鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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第八十八話「ラストダンジョンへの通路」

 Side 緋田 キンジ

 

『なんとか倒したが……』

 

 俺は周囲を見渡しながらそう言う。

 短い時間ながら敵は手強く激戦だった。

 せっかく整備した自分のパワーローダーも傷だらけである。

 

 幸いリビルドアーミー陣営は驚くほどに大人しい。

 それどころか戸惑いながらも自分達に加勢もしてくれた。

 

 それはそうと――

 

『ラスボスへと繋がるゲートが出現した状態だが――』

 

 と、キョウスケが言う。

 眼前には文字通りラスボスへ通じる大きなトンネルのようなゲートが存在している。

 

『冗談抜きで世界の命運が掛かっている状況だ。安易に判断できない。まずは上からの報告待ちだな』

 

『ああ――』

 

 俺は常識的に物事を考えて判断する。

 キョウスケも納得したようだ。

 

 敵の戦力は未知数。

 向こう側はどう言う状況かも分からないときた。

 俺達は海外のFPSゲームのスーパーソルジャーじゃない。

 少なくとも一個小隊で突入するのは無謀だ。

 

『正直言うと、あえてこいつを無視して地道にロストエリアへ突入した方がいいんじゃないのか?』

 

『まあそうだよな――どう見ても罠くさいし』 

  

 キョウスケの意見には概ね同意だった。

 

『だが一先ずこれを置いといて――戦況はどうなってるんだ?』

 

 ここで佐伯 麗子から通信が入って来た。

 

『リビルドアーミー及びリビルドシティは降伏を受諾した。一部は戦線を離脱したがそいつらの問題は後回しだ。現在アーティスやリビルドシティの代表者ゼネシスを通して停戦を呼び掛けているが』

 

『混乱は避けられないよな――』

 

 真の支配者に捨て駒呼ばわりされて見捨てられたのもあるが、リビルドシティの住民からすれば自衛隊に敗北してこれからどうなるか分かった物ではない。

 

『私はリビルドアーミーの混乱を抑えるために動くわ。オードン? アナタはどうするの?』

 

 リビルドアーミーのカーマンはそう言ってオードンに話しかける。

 

『……正直言うと、どうすれば良いのか分からない状況だ』

 

『まあそれが普通よね。だけど立ち止まっていたらそれこそノアの奴の思うツボよ。それだけは頭に入れときなさい』

 

 そう言ってその場を立ち去った。

 続いてここまで付いてきた宮野一尉が――

 

『本体の呼び出しや受け入れ準備、周辺の偵察をしてくるよ。この場は任せていいかい?』

 

『ああ』

 

 そう言って宮野一尉は自分の隊と一緒に離れていった。

 

『――オードン』

 

『ランシスか』

 

 ランシスがオードンに話しかけた。

 

『部下にはカーマンと同じく混乱を抑えるように命じておいた。貴君のやり方は正直気に入らなかったがリビルドアーミーを変えたいと言う熱意は認めていた。だから部下達も、カーマンも君の下で戦っていたのではないのかね』

 

『……短いだろうが、考える時間が必要のようだ』

 

『お互いにな』

 

 そう言ってランシスが此方に向き直る。

 

『そして――戦いに敗れた我々はどうなる? 処刑するのか?』

 

『さあな。少なくともこの町の代表者は重要参考人として取り調べを受けて、解放みたいな感じにはなると思うけど、そう酷い事にはならないよ』

 

『優しいんだな』

 

『自衛隊だからな』

 

 以前リオに言われた通り、ヴァイパーズの時は此方も生きるのに必死で相手が相手なせいで非情にならざるおえなかった部分がある。

 

 リビルドアーミーに対しても複雑な感情は捨てきれていない。

 なかには恨みすら持っている奴もいるだろう。

 核兵器すら使われたしな。

 

 だがもう十分だろう。

 

 少なくとも俺はどっかの国みたいに先制攻撃されたからと言って民間人を爆撃機で大量虐殺して念入りに核兵器を使って民族浄化規模の大量虐殺をしたいわけじゃない。

 

『それで――これからどうする?』

 

『やるべき事は分かっているがどうするべきか悩んでいる』

 

 そう言って俺はゲートの方を見る。

 

『あのゲートの向こうには敵の親玉がいる。お前らを見限った奴もな――だがゲートの向こう側がどうなっているか分からん以上は手出しができん。だから別のルートから突入しようって言う考えで行こうかと思う』

 

 そこでプレラーティ博士から通信が入った。

 

『少し時間をくれ。その問題は何とかなるかもしれん。その間にゆっくりと休んでおくといい』

 

 との事だった。

 

☆ 

 

 一旦リビルドシティに開けてゲートを潜って日本に戻り、パワーローダーを整備する。

 

 そこで俺は公安の女Xと出会った。

 

 フォボスの進行が世界規模でかなり厳しい状況になっているそうだ。

 とうとう一般人にもその存在が認知されて、中には異星人からの遭遇だとか騒ぎ立てている人間もいるようだ。

 

「もはやどこの国が核兵器を使用してもおかしくない状況です――世界最後の日と言うのが現実味を帯びています」

 

「もう時間がないか……」

 

 ヴァネッサの世界――この世界よりも軍事力が優れた世界ですら世界が荒廃して相手を撤退に追い込むのが精一杯だった。

 

 この世界の通常戦力でフォボスを撃退するのは困難だろう。

 

 遅かれ早かれどこかの国が核兵器を使用すると思われるが――ヴァネッサの世界でもやったと考えれば望みは薄いだろう。

 

 そもそもにして敵の本体は別の世界にいるのだ。

核兵器で先遣隊を叩いてどうこうなる問題ではない。

 

「さて、どう出るべきか……」

 

 ない知恵絞って頭を捻るが答えは出なかった。

 

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