアガンダムのミキシング。
ヒロトのコアガンダムと違い、アーマーが背中のコアアーマーブースターと、コンポシット・コアシールド・ブースターに付いているため、合体は火力特化からバランス型に切り替える形になる。また、アーマーと合体する事でアーマー側のパッシブスキルが適用される。
ちなみにアーマーを2種類同時に装備する事も可能。

武装
コアサーベル
・コアガンダムの物と同一。
コアアーマーブースター
・背中に着いているブースター。アーマーフレームの一部を流用していて、肩・脚・胴体・アンテナのアーマーが付く。
コンポジット・コアシールド・ブースター
・コンポシット・シールド・ブースターとコアスプレーガン、コアシールドのミキシング。砲身がコアスプレーガンになっているため、コアガンダム用のアーマーを着ける事が可能。
アーマーフレームを流用していて、腰・腕・武器のアーマーが付く。
シールド内には余剰スペースがあり、エイハブリアクターなどのジェネレーターを着ける事ができる。ダインスレイブも1つ搭載されている。(エイハブリアクターを使用時はダインスレイブだが、GNドライブだとGNパイルバンカーになる)
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