鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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リビルトアーミーのその後

 Side ランシス

 

 フォボスとの戦いが終わり少しばかりの時間が経過した。

 

 リビルドシティの真の支配者ノアが倒れ、代表者はゼネシス様からアーティス様になった。

 

 だが問題はここからだった。

 

 ジエイタイ――二ホンを始めとした周辺地域の住民との関係改善。

 

 さらには弱体化したのを良い事に野盗からすら狙われる始末。

 

 悪い事は続き、今のリビルドアーミーのやり方が気にくわないからと言って辞めるだけならともかく、装備もろとも離反する連中まで出てくる始末だ。

 

 グレムスなどは空中戦艦もろとも消え去って行方知らずだ。

 

 だがアレだけの巨大移動物体。

 

 行き先は限られてると言っていい。

 

 だが世の中何が幸いするか分かったものではなく、弱体化して資源、物資が乏しくなったリビルドシティ、リビルドアーミーにとって面倒を見る人間の数が大幅に少なくなったのはありがたかった。

 

 更にはジエイタイや、もう一つの世界(ヴァネッサの出身世界)からの援助物資もあり、暫くは交流無しでも存続は可能になった。

 

 だがアーティス様はそれでよしとせず、自ら村や町に出向いて頭を下げてこれまでのリビルドアーミーの行いを謝罪し、そして物資を出来うる限り分け与えていった。 

 

 私はそれの付き添いだ。

 

 移動も空中戦艦や飛行機械ではなくトレーラーである。

 

 無論、周囲はパワーローダー部隊などで防備についている。

 

「それにしても良かったのか? 私について来て?」

 

 傍には赤髪のボブカットの女性。

 私の副官のスカーレットがいた。

 トレーラーの運転を任せており、私は助手席に座っている。

 

「いいんです。隊長についていくと決めましたからリシャ(同じくランシスの部下)も同じです」

 

「そうか」

 

 もう何も言うまいと思った。

 リビルドシティの方はゼネシス様とオードン、カーマン達に任せてある。

 

 オードンの「どんな手を使ってでも出世してリビルドアーミーを変える」と言う願いが叶ったのも皮肉ではある。

 

「念押ししておくが、リビルドシティはこれから大変だ。どの道以前のような力任せの振る舞いは許されん。ただ強いだけでなく、政治的な感覚が重要になってくる」

 

「ええ――ジエイタイともう一つの世界との交流、周辺地域との関係改善をどう上手く進めるかがこれから重要になってくるんですね」 

 

「そうだ。アーティス様なら上手くやれると思うがまだ若い。出来る限り心労や負担を取り除かねばならん」

 

「アーティス様の事を信頼なさると?」

 

「信頼しているが、経緯はどうあれリビルドアーミーを変えたのは私でもオードンでもない。アーティス様だ」

 

 私はこう続けた。

 

「例えそれがノアの思惑の一部だったとしても、ジエイタイやもう一つの世界の力を借りたとしてもだ」

 

 と。

 そしてこう付け加えた。

 

「それに今の仕事には満足している。少なくとも野盗みたいな真似をしなくても済むからな」

 

「ですが辛い道程ですよ? 未だに我々の事をよく思っていない人々は沢山います。それに離反した連中の討伐隊を編成しなければならないでしょう」

 

「スカーレット、君は優秀な副官だ。私がそれを理解していないと思ったのか?」

 

「確かにそうですが――」

 

「話に聞けばジエイタイそう言う時期があったと聞くしな」

 

「あのジエイタイがですか?」

 

 不思議そうにスカーレットは言った。

 私も最初は驚いた。

 

「そうだ。昔は軍隊ごっこしている連中だの何だの言われて世間からのイメージは低かったらしい。それどころか以前は我々リビルドアーミーのように他国へ侵略活動すらしていたようだ」

 

「そんな事が……」

 

「深い理由があるそうだが、侵略は侵略だとジエイタイの連中は言っていたよ。その戦争に敗北し、ジエイタイが誕生したらしい」

 

「そう言えばジエイタイとはどう言う意味で? 軍隊ではないとかどうとか言っていたような気もしますが」

 

「君も勉強しているのだな――その辺は私も調べたが相当複雑な経緯があるらしい」

 

 敗戦国になり、戦勝国の主導の下で国は再建されていき、今に至ると言う。

 時間がある時にでも学んだ方がいいか。

 

「我々もなれますかね? ジエイタイのように」

 

「なるならないの問題ではない。ならねばならんのだ」

 

「……はい!」

 

 我々の道程はとても険しい茨の道だ。

 だが成し遂げねばならない。

 それが今の私の目標であり、夢だ。 

 

 

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