ビルドダイバーズRe:RISE After Stories   作:Φ30

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5話 vsアンシュ

5話

 

―GBN 宇宙ステージ―

 

あの時も宇宙ステージだったなヒロトは思い出す。そんなことを思い出していると、アラートが響く。

 

「GBNでは退屈だが、ウォームアップ程度はさせてくれよ!」

 

挨拶代わりとばかりに放たれるアストレイノーネームから放たれるライフルの一撃。

 

ヒロトはビームライフル下部についている3機全てのフィンファンネルを機体の周囲に展開微妙に角度をつけ、ライフルと合わせた4発のビームを放つ。

 

「軽ぃな」

 

小刻みにスラスターを吹かせ、ノーネイムは軽業師のように包囲網をくぐり抜け、ヒロトの側面へと肉薄。

袈裟懸けにビームサーベルを振るう。

 

「F93を舐めるな!」

 

F93の両肩に増設されたスラスターが機体を左側方へと押し出した。

ジュピターアーマーのマルチコンテナビットのプロトタイプである、それは機体を急激に加速させる事が可能となる。

更にほぼ同時に元いた位置へフィンファンネルのメガ粒子砲を放つ。

回避からの迎撃は元々、ヒロトが得意とする戦術。

ファンネルを使用する事で、より悪辣なモノと化しているのだ。

これには見ていたカザミはウゲッと、うめき声をあげるのも無理はない。一方でパルとリクは目を輝かせていたが。

 

「流石だな。だが、そいつは知っているぜ!」

 

アンシュはノーネイムの右腕、耐ビームコーティングが施されているDエクステンションを照射されたビームに沿うように腕と体を捻る事でビームを受け流した。

そのノーネイムの様はリクはかつての自分と戦ったとはまるで別種の機体のようだ、と驚愕した。

それに対し、コーイチは今の状態こそが本来の動きだと、伝える。

シバ・ツカサはGPDが終了してから、本気の戦いをした事がリクとのバトル以外なかった。そこまでみても2年のブランクがあると言っても過言ではない。

そのブランクはかつての仲間達との特訓で充分、埋まっている。

 

ノーネイムはそのまま1回転し、ビームを連射。

回転により、擬似的な曲射を繰り出した。

それは伝説のファイターの1人が得意とした技の模倣。

原型機のアストレイレッドフレームの人体に近い関節構造だからこそ可能な荒業だ。

 

「くっ!」

 

ヒロトはたまらず大きく距離を取り―――

 

 

 

―――、背を向けた。

 

 

「ぁん!逃げる気かっ!」

 

ノーネイムから急激に離れていくF93。その先には岩石が辺りに散らばるデブリ(ベルト)がある。

 

「そういう事か・・・!」

 

 

※※※

 

 

シバ・ツカサ、彼がこれ程の実力を隠し持っていたなんて・・・。

 

映像を見ていたアヤメは2人の技量に驚いていた。

 

旧シャノワール時代、幾度か共闘したことはあったが、どこか投げ槍だった。しかし、底知れなさは当時から忍の勘としてあると思っていたが・・・。

一方で、あの状態のシバ・ツカサと同等に戦う事ができているヒロトの方も相当な実力なのだと分かる。

2度目のロータスミッションの際、何度か手合わせしたが、変幻自在で何が最も得意なバトルスタイルなのか判別がつかなかった。

シバ・ツカサとは別の意味での底知れなさがあった。

今回のバトルを見る限り、宙間でのミドルレンジが本領なのだろう。だからこそ腑に落ちない。

 

「彼は何故この有利に立ち回れる状況から離脱したんだ?」

 

私は自然と疑問を口に出していた。そこにメイが口を挟む。

 

「ヒロトは地形の利用を狙っている。見ろ、進行方向はデブリベルトだ」

 

「はい、ヒロトさんはトラップ戦術が得意ですからね」と、パルヴィーズ。

 

そう言えば、私もキミのトラップに敗れてしまった事があったな。ヒロト由来だったか。

 

「ヒロトは罠を仕掛けるのが得意だからね。鬼ごっこでも、鬼をハメていたし」

 

それはそれで怖いな。

 

「トラップに宙間戦闘をメインに様々な戦術を取る。つまり、彼は単機小隊と言うワケか」

 

映像で、2人はデブリベルトへと差し掛かっていた。

 

 

※※※

 

 

デブリベルトを突き進むF93はデブリを避け、反転。

ノーネイムと向かい合う。

 

この時、ビームライフルの砲身の上と左右にフィンファンネルが接続されていた。3基のフィンファンネルは開口し、ライフルの前方にメガ粒子を集積させていく。

 

「ソイツなら、デブリごと俺を狙えるな。だが!」

 

デブリで動きを制限し、防御不可の一撃を当てる算段だと、アンシュは推測する。

 

「狙いが、あからさまなんだよぉ!」

 

ギュオオオン!

 

フィンファンネルキャノンが放たれる直前、ノーネイムは多少のダメージがあろうと構わず上方へ突き進む。

 

その甲斐あってか、ビームはノーネイムの下を通り過ぎていく。

完全に回避した形―――――、

 

 

否―――――、

 

 

ズズゥウウン!

 

 

「なんだ、この衝撃は!?」

 

下から突き上げるような衝撃がコックピットに響く。

アンシュはすぐさま、解答にたどり着く。

 

「吹き飛んだデブリか!」

 

そう、ヒロトの狙いはデブリにこそあった。

フィンファンネルと結合したビームライフル、フィンファンネルキャノンは一撃必殺の威力を持つ。掠めるだけでも周囲のデブリが高速で吹き飛ぶのは自明の理。しかもデブリそのものによる質量攻撃であるため、レーダーも反応しない。

これは実機故、目視も可能なGPDなら気づく事も可能であったかもしれない。*1

しかし今、アンシュが乗っているのは18mスケールの機体。

 

「GBN、本物のようなモビルスーツに乗っているからこそか・・・!」

 

スキャンしたデータを再現したモビルスーツに乗るという観点からすると、GBNも本物といえる。

自身が作り上げた本物のガンプラを実機として動かすGPD、両者はそれぞれ、別の意味で本物なのだ。

 

「クハッ!」

 

そんな単純な事かとアンシュは自嘲する。

だからこそ、アンシュ(シバ・ツカサ)は“本物”の戦いに負ける訳にはいかない。

 

「舐めるなぁ!n_i_t_r_o(ナイトロ)ォ!!」

 

ノーネイムユニットをXコネクトモードへと展開し、機体から蒼い炎が揺らめく。

フィンファンネルのメガ粒子砲がナイトロを発動した直後のノーネイムへと同時に襲いかかる。

ヒロトはデブリをノーネイムに当てた直後から追撃のため、フィンファンネルをノーネイムの三方向へと飛ばしていたのだ。

 

 

「ハッ」

 

ビームは虚空を掠める。GPDではフィールドの空間解析情報をファイターにフィードバックして反応時間の短縮を促す機能のみだった。そもそも、本来ナイトロシステムはGPDで再現するのは、不可能に近い所業。シバ・ツカサが曲がりなりにも再現しているのは、その卓越したプログラミング技術があってのもの。

その状態の機体を、ナイトロシステムの発動が容易に可能なGBNに持ってくれば、どうなるか。

 

「これが、n_i_t_r_o!?」

 

機体の駆動効率が最適化され、どうもダイバーの空間認識能力も向上されているようだ、とヒロトは驚愕する。

実際には、それらに加えGBNのサーバーから自動解析された対戦相手の機体の動作の予測がノーネイムのモニターに写し出しているより、おかしな状態になっているのだか。

 

「ウォオオオ!」

 

獣のような敏捷性でノーネイムが急接近、ビームサーベルで突きを放つ。その様はまるで弾丸。

 

「くっ!」

 

シールドはギリギリのタイミングで間に合った。

それでも尚、サーベルを正眼に構えるようににじり寄る。

パワー負けしそうになるF93。

 

しかし、

 

「そこだっ!」

 

シールドの除き穴から2本のビームサーベルが牙のように伸びた。ヴィートルーガンダムの脛ミサイルのような迎撃カウンターだ。かつては無かった装備だが、今回のバトルにあたって増設したシステムだ。

だが、ビームサーベルが届く直前、ノーネイムはバックステップを踏み、奇襲は不発に終わる。

 

「ならば、プロトヒルトファンネル!」

 

シールドの除き穴と下からそれぞれ2つビームサーベル状のファンネル、プロトヒルトファンネルが飛び出る。

こちらは元々ある装備で、F90Nタイプのヒルトファンネルの試作という設定だ。本来は下からしか射出しない仕様だったのだ。また、プロトタイプで原型より、僅かに大きくなっていり関係でビームを撃つ事も可能となっている。

4つのプロトヒルトファンネルに3つのフィンファンネル、総計7つのファンネルがノーネイムを襲う。

n_i_t_r_oは乗り手を強化する。向上した空間認識能力と情報フィードバックの短縮に加え、ニュータイプの擬似再現である0.5秒後の行動予測の短縮により、どのようにファンネルが動くのか予測は可能。

 

「そこかっ!」

 

ノーネイムユニットのブレイドラグーンと本体の攻撃により、瞬く間に全てのプロトヒルトファンネルと1基のフィンファンネルが落とされる。

ファンネル系の装備は射撃を行う際、1~2フレーム程、停止する瞬間がある。隙と呼べない隙だが、今のアンシュにとっては明確な隙といえる。

 

「コレを攻撃直前に迎撃するのか。これはまるで隊長の・・・!」

 

ヒロトはチャンピオン、クジョウ・キョウヤの攻撃動作に移る瞬間を狙う後の先の攻撃を思い出していた。

ナイトロシステムの完成度を含めた機体の完成度とアンシュの技量、勝利の執念が、彼をチャンピオンレベルまで押し上げていた。*2

 

「それでもまだ、あの人の方が苛烈だ」

 

必要なのは予測を越える事!

 

「うぉおおお!」

 

ライフルをしまい、ビームサーベルを抜刀する。狙うは急戦。

 

「アストレイ相手に接近戦とは、血迷ったかっ!」

 

F93は上段からサーベルを振り下ろす。

ノーネイムはサーベルを突き出すが、F93は肩のマルチポッドのジェット噴射でノーネイムの右側面へとスライドする。

 

「悪手だな!」

 

ノーネイムの右薙ぎ。ヒロトはシールドで抑える。右にサーベルを握っている相手なら右薙ぎは確実に行う。だからこそのシールドだ。当然ながら左はがら空きになる。F93に迫るブレイドラグーン。それらは後方に待機させていたフィンファンネルが、メガ粒子砲を放ち、2基を破壊する。2射目の前にフィンファンネルはブレイドラグーンで破壊される。

フィンファンネルはまだ1基ある。次のブレイドラグーンが着弾する直前、もう一撃が発射される。狙いはノーネイムの斜め上の頭上。

 

「近接はブラフかっ!」

 

即座に距離を取るノーネイム。ここもヒロトの計算通りだ。

シールドを斜め下に投擲する。フィンファンネルのメガ粒子砲はシールドへと命中し、ノーネイムの下から幾重にも拡散する。

 

「インパルスの再現か!」

 

ビームは相当拡散したため、ダメージは軽度。

ナイトロの効果時間が終わる前にケリをつけると、機体を動かそうとした。

 

 

その刹那―――――

 

 

 

―――、ノーネイムの胸部をビームサーベルが貫いていた。

 

 

「何・・・だと・・・!」

 

アンシュの眼前にはサーベルを引き抜くF93の姿。

ビームに気を取られた一瞬で近づいたのは分かるが一体、どうやって・・・。

 

「メガブーストからは逃げられない!」

 

ソイツか。

 

―BATTLE ENDED!―

 

メガブースト、現状ではMSA-0120にしか搭載が確認されていない特殊兵装だが、実はGBNにおいて、宇宙世紀の機体とEパック、ブースターがあれば搭載が可能なのだ。

しかし、同じ時限強化武装でもトランザム等と比較しても、強化割合も持続時間もすくない。他のスキルを取得した方がマシと言える知る人ぞ知る武装だ。

だが元々、推力に余剰があったF93にとっては切り札になりえた。

ガンダムF93はフィンファンネル、プロトヒルトファンネル、メガブースト全ての戦力を1on1で使いきるタイマン特化の決闘用機体なのだ。

1on1が主のGPDだからこそ生まれた機体である。

 

 

※※※

 

―ガンダムベース 東京―

 

戦いが終わると、シバ・ツカサは凄い剣幕でヒロトの下へ向かった。

 

「クガ・ヒロト!」

 

「シバさん」

 

一触即発の雰囲気に周囲は戦々恐々となる。

 

「本気のバトル、楽しかったぜ」

 

「俺もです」

 

「・・・コウイチから話は聞いた。すまなかった」

 

と、頭を下げるツカサ。

 

「頭を上げてください。あなたは何も悪い事をしていません」

 

「いや、勝手にオレが突っかかって空回りしただけだ。それだけじゃない、オレは・・・」

 

「何も言わなくて大丈夫です。頑張って選んだ結果、今があるんです。だからこそ、俺達は今ここにいるんです」

 

 

「・・・そうだな」

 

振り返ると、仲間達がすぐそばまで来ていた。

*1
もしくはポイントで全天周囲モニターへの変更が可能な一部の機体

*2
加えて、ヒロトの動きを研究していた。




オマケ1
本SSでのシバさんの心境の変化
GBNの世界は認めるが、対戦ツールとしてはGPDの方が良い。

GPDでもGBNでも本当の戦いはできる。GBNでは人を選ぶが。

その後、シバさんはオーガとよく戦うようになり、ヴァルガにも出没するようになった。

オマケ2
ガンダムF93 武装

ビームライフル
バレル下部に3基のフィンファンネルが付いている。
フィンファンネルとビームライフルは合体し、フィンファンネルキャノンになる。フィンファンネルキャノンはアースリィのライフルへと繋がっていく。

ビームサーベル
背中に2本装備。νガンダムと同じようにサーベルを振った際にビームが発振する。

プロトヒルトファンネル
F90Nのヒルトファンネルの原型という設定。オリジナルに比べやや大型化しているが、大型機の本機ならば関係なく使用可能。威力は低いがビームガンにもなる。シールドに8基、ライフル上部に1基搭載。

メガブースト
今回の対戦で追加した装備。凄まじい加速を誇るが最大10秒までしか使えず、方向転換すると、加速が終了してしまう。
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