えっ、自分ステイゴールド産駒なんすか?   作:えびんす

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 まさか新ウマ娘にアストンマーチャンが来るとはこの海のリハクの(ry

 エアジハード君にも期待していいんですかね? 個人的にはバブルガムフェロー君とかマメちん期待してるんですけど。


 レース展開ですが史実とは大幅に変わってると思います。


初めての重賞レース

『抜けるような青空に恵まれました中山競馬場、ターフも絶好の良馬場。GⅢ【ラジオNIKKEI杯2歳ステークス】、間もなくスタートいたします』

 

 

 

「頑張ろうな」

 

「ブルルルッ(おうとも)」

 

 

 冷たい風が吹き荒ぶ競馬場。俺ことウッドストックさんは、いよいよ2歳馬として最後のレースに挑む。

 

 初めての重賞レース、GⅢだよ。これ走れるだけでも相当の上澄みですよ。そんなレースをまさか当事者、しかも馬として走ることになるとは果たして誰が予想しただろうか。前世の俺に言っても鼻で笑われるな。

 

 

 いやー何度か走ってきて慣れてきたかと思ってたけど、流石にグレードレースってなると緊張してしまう。今まで無敗で走ってきたけど、ここからは多分そう簡単にはいかないだろう。

 

 なにせ、今日の一番人気は……。

 

 

 

『さあ本日の一番人気です、大武騎乗、ヴィクトワールピサ。馬体も艶がよく、しっかりと仕上がっているのが実況席からでも分かります』

 

『単勝1.6倍ですからね、皆彼らがどのように勝ち上がるか楽しみにしていると思いますよ』

 

 

 前世でも名馬として有名だったヴィクトワールピサと、それを駆るレジェンド、大武。

 

 このペアを差せるかどうか……池谷殿と俺の息がぴったり合わないと難しい。

 

 あの二人にどうやって対抗するか……なんてことを考えていると、ふと目に留まる一頭の馬。

 

 あれに見えるは件のヴィクトワールピサじゃあないか。挨拶しとこうかな。

 

 

(どうも、よろしく)

 

(……ああ、よろしく)

 

 

 お、ちょっと無愛想だけど返事してくれた。

 

 

(……今日は俺が勝つ)

 

 

 おおう、ちょっと威圧されちゃったぞ。随分とストイックな御方のようで。

 

 だけど同時に、この自信のありようも納得だ。見てくださいよこのつやっつやの身体。堂々とした眼。強者のオーラが滲み出てますよ。

 

 なるほどなるほど、こりゃ参ったな。

 

 

 

 ()()()()()()()

 

 

 

(負けるつもりはない)

 

(……そうでなくては困る)

 

(ハハッ……じゃあレースで)

 

(……ああ)

 

 

 お互いに決して長くない会話を交わし別れる。

 

 

 なるほど、これが。これが強者か。

 

 ああ、疼く。楽しみで仕方がない。

 

 

「…………やるぞ、ウッド」

 

「……ヒヒッ!(ああ!)」

 

 

 池谷殿も火が着いたようだ。それでこそだ、相棒。

 

 

 見せつけようぜ。

 

 

 強いのはお前だけじゃないと。

 

 

 

 

 

 

『さあ第三コーナーに入って先頭からしんがりまでおおよそ十二馬身といったところか、先頭はダノンシャンティまだ変わりません、続いてアドマイヤテンクウ、コスモファントム、サクラエルドールと続いて一番人気ヴィクトワールピサはその内、一馬身後ろからヒルノダムール、半馬身離れてタニノエポレット、アドマイヤプリンスと続く。そしてここまで無敗の注目馬ウッドストック、最後方で不気味に脚を溜めています』

 

『今まで差しの競馬をしてきましたが今回は追い込みなのでしょうか、はたまたこのレースは流すつもりか、気になりますね』

 

 

 うーむ、今回の池谷殿は俺に追い込みをさせるつもりらしい。

 

 いつものように差しの位置取りでスタートしたはいいが、池谷殿が突然手綱を絞ったので困惑してしまった。

 

 

「まだだ……まだ抑えろ」

 

 

 俺に言い聞かせるように、はたまた自分に言い聞かせるように呟く池谷殿。ピサとはまともにやりあわず最後方から捲る作戦かね? 追い込みなんてぶっつけ本番だけど上手いこといくかなあ? やれと言われりゃまあやってはみますけど。

 

 仕掛けどころは恐らくこの第三コーナーの出口あたり。ピサは中団やや後ろといったところか。じわじわ脚を使って上がっていってるのが見える。

 

 ……さて、池谷殿。そろそろかい?

 

 

「…………行け!」

 

 

 おっ、手綱を弛めたな。んじゃあ上がっていくとしますかね。

 

 えーっと、内ラチで順位争いが苛烈してるな。この場合は外から行くのが正解かね。それじゃ、ちょいと失礼しまして。

 

 

 

 

『さあ第四コーナーに入ったところでヴィクトワールピサ上がっていく! 内からねじ込むようにぐんぐんと順位を上げてきた! それに続きますコスモファントム! 未だにハナを進みますダノンシャンティ逃げ切るスタミナは残っているでしょうか!?』

 

 

 

 ピサが上がっていくか。その後ろには……コスモファントムがつけてる。おーおー二頭揃って力付くで馬群を抜けるか。

 

 俺もそろそろ脚使っていくか。幸い外はしっかり空いてる、邪魔するやつは居ない。

 

 

「行け!」

 

 

 池谷殿から鞭も入ったことだし、気合い入れて飛ばしますか。

 

 

 

 

『さあ最後の直線だヴィクトワールピサがダノンシャンティを躱して先頭に立った! その後ろをコスモファントムが追いかける! 二頭の叩き合いになるか!? ダノンは伸びない! その後ろからヒルノダムールも来た!』

 

 

(俺が勝つ!)

 

(いいや俺だ!)

 

(待ちやがれ!)

 

 

 

 うは、すげえな前の方。ガチンコ勝負じゃん。あんなとこに突っ込みたくねぇなあ。

 

 

「ウッド、外だ!」

 

「ブモッ(了解)」

 

 

 池谷殿も同じ考えなのか、手綱を外ラチ方向に引っ張る。このまま大外からちぎれってか。

 

 いいぜ、やってやろうじゃん。ぶっちぎってやる。

 

 

 

 

『残り2ハロンで熾烈な戦いだ! ピサか!? コスモか!? それともダムールか!?

 

 

 …………いや!? 外から!! さらに大外からもう一頭突っ込んできた!! ウッドストックだ!! ウッドストック猛烈な勢いで突っ込んでくる!! 最後方からすさまじい剛脚!! あっという間にダムールを躱して先頭の二頭に迫る!! 残りは200m!!』

 

 

(嘘だろ!?)

 

 

 躱したダムールが驚愕したように嘶くが俺は意に介さない。目標は目の前のピサだ。

 

 内にピサ、外にファントム。そしてその大外から俺、さてさて向こうはどう出るか。

 

 

(……お前!)

 

(よう)

 

(なっ、誰だ!?)

 

 

 あんたとはお初だなファントムさんよ。だが挨拶もそこそこにちぎらせてもらうぜ。俺はピサに用があるんでな。

 

 

(クソッ、冗談だろ!?)

 

 

 必死で首を下げて前へ前へ走っているが、ファントムはもう保たない。最後の最後でペースを乱されりゃ余計な体力も使うだろう。ズルズルと後ろに下がっていくのが見えた。

 

 さあピサ、決闘と洒落込もうぜ。俺とあんた、どっちが勝つか根性比べだ。

 

 

(……やるな!)

 

(あんたこそ!)

 

(だが負けない……!)

 

(差す!!)

 

 

 このまま差せるかと思ったがピサめ、ここに来てさらに伸びるかよ。ファントムはもう下がったのにすげえ根性だ。

 

 だけど……。

 

 

 

『ファントムは伸びない!! ウッドストックかヴィクトワールピサか!? 大武か!? 池谷か!? どちらも譲らない!! 大接戦だ!! 両者鞭が飛ぶ!! ウッドか!? ピサか!? どっちだ!?』

 

 

 

 

 舐めて貰っちゃ困るんだよ!! こちとら元人間、ここでバテるような莫迦な走り方はしてねぇ!! 脚は十分に残ってる!!

 

 さあ人間共俺を見ろ!! その目に焼き付けろ!!

 

 そして刻み付けろ!! 俺の名を!!

 

 

(くっ…………!?)

 

 

 

 俺の名は!!

 

 

 

 ウッドストック!!

 

 

 

 芝を駆けるロックスター!!!

 

 

 

 ウッドストックだ!!!!

 

 

 

 

『ウッドだ!! ウッドストック躱した!! ウッドストック躱して前に出た!! そのままゴールイン!!

 

 

 凄まじいまでの剛脚!! 最後方から全て撫で斬ったぁ!! これはとんでもない馬が出てきた! GⅢラジオNIKKEI杯2歳ステークス! 制したのはウッドストック!! 二着クビ差でヴィクトワールピサ、三着コスモファントムです!』

 

『これはクラシックレースが楽しみですね! 私も興奮してしまいました!』

 

 

 

 

「やったなウッド!」

 

「ヒヒンッ!(おう!)」

 

 

 いやー今回ばかりは疲れたぜ。全力も全力で長いこと走ったからもー疲労困憊。しばらくは走りたくねえなぁ。

 

 

 ウイニングランもそこそこに息を整えよう。なんだい池谷殿、もうちょい走れって? 無理無理、もう全力だったから脚ガックガクだもん。

 

 

(…………ウッドストック)

 

(んお? ピサ)

 

 

 池谷殿とわちゃわちゃしていると、後ろから走ってきたピサが俺と歩幅を併せて声をかけてきた。正直あの無愛想ぶりからして向こうから話し掛けてくるとは思ってなかったよ。

 

 

(……お前、強いな)

 

(そっちこそ。一瞬負けも覚悟した)

 

 

 特にあの最後の伸びはビビった。お前まだそこから伸びる脚があるのかと。負けん気は相当らしい。

 

 しかも俺が全力疾走して今にも脚がくずおれそうなのに対して、向こうはまだ余力がありそうな感じ。これが本物の化け物馬か。こりゃうかうかしてたらあっという間に埋もれるぞ俺。

 

 

(……次は負けない)

 

(……また勝負しようぜ)

 

(ああ……)

 

 

 そう言ってピサは離れていった。なんだろう、えらい馬に目をつけられた気がするぞ?

 

 

(やい! やいテメエ!)

 

(うおっ、なんじゃ!?)

 

 

 後ろからいきなり嘶かれてビックリした。振り返るとヒルノダムールがぷりぷりしたご様子で近付いてきて、その後ろからはコスモファントムが付いてきている。え、なにこれ。俺カツアゲでもされちゃうの?

 

 

(この俺を簡単に追い抜きやがって! 次はこうはいかねえからなチキショーめ!)

 

(お、おう…………)

 

(なんだその目ェ! 莫迦にしてんのかテメーこの野郎スットコドッコイ!)

 

(なんだお前面白ぇな)

 

 

 ダムールお前そんなキャラだったのか。

 

 

(お前さんやるな。後ろからこられてビビった)

 

(ファントム。あんたもいい走りだった)

 

(そう言ってくれて嬉しい。ウッド、次は負けないぜ)

 

(ああ、またやろう)

 

 

 ファントムはなんだか爽やかなやつだな。ああいう手合いは話していて気持ちがいいから好きだ。

 

 

(オイ聞いてんのかテメーウッドストックこんにゃろーめ! これで勝ったと思うなよテメーバーローチキショーめ!)

 

(落ち着けって)

 

(コイツこれでも褒めてるんだよ。分かりにくいけど)

 

(うるせー余計なこと言うんじゃねえファントムてやんでえこの野郎!)

 

(これは照れてる)

 

(難儀なやっちゃなあ…….)

 

 

 こっちはなんかめんどくさいやつだ。端から見てる分にはいいが相手するとなると疲れるんだな。俺馬になってから学ぶことが増えた気がする。

 

 

 

 

 

「ウッド、お前モテモテだな」

 

「ヒィン……(皮肉かそれ)」

 

 

 絶対面白がってるでしょ池谷殿。証拠に顔がニヤニヤしてるもん。

 

 それに牡馬ばっかりにモテても嬉しくねーし。どっちかといやライバルだし。せめて牝馬にモテてーよ池谷殿。

 

 

「……ま、これからもよろしくな。相棒」

 

「…………ブルルッ(おう)」

 

 

 

 来年からは3歳馬…………いよいよクラシックレースが始まる。

 

 俺の人生、もとい馬生は多分このクラシックのためなのだろう。きっと。

 

 三冠獲ったら燃え尽きるかもしれんな。

 

 

 

 

 

「……あ、帰ったらはちみつあるってさ」

 

「ヒヒッ! ブモッブモッ!!(マジか! おい早く帰ろうぜ池谷殿!!)」

 

「あっ、こらウッド! 落ち着けって!!」

 

 




 キャラ濃いなこの馬ども(ドン引き)

次話はどちらが見たいですか?

  • いい加減ウマ娘要素増やせや!
  • もっと競走馬エピを掘り下げるんだよ!
  • そんなことよりおうどんたべたい
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