なんか原作にウマ娘入れてたのが検索妨害云々と運営様に言われてしまったので対策に。短め。
『ウマ娘』
人とは異なる耳と尻尾を持ち、人間を軽く凌駕する身体能力を持った、謎の多い種族。
この世界とは異なる、別世界のウマの魂を持って生まれてくると言われている彼女たちは、太古の遥か昔から、途方もない時間を人間と共に過ごし、交わってきた。
彼女たちは、走るために生まれてくるという。いつの頃からか、人々はウマ娘が競い、走る姿に熱狂するようになっていた。それは現代においても変わることなく、むしろより熱い娯楽として洗練されていった。
トレセン学園。正式名称「日本ウマ娘トレーニングセンター学園」。
全寮制中高一貫、URA主催『トゥインクル・シリーズ』と呼ばれるウマ娘レースで活躍することを夢見る、2000人以上のウマ娘が在籍するマンモス校である。
「はぁ…………はぁ…………」
校内では
「はぁ……はぁ……もおー、どこにいるんだろう……教室に忘れ物って言っても、20分もかからないはずなのに……」
人探し、もといウマ娘探しをしているらしい彼女は、トレーニング直前で「忘れ物」を取りに教室へ戻っていったきり、いつまでも帰ってこないチームメイトを連れ戻すようトレーナーから言われており、トレーニング時間のロスを少しでも短くするために奔走していたのだ。
外にはいない。もしかしたら、まだ教室で探し物をしているのだろうか。件の尋ね人は高等部なので、中等部である彼女はあまり立ち入らない。少々緊張するが、人探しのため、ひいては自分の為だ。
ウマ探し中のウマ娘は、丁寧に靴の泥を落としてから高等部の校舎へ入っていった。
階段を二段飛ばしで軽快に駆け上がる。ウマ娘である彼女の脚力をもってすれば、平地を駆けるのとさほど変わりない。
「そんなに見付けにくいものなのかなあ…………んっ?」
不意に、彼女のウマ耳がピクリと動く。人間よりも優秀なウマ娘の聴力が、遠くで微かに聞こえる何かを拾った。
「これは…………人の声? それも沢山…………もしかして」
彼女はその複数の声が聞こえる方へ向かって、先程よりも速度を上げて走り出す。三段、いや四段飛ばしで階段を駆け上がるパワーとスピードは、筆舌に尽くしがたい。
声のする方向は四階。探しているウマ娘の教室がある階だ。やはり間違いない、あの人は
「もーっ、昨日も気を付けてくださいねって言ったのに……まああの人だから仕方ないのかな……」
その面倒見のよさから後輩たちに慕われているあの人のことだ。きっとプレゼントだのサインだのせがまれて断りきれずにいるのだろう。
彼女が曲がり角を曲がってすぐに視界に飛び込んできた光景は、果たして彼女の予想通りの結果だった。教室の廊下、その一角にウマ娘の人だかりができている。
「やっぱり!」
半分呆れ顔になった彼女は、小さくため息をついた後、大きく息を吸い、人混みに向かって大声を出した。
「ウッドストックさーーん!!」
突然の大声に人混みから声が消え、代わりに彼女へ一斉に視線を向ける。彼女は気にせず、もう一度大声で探し人――ウッドストックというらしい――に呼び掛けた。
「トレーニングの開始時間、とっくに過ぎちゃいましたよーー!? 早く行きましょうよーー!!」
「おおー! ごめんなスペーー!! すぐに行くよーー!!」
その声に間を置かず、ウッドストックらしき中性的な返事が返ってきた。ややあって、人混みの隙間を縫うように一人のウマ娘が出てくる。
端正な顔立ちに、鹿毛と流星、さらには黄色いメッシュの入ったセミロングの髪。右耳には黄色い羽根飾り。
すらりと長い手足を縺れさせながら、スペと呼ばれたウマ娘に駆け寄っていく。
「もー、気を付けてくださいねって言ったじゃないですかー! ウッドさん、押しに弱いんですから!」
「ははは、スペに言われちゃ世話ないな……」
「な、なに言うべ!? 私そこまで押しに弱くないですっ! ウッドさん反省してるんですか!?」
「ゴメンって、反省してるって……なぁ~機嫌直してくれよ~あたしのかわいいスペシャルウィーク~」
「かわっ…………もう! 早くトレーニング行きましょう! トレーナーさんも怒ってましたよ!」
「おっと、そりゃあ不味いな。あいつ意外とねちっこいんだよなぁ怒り方…………つーわけで悪いな皆、また今度な」
えーっ、という取り巻き達のブーイングを背に、ウッドストックとスペ――スペシャルウィークというらしい――はトラックへ向けて歩き出す。
「……相変わらずモテモテですね、ウッドさん。クッキーいっぱい」
「有り難いことだよ。ただ、あたし一人じゃ食べきれないから、後でチームのみんなで手伝って欲しいな」
「えっ、いいんですか!? で、でもくれた人に悪いんじゃ……」
「多分近いうちにまた貰うことになるだろうし、腐らせちまうのも勿体ないからさ。頼むよ」
ウッドストックの言葉に、そういうことなら、いやでも、としばし唸った後、スペシャルウィークが口を開いた。
「……い、一応! 一応チームの皆にも確認しましょう!」
「ふふ、やっぱり食べたいんだ。目が食べたいって言ってたもんな」
「そ、そんなこと……」
「スペ、よだれ」
「えっうそ」
「うそだよ」
「…………っもう!! ウッドさんなんて知りません!」
「あっ、ちょ、スペー! ゴメンってば、置いていかないでくれよーー!!」
とうとう顔を真っ赤にしてスペシャルウィークが走り出し、ウッドストックが後を追いかける。その顔は二人とも、どこか楽しそうだった。
トレセン学園きっての実力派、かつ癖の強いウマ娘が集まる、チーム『スピカ』のなんということはない日常である。
【キャラクター紹介】
ウッドストック
誕生日 4月15日
身長 167cm
体重 増減なし
スリーサイズ B86 W60 H84
鹿毛、右目よりの流星あり
耳飾り 右側、黄色い羽根飾り
髪型 セミロングのウルフカット。流星に沿うように黄色のメッシュを入れている
容姿 切れ長つり目、美人系の顔立ち。リョテッとしている
勝負服 ゴスパンク系、ショートデニム、ニーハイブーツ
私服 シンプルな白シャツとグレーのジャケット、デニムパンツ
音楽とレースをこよなく愛するウマ娘。休日は駅前でストリートミュージシャンをしている姿を目撃される。
男勝りな口調とパンクな姿から誤解されがちだが、本人は温厚で世話焼き、成績も優秀。ギャップにやられた後輩ウマ娘たちに慕われている。
ゴールドシップやトーセンジョーダンと仲がよく、そのためかよく二人の喧嘩に巻き込まれている。
「あたしの走り、よく見ときなよ。心が燃え滾るような、熱い夢を魅せてあげる」
ウマ娘要素、ヨシ!
アプリに実装されたら即夢女製造機認定されそう