鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

106 / 197
最終話「そして終焉へ――」

 Side 五藤 春夫 陸将

 

 空中戦艦に報告が上がる。

 戦闘は優位に運んでいる。

 巨大円盤や敵の戦艦もあらかた撃沈した。

 

 しかし敵の物量は底なしだ。

 

 恐らくワープ技術の類を使っているのだろう。

 

 何時までこの状況が続くか分からない。

 だが逃げるつもりはなかった。

 

 今日のこの日まで私は沢山の命を犠牲にしてきた。

 この場で潰えるならそれも天命だと受け入れよう。

 

(だから必ず生き延びるんだぞ)

 

 この場で戦う自衛官のこと。

 そして突入していった自衛官のこと。

 

 一方的な想いなのかもしれないが、彼達と戦えて幸せだった。

  

 Side 緋田 キンジ

 

 フォボスの中枢。

 とんでもなく広い広大な空間だ。

 プロ野球の試合も軽く出来るだろう。

 その広間の中央には天地を繋ぐタワーが存在していた。

 

 迎撃システムらしきドローンも浮遊している。

 

『プレラーティ――因果律に呪われた魔女め――まさかあやつが手引きをしてくるとはな――』

 

 と、フォボスが気になる事を言っていたが――

 

『色々と聞きたい事はあるが――手短に終わらせるぞ』

 

『ここで私を倒したところで何になる? 言っておくがここで私を倒しても――』

 

『黙れ』

 

 俺は攻撃を開始した。

 同時に柱から、浮遊ドローンから次々と反撃の砲火が飛び出てくる。

 それを避けながら俺とリオは攻撃を続ける。

 

『お前がいなければ人類は滅ぶとかそんな事を言うつもりなんだろうが――まあその時はその時って奴さ』

 

『なに?』

 

『ぶっちゃけて言えばテメエに支配されて繁栄するぐらいなら滅んだ方がマシだ。大体テメェの言ってることは気にくわないんだよ。ウチの両親とたいして変わりゃしねえ』

 

『愚かな。そんな短絡的な思考で私を滅ぼすか』

 

 次にリオがこう言う――

 

『フォボス――既に人々は変わりつつある。私達は私達の道を行きます』

 

 と激しい攻撃を繰り返しながらリオは言った。

 

『まあそう言うこった――終わりだフォボス』

 

 俺もリオに続くように全身の火器を一斉に解き放った。

 だがバリアで阻まれる。

 

『クソ! そう簡単にはいかないか!』

 

 俺は舌打ちした。

 

『この場で果てよ。潰えよ。私はフォボス』

 

『それがどうした!!』

 

 リオは攻撃を続ける。

 

『何度でも言う!! 私達は生きたいんだ!』

 

 リオは叫んで攻撃を続けた。

 

『アナタに支配されなくても、私達は生きていける! 未来を選択できる!』

 

 さらにリオは攻撃を続ける。

 

 リオの言葉を聞いて俺も奮起した。

 

『そうだな。俺も選択するか!! 自分の望んだ未来って奴を!!』

 

 俺もあらゆる火器をフォボスにぶつける。 

 心なしかシールドが弱まっている気がする。

 

『神を滅ぼすつもりか? その手で? 私を滅ぼしてみろ! 待っているのは絶望の未来しか――』

 

『黙れ!!』

 

 俺はフォボスの言葉を切り捨てた。

 

『お前はとんでもない秘密を知っているのかもしれない、実は本当に絶望の未来とやらが待ち受けているかもしれない』

 

『そうだ! 人類が存続するには――』

 

『だがお前の支配を受け入れる理由にはならない!!』

 

『なっ――』

 

 俺とリオは必死に攻撃を続ける。

 施設全体が小爆発を、火花を引き起こし始めている。

 皆戦っているのだろう。

 

 同時にバリアが弱まっていき――やがて――

 

『ま、待て!』

 

 バリアが消滅。

 俺は聞かなかった。

 

『リオ!!』

 

『キンジ!!』

 

 俺とリオは最後の賭けに出た。

 全ての火器を全弾使い潰すつもりで発射。

 次々が着弾し、フォボスと呼ばれる柱から火花が飛び散りはじめた。

 

『私は――また――いずれ――』

 

『その時はその時だ』

 

 俺とリオはビームサーベルを抜き、トドメの一撃を見舞った。

 

 神を名乗った物は電流の火花と小爆発を起こして爆炎の中に沈んでいく。

 やがてスクラップへと変わった。

 外の喧騒がとても静かに感じる。 

 

『これで終わったの?』

 

 リオが不安そうに尋ねる。

 

『正直俺には分からない……だけどここにいるフォボスは倒した。それだけは確かだ』

 

 自分に言い聞かせるように俺はそう言った。

 最後の言葉を聞いて正直不安なのかもしれない。

 

 だけど俺は言った。

 

 その時はその時だと――

 

『……帰ろう』

 

『うん――』

 

 俺とリオは仲間達の下に戻ることにした。

 

 

 Side 宗像 キョウスケ

 

『決着がついたみたいだな』

 

 施設の機能が停止していく。

 無人機も活動停止。

 

 俺は倒れ伏したノアを見る。

 さすがのノアも味方の援護があったとは言え、傷ついた状態で五対一は無謀だったようだ。

 

『君達は絶対的な力による支配を拒んだ。確かめるといい。神の支配を拒んだ世界を――』

 

 まるで呪いのような言葉だ。

 俺は『ああ、確かめて生き抜いてやるさ』とだけ返した。

 

 この世界を支配していた巨悪は確かに倒した。

 だからと言って何もかもが平和になるのはゲームの世界だけだ。

 これから先もきっとロクでもない戦いが続く。

 

 もしかするとノアとフォボスのやり方に理解を示してしまうような目に遭ってしまうかもしれない。

 

 それでも俺は戦うさ――

 

『……ヴァネッサ、どうした』

 

『いえ――これは、私達の悲願でもありましたから――』

 

『そうか』

 

 涙声のヴァネッサを少し放置しておくことにした。

 

『リビルドアーミーの皆さんはこれからどうする?』

 

 俺はランシスとオードンに振り替える。

 

『決まっている。リビルドアーミーを建て直す』

 

 ランシスが言うが――

 

『だが支配者であるノアは死んだし、やり方の方針転換に否を示す奴も出てくるだろう』

 

 オードンはそう言う。

 俺は『問題は山積みだな』と返した。

 

『パンサー……これからどうする?』

 

『うん。まあ一息ついて考えたい。それよりもキョウスケはパメラの事を考えなよ』

 

『そうか――そうだな――取り合えず皆と合流して外に出よう』

 

 俺達は外を目指す事にした。

 キンジもリオも後で追いつくだろう。

 

 

 Side 五藤 春夫 陸将

 

 空中戦艦は不時着。

 そのまま突入班を支援するために私自らも戦闘に参加した。

 そして――敵の攻撃が止んだのを見て私は悟った。

 

 正直詫びねばならない。

 

 最初、この作戦を聞いた時、私は無謀すぎると思った。

 

 だが彼達はやり遂げた。

 

 やり遂げて見せたのだ。

 

 この場に参加した、フォボスと戦った誰もが英雄となったのだ。

 

(未来は見れた。幸運にもこの目で生きているウチに)

 

 後は我々の仕事だ。

 

=フォボスとの戦いが終わり、暫くして――=

 

 Side 佐伯 麗子 三佐

 

 あの突撃バカどもは今頃どこで何をしているのだろうか?

 

 あの戦いのドサクサで私は三佐に昇進した。

 

 同僚の水島 静香もだ。

 

 五藤 春夫陸将はあの荒廃した世界での行動の数々の責任をとる形で辞職する形になった。

 引き留められたそうだが断ったそうだ。

 まあ、あの人らしいと言えばらしいが。

 

 そうそう。

 前の政府は今回の全責任をとる形で内閣総辞職となった。

 今は選挙期間中である。

 次はマトモな政権である事を期待しよう。

 

 そして世界の方だが、なんだかんだ言って世界は平穏を望むらしく、今は世界中に展開したフォボスが残した技術の解析に大忙しのようだ。

 

 日本はこちらは他の並行世界の地球との交流やプレラーティ博士による並行世界とを繋ぐゲートと言うカードがある。

 

 更に言えばフォボスの奴、私達が知らない他の世界にもチョッカイを出していたお陰でその世界の調査と言う大義名分が出来た。

 

 問題は自衛隊の人手不足――大勢の人間が殉職し、そして自衛隊から離れていった。

 

 だが他国の懐事情も似たようなもんで世界中の軍隊は大打撃を負った。

 暫くはフォボスの大規模侵攻のおかげで平和だろう。

 

 悪の侵略者のせいで平和とは皮肉な事ではあるが……

 

 それでも平和は平和だ。

 

 なんだかんだで平和は一番。

 

 この平和とは程遠いこの世界に身を置いて私は平和の尊さを実感している。

 

 

 Side 緋田 キンジ

 

 リビルドアーミーの支配者であるノアを倒し、そしてこの世界を影から操り、二つの世界に手を伸ばしていたフォボスを倒した。

 

 問題は山積みである。

 

 野盗やヴァイパーズの残党、リビルドアーミーの離反した部隊などが最もたる例だろう。

 

 さらに厄介なことにフォボスの奴、俺達ですら知らない他の世界にも手を伸ばしていた可能性が示唆されており、その調査のための部隊も編制する事になった。

 

 だが悪い話題ばかりでもない。

 

 ヴァネッサの世界と日本とで交流するとか、

 

 狭山 ヒロト君が市長として滞在する事が日本政府から正式に許可されたりとか、

 

 フォボスの無人兵器の残骸を資源に変えて復興の手助けにする取り組みなども行われている。

 

 悪いことも良いこともひっくるめてこの世界は歩んでいた。

 

 その傍ら俺とリオは――まあキョウスケとパメラもそうだが法律的な問題でとりあえず婚約と言う形になったがそれでもリオとパメラは嬉しそうだった。

 

 そして俺たち第13偵察隊の任務は続いている。

 

 再び東へ西へ、北へ南へと厄介ごとに巻き込まれ、首をツッコミながら旅を続けている。

 

 この世界は広い。

 まだ知らない土地が沢山ある。

 

 想像だにしない驚異もある。

 

 それでも俺は歩み続けようと思う。

 

【鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録 END】





 どうもMrRです。

 本作品いかがでしたでしょうか?

 正直この作品、個人的に悪いところが多くてハーメルンで掲載した場合、低評価の嵐が吹き荒れそうでビクビクしておりました。

 この後書きを書いている時点ではそうはならなくてちょっとほっとしています。



 この作品の悪い点は後半になるに行くにつれて顕著になっていきます。

 多数のキャラクターが登場するところではもっと物語にゆとりを持たせて進行させるべきだったと反省しております。

 さらに登場人物を序盤からもっと絞るべきだったとも思います。

 その点は深く反省しており今後の作品作りに活かせたらと思いました。

 今ハーメルンに掲載している少年少女のパワーローダー戦記はこの作品よりも前に書かれた作品で、ある程度手直ししていますがその悪い癖が残っている状態ですね(汗



 今のところは新連載を考えておらず、今ある連載を完結させてちょくちょく短編を書けていけたらな、などと思います。

 また海〇雄山とかボトム〇とかやるかも知れません。

 それではこの辺で。

 MrRでした。
  
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。