ビルドダイバーズRe:RISE After Stories 作:Φ30
ロードアストレイΩ発売記念です。
4話
「今日もミッションに行こうぜ・・・って、メイがいねぇ!」
いつものように最後に来たカザミはそう宣言したが、普段いるはずの人物がいないことに気づいた。
「メイさんは検査があるから、遅れるって連絡がありましたよ。それから、ヒロトさんが」
「みんなで迎えにいってみないか?ELバースセンターは近くにあるし、1度行ってみたくてな」
「いいんじゃねぇか。俺も、あっちの方は行ったことがないんだよなぁ」
メイに連絡を入れるとすぐさま、了解の返事が来て早速向かう事になった。
※※※
ELバースセンターに着くと予想だにしていなかった人物が待っていた。
「コーイチさん、どうしてこんなところに?」
眼鏡をかけたエルフ耳で白髪、ビルドダイバーズのコーイチさんだ。
一敗ダイバーの筈なのに、何故?
そんな疑問が顔に出ていたのかコーイチさんが説明する。
「ボクはELバースセンターの職員だからね。主にモビルドールの作成を担当しているよ」
「あなたが・・・。メイとノヴァがお世話になっています」
コーイチさんは、案内するよ、とELバースセンターの中へ入っていく。
そうしている内に、診察室の前までたどり着いた。
「メイとノヴァは、この部屋で検査を受けているよ。もうすぐ出てくる頃合いかな?」
※※※
「…2人共、異常なしだ。お疲れさん。もう行っていいぞ」
メイとノヴァのデータを確認していた紫色のハロ、アンシュはホロモニターから目を離して、ヒラヒラと手を振る。
メイはクルリとノヴァを抱いたまま背を向ける。
「ふむ、行こうかノヴァ」
「ノヴァは置いて行け。これからミッションだろ」
メイはむぅ、と唸ると、名残惜しそうに近くの職員へ預け、自動扉を開けた。
※※※
プシュ
「ヒロト、みんな。遅くなって済まない」
「気にすんなって、早速出発しようぜ!あ、今気になったけど、後ろの悪そうなハロってなんだ?」
カザミが指をさした先には椅子に座った紫色のハロ、ここの職員だろうか。
「あぁん!」
「ヒッ!」
恐怖感を感じているパルにコーイチさんはハロを見て、ため息をつく。
「アンシュ・・・。怖がらせたらダメじゃないか、彼はアンシュ。ELバースセンターのシステム担当だよ」
コーイチさんといい、若い人が多いな。
特にシステム面は、相当プログラミングに精通していないといけない筈。年齢が問題にならない程の技術力を持っているのだろうか。
「ヒロト・・・?」
そんな風に眺めていると、彼はこちらを見て、胡乱気に呟く。どこか考え込むようなそぶりだ。
「もしかしてお前、クガ・ヒロトか?」
え、なんで本名を!? しかもコーイチさんも驚いている!?
「どうして・・・。リアルで会ったことがありましたか?」
「お前がクガ・ヒロト・・・!そうか、お前が・・・!オレは覚えているぞ!あのGPD最後の全国大会を!」
掴みかかろうと、飛び上がるが、コーイチさんにがっしりと抑えられる。
あの気迫。どこか覚えが・・・。そうだ関東予選準々決勝のアストレイ使いの、確か名前は・・・。
「シバ・・・、ツカサさん・・・?」
「クガ・ヒロトォ!何故、準決勝をドロップしたぁ!あの結果はオレは認めない!オレとGPDで戦え!あの日、どちらが勝つべきだったか、その決着をつけてやる!」
「ツカサ!」
背後でノヴァが嗚咽を上げている。だが、それは遠くに聞こえてくる。
紙一重での決着、勝者の宣言、片膝が崩れ落ちる愛機・・・。
あの日の情景が目に浮かぶ。彼の瞳にも同じ色を感じる
あなたは・・・。そうか、まだソコにあるのか・・・。
「わかりました、戦いましょう。ただし、GBNで1戦、そしてGPDでもう1戦。それでいいですか」
「・・ッチ、まあいい。勿論、お前はあの時の機体で来い!」
決闘の日時を指定すると、シバさん、アンシュはログアウトしてその場から姿を消した。
3日後か・・・。
※※※
「みんな、本当に申し訳ない。まさかアンシュ、ツカサとヒロト君にそんな関係があったなんて・・・」
アンシュがログアウトした直後、コーイチさんはそう言うと、勢いよく頭を下げてきた。
「コーイチさん、頭を上げてください。コーイチさんは何の関係もないでしょう?」
「僕も、あの会場にツカサのサポートとしていたんだ。もっと早く気付くべきだった・・・」
「気にしないでください。アレは最後まで戦えなかった俺のせいです」
「ヒロトくん。君のせいでもないと僕は思うよ。ただ、ツカサの奴が納得してないだけだ」
場に重い沈黙が流れる。そんな中、ガシガシと頭をかく音が響く。
「まー、アレか。お前とあの悪ハロは昔から因縁があるって事だろ。ちゃんとケリをつけるだけじゃねえか。俺達と一緒に得るどらを救ったお前なら何とかなるさ」
「カザミ・・・」
今はこの軽口がありがたい・・・。
「ああそうだ、お前が昔使っていたっていう機体ってどんなだ、気になるぜ」
「また今度見せるよ。コーイチさん、それからメイに頼みたいことがあるんだけど・・・」
要件を伝える。難色を示すかと思ったが2人とも、それならと頷いてくれた。急で申し訳ないが、本当にありがたい。
※※※
―ガンダムベース 東京ー
ログアウトしてから数時間後、俺達は黒服の人たちに連れられて俺とヒナタは東京のガンダムベースまで来ていた。
カザミとパルは流石に都合が合わなかった。
「すみません、急に押しかけてしまって、しかも車まで出していただいて・・・」
「かまわないよ。リアルじゃないと話せないこともあるだろうから。」
コーイチさん、ナナセ・コウイチさんの顔は確かに見覚えがある。凄腕のビルダーだった気がする。
「それに、見てもらいたいモノがありまして」
「ヒロト、やっぱりその中って・・・」
ヒナタの視線が箱へと向く。
東京に向かう前に家から探しださなければいけないものがあった。
黒服のショートヘアの女性の掌にのったメイもジッと見つめている。
「メイに見てもらいたかったから、コイツを持ってきたんだ」
神妙な面持ちで頷くと、ヒナタの手にふわりと着地する。
そこでコウイチさんはエプロンを外すと、メイを載せていたSPさんに声をかけた。
「ナナミ、奥でクガ君たちと話してくるから店番してくれないか?」
「「え!」」
※※※
俺達は店の奥の事務所へと案内された。
「まさか、あのSPさんがコウイチさんの妹さんだったなんて、驚いたよー」
「アハハ・・・」
「ナナミさんは、ああいうのが好きな人ですから」
そう話すのはビルドダイバーズのリーダー、リク。その前の机にはサラさんもいる。
彼もサラさんも近くにいたから呼ばれたとのことだ。
「久しぶりだね、ヒロト、ヒナタ」
「ヒロトが持ってきたのはガンプラだな。箱越しだとわかりにくいが」
メイは軽く、箱をノックした。中に何が入っているのか、気になる様子だ。
俺は箱を机に置き、フタを開ける。
「これは、ジオラマ?すごい完成度だ!」
大地に頭を垂れ片膝をついたガンプラ。
焼け焦げ、ボロボロになった姿は見る者に夢の跡の情景を思い起こす。
「やっぱり、HGUCのνガンダムとMGのF90のミキシングだね。両方とも同じくらいの大きさだから、ミキシングできた訳か」
納得がいったというように頷く、コウイチさん。流石です。
「この機体、『ガンダムF93』は俺が最後のGPDの地区予選で使用した機体です」
皆が息を呑む。この機体はあの準々決勝の刻のまま、時間を止めている。
「シバ・ツカサさんとは、準々決勝で戦いました」
「ヒロトはシバさんと戦ったことがあるのか。しかも大きな大会で」
「そうだよ、リク君。結果はツカサの負け。どちらが勝ってもおかしくない、すさまじい戦いだったよ」
コウイチさんの言葉を受け、続きを俺は話す。
お互いに殆どの武装を消耗し、武器はサーベル1本のみ。
切り結んだ直後、左膝を損傷し膝から崩れ落ちた。
敗北を覚悟したが、コックピット部分に一撃が入っていたんだ。
「あの時は本当にギリギリの攻防でした。満身創痍でどうにか、勝ちを拾うことができた状態でした。だけど、ココまで来る間に予備パーツはほとんど使い切ってしまっていて、何とか戦闘ができるかどうかという有様でした。しかも次の相手は優勝候補の1人で万全の状態でした。勝てる可能性はほんのわずか」
ボロボロになったF93が視界に入る。あの時もそうだった。
「改めてこんなボロボロの状態でコイツを戦わせても良いのか。負けてチリにしかならなかったら、と思うと、俺は棄権していました・・・」
「・・・」
その後、あの機体をそのまま保管した。今思えば、俺にとってはGPDを終わらせる禊だったのではないかと思う。
だからこそわかる。シバ・ツカサさんの中でGPDは終わっていない。無念さがずっと、燻っているはず。
「俺はF93は休みたいんじゃないかと思って、こんな形で保管した。新ためてみると、コイツはまだ、動きたいんじゃないか、戦いたいんじゃないか、そういう風に感じてくるんだ。だからこそ、メイとサラさんに頼みたい。F93は本当は、どう思っているのか。もし、本当に立ち上がりたいと思うなら、もう一度・・・!」
メイとサラ、エルダイバーの2人と視線が交わる。
「ヒロト・・・」
「わかった。姉さん」
「ええ、ヒロト、この子は・・・」
※※※
3日後―――、
――ガンダムベース 東京―
GBNの筐体の前で再びシバ・ツカサさんと相対していた。
「待ちわびたぜ。この時を!お前の機体は最高の状態に仕上げてきただろうな。俺とアストレイノーネームでお前を倒す」
「はい。俺とガンダムF93が相手です!」
「っは!いい仕上がりだ。まずはGBNでやってやるよ!」
※※※
宇宙空間へ飛び出した2つの流星。
片やトリコロールの機体、片や赤黒の機体。
合間見えるのはあと少し。
その様子を見届けるのは2つのビルドダイバーズ。
この戦いはGBN内でも中継で見る事ができた。
視聴可能なのはこの2つのフォースのみ。
ユッキー、モモ、ナミは諸事情で不参加となっている。
「ヒロトさんの昔の機体、初めて見ました。この完成度、やっぱりヒロトさんは凄いです」
今の自分より1.2才年上だったヒロトさんがこれを作るなんて。
そう、パルは感嘆する。
「ヒロトの話によれば、コアガンダムは可能性の模索をテーマにしていたが、ガンダムF93は対戦での勝利を目指した機体だそうだ。より決戦向けにチューンされているはずだ」
メイの補足に、カザミは成る程と頷いた。
「はぁ、決戦特化の機体か。背中のポッドは多分、ジュピターブについていたのの原型。それにRX-78とカラーリングが一緒なのもヒロトらしいぜ。だが、俺の見立てではアンシュってヤツの機体も同等クラスの完成度に思うぜ」
カザミはこの機体を知らなかったか、とメイが説明しようとするが、他の声か先に上がった。
「シバさん、アンシュのアストレイノーネイムは本当に凄いですよ」
そう話すのは、かつて戦った経験があるリク。隣でコーイチも頷き、補足する。
「あの機体は元々、アストレイレッドフレーム。アンシュはGPDで何百戦と戦い、修復強化していってあそこまでたどり着いた相棒。しかもGBNのシステムにより適合するように細かい修正やデータ入力を行っていたよ」
この3日間、コーイチは昔の仲間と共にアンシュの調整に付き合っていた。調子も全盛期に戻っている。
「どの
「ヒロト、頑張って」
ギュっとヒナタは両手を組み祈った。
という訳でヒロトの相手はシバさんでした。
ヒロトとシバさんって、GPD時代どこかで会っていると思うんですよね。ヒロトのGPD時代の機体を出したかったのもありますが。
オリジナルガンプラ設定
ガンダムF93
型式番号:F93
全高:24.2m
重量:26.9t
ビルダー:クガ・ヒロト
ファイター:クガ・ヒロト
概要
・HGUCνガンダムとMGガンダムF90のミキシング。
・アクシズショックの後にサナリィがνガンダム(とサザビーのコックピット)を回収していたというオリ設定。コックピットは空だった模様。
・回収したνガンダムは解析され、その技術はガンダムNT-01からガンダムAN-01への改修に活かされたり、ガンダムF89の建造のためのモデルになった。
・νガンダム自体はサイコフレームとコックピット以外の大部分を改修し、F93の型式番号が与えられた。機体そのものはトップシークレットとして秘匿されている。
・F93は対外的に大型モビルスーツの試作・研究機という扱いになっている。機体自体は適宜、アップデートされている模様。
・また、νガンダムとサザビーの運用データをそれぞれのコックピットから回収し、TYPE "A.R".とTYPE "C.A"の疑似人格コンピュータ開発の礎になった。
武装は次回に。
メモ νガンダム、サナリィ回収説&F89、νガンダムの直系説
・ガンダムF89の製作系譜がムーバブルフレームですらないモノコック構造のトリスタン(アレックス)からの系譜と一部のwikiに書いてあるが、関連性があるかどうか参考資料もなく、違和感がある。
・F89建造当時は20~23mクラスのMSが一般的なサイズだったのに18mのサイズから作り始めるのも不可思議。
・νガンダム自体、UC90年代後半でも高い運動性や汎用性、整備性が優れた機体のためサナリィが研究する汎用モビルスーツとして最適な機体だったと思われる。つまり、F89はνガンダムをベースに18mにダウンサイジング+サナリィ独自の技術を組み合わせたのではないか。
・また、F89とνガンダムの共通点としてどちらも、アナハイム系の汎用パーツで修理できる点もあり、類似性が高い。
・νガンダムを回収したからこそ、F89の作成に至ったのではないかと思う。
以上、νガンダム、サナリィ回収説とF89、νガンダムの直系説でした。