鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】 作:MrR
Side 緋田 キンジ
俺達、第13偵察隊は火を消すのではなく、火の回りの物をどかす、あるいは破壊すると言う方法で最小限に被害を留める方向で動いた。
同時に火の中に突入して捨て身の救助活動も行う。
並行して自衛隊の増援部隊がプルミア村に入る。
医療体制を優先した部隊だ。
バトンタッチして周囲の警戒に移る。
敵ならこう言う時こそ仕掛けてくるからだ。
『たく、戦争って奴は嫌になるね!! 敵襲まで心配しなくちゃならねえからな!』
『ああ全くキョウスケの言う通りだよ! 噂の反乱軍の皇子様は何やってんだ!?』
などと俺とキョウスケは思わず悪態をつく。
この国が内乱中なのは分かっているがこうして無関係な人間の犠牲を目の当たりにすると愚痴の一つや二つも言いたくなる。
『嫌な予感はあたるみたい! 来る!』
空中のリオから言葉が出る。
敵はこの世界のマジックメイル。
地上と空中から押し寄せてくる。
帝国軍だろう。
『どうする? 説得するか!?』
『やるだけやってみるか!!』
俺はキョウスケに言われて自棄になりながら言葉を発した。
『こっちは日本国の陸上自衛隊だ!! 現在この村の住民の治療を行っている!! 治療が完了次第この村から引き揚げる!!』
そして帝国軍の返事はマジックメイルから放たれた火球だった。
『やるしかねえのかよ!!』
キョウスケが怒りを交えながら攻撃を開始する。
『ああ、みたいだな!! 総員戦闘開始!! 村人には何があっても巻き込ませるな!!』
俺も攻撃を開始した。
☆
Side リオ
(変わらないな――キンジ達は)
この別の世界でもキンジたちは変わらなかった。
誰に頼まれたワケでもなく。
ただただ見も知らずの誰かのために戦う。
それが不思議と嬉しかった。
そんな人だから婚約しようと思ったんだと思う。
婚約出来て嬉しかったんだと思う。
(キンジ達がキンジ達であるかぎり、私も変わらない。戦い続けよう)
自衛隊は例え救助された相手に文句を言われても、石を投げられても人を助ける人々だったと言われている。
だが本物の殺し合い、本物の命のやり取りを経験する事になり、多くの人間が自衛隊から離れて行ったと言う。
無理もない。
誰だって命は惜しい。
死にたいと思っても死ねない。
死ぬ決断はできない。
故郷の村を焼かれてパメラと一緒に彷徨って、色んな辛い事が沢山あったからそれは身を持って知っている。
ここの村人をそうはさせたくない。
あの世界のような出来事は広げたくない。
☆
Side パメラ
(リオも相変わらずね――)
ずっとリオやパンサーを支え続けてきた。
メカニックとしてでもなく、経済面からも。
色々と苦労した。
自衛隊との生活は大変だけど夢のようでもあり、その夢はまだ続いている。
正直、男にも恵まれるとは思っていなかった。
(私も頑張らなくちゃね――)
私はトレーラーの武装を動かし、指示を出しながら戦い続ける。
旦那様――キョウスケはなんだかんだ言いながら面倒見がとてもいい。
たぶん自衛隊の任務云々抜きでもこの村の事は放ってはおかないだろうし。
(正直リオやパンサーの事が羨ましく思うことがある)
パローダーを身に纏って、カッコよく戦って、戦火を挙げて。
時々それが羨ましく感じる時がある。
だけど――私には私に出来ることはある。
(私は私の出来る事をしよう――)
そう決意して戦いに挑む。
☆
Side パンサー
私ってここまで付き合い良かったっけ?
そう思う時がふとある。
日本に来たり、また別の異世界にいったり。
行く先々でドンパチ繰り広げて。
リオとパメラは男を作ってそろそろ私も卒業かな~なんて事を考えたことはある。
だけど、なんだかんだで孤独と言うのは辛い。
孤独と言うのは怖いところがある。
誰にも知られずに死んでいくのは恐怖でしかない。
あの荒廃した世界を女が一人、孤独で彷徨うと言うのは自殺と同じである。
リオとパメラのように恩師と呼べる人がいた。
気の合うグループがいたがそれが全滅する事もあった。
そんな生活を続けていき、徐々に精神的に摩耗していってたと思う。
正直リオとパメラと出会えてよかった。
自衛隊の人達に、キンジやキョウスケ達に会えてよかった。
だから今は――
(矛盾しているかもしれないけど、今を守るために今を戦い抜く!!)
私はジェネを最大稼働で振り回して次々と敵のマジックメイルを落としていく。