鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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第十五話「人類種の天敵」

 Side 緋田 キンジ

 

 嘗てフォボスが言っていた。

 

 ――神を滅ぼすつもりか? その手で? 私を滅ぼしてみろ! 待っているのは絶望の未来しか――

 

 俺はその言葉を『黙れ!!』と切り捨てた。

 

 リビルドシティを支配していたノアも呪詛に近いような言葉を残していたとキョウスケが言っていた。

 

 今この状況。

 

 人類の天敵との戦いがその絶望の未来なのだろうか。

 

 敵の戦闘機型を、パワーローダーの様な人型を次々と撃墜していく。

 

 石崎大尉の世界のゲートから次々と戦車や装甲車、陸戦型、空戦型のパワーローダーを含めた戦闘部隊が入り込んでくる。

 

 更には――想像以上に早いがマジックメイルの部隊の支援も入った。

 どうにか敵の物量に抗えている。

 

『増援要請を送った!! 持ち応えさせろ!!』

 

 佐伯 麗子が有難いことにちゃんと仕事をしてくれている。

 災害派遣だの何だのでアゴで使われていた関係が懐かしい。

 

『つっても!! 敵の数が多い!! 制空権も敵にある以上、何処まで持ちこたえられるか――』

 

 空は敵の大群が埋め尽くし、敵の数がどんどん増えている。

 倒しても倒しても何処からともなく増援が来る。

 このままだと数分もすれば戦闘不能に陥るだろう。

 

『こいつら――ゼレーナはあんたらの世界の敵だろ? どうしてここにいるかなんてのは――まあ今更だよな』

 

 石崎大尉に呼びかけるように俺は呟いた。

 

 あの世紀末世界の悪党連中だっていたのだ。

 別に他の世界のヤバい奴がいたとしても別におかしくはないだろう。

 この分だと自分の知らない世界の敵までいるのかもしれない。

 

『愚痴は後だ。今はこの場を切り抜ける事を考えろ』

 

『オーライ』

 

 キョウスケにそう言われて戦闘に集中する。

 

 他の隊員はこれまで一緒に修羅場を潜り抜けただけあってタフであり、また石崎大尉の世界の日本軍の支援もいい。

 

 やはりと言うかリオとパンサーの二人の技術が飛びぬけている。

 パンサーは着実に敵を落としていき、リオはゲイルの性能を最大限に開放して空中を飛び回り、火花を散らして空を自由自在に泳いで回っているようだった。

 

『凄い――まさか違う世界にもこれ程の凄腕がいると言うのか』

 

 石崎大尉が誰の事を指しているのかどうかは知らないが驚いているようだった。

 大方パンサーかリオ辺りだろう。

 俺達視点から見れば石崎大尉達の腕も相当なもんだが。

 

『こちら航空自衛隊、エアライダー隊到着。初めての実戦がこんなワケの分からん奴が相手だとはな――』

 

『戦闘機隊も来たぞ!! 対艦ミサイルも積んでる!!』

 

 3つの世界の部隊が結集し、大部隊となっている。

 心強く、胸躍る状況だ。

 フォボスとの最終決戦の時を思い出す。

 

『プラズマ仕様の対艦ミサイルだ!! 受け取れ!!』

 

 航空自衛隊のパワーローダー隊、戦闘機隊は相手の情報を取り、景気よく敵の群れのリーダー機と思われる空中の宇宙船型に戦闘機隊のプラズマの対艦ミサイルをぶっ放す。

 

 他の機体もレールガンやビームガトリングなど景気よくぶっ放している。

 勢いよく敵部隊が撃墜されていく。

 

 石崎大尉もエリオットが声を失っているが大丈夫だろうか。

 

『敵の宇宙船型――まだ動くぞ!!』

 

『クローアームか!?』

 

 地面に墜落し、そのまま終わるかと思いきやクローアームを展開。

 更により濃密な弾幕を周囲に展開する。

 迂闊に近寄れない。

 

『クソ! このままでは――Aliceの増援を待つか!?』

 

 石崎大尉が言うが――

 

『そのアリスが何なのか分からないがこのまま押し切るぞ!!』 

 

『ま、待て!!』

 

 石崎大尉の静止を振り切るようにして俺達、第13偵察隊は攻撃フォーメーションに入る。

 

『それよか大尉、あの深夜アニメに出てきそうなテンプレの敵に弱点はないのか?』

 

 キョウスケが石崎大尉に呼び掛ける。

 

『あのサイズだと体の何処かにコアがあるはずだ!! そいつを叩けば!!』

 

『了解――!!』

 

 石崎大尉の言葉にそう返して俺達は空中を舞う。

 地上型のパワーローダーでも後先を考えなければ短時間なら空を飛べる。

 

『奴の体内に高エネルギー反応を感知! たぶんそこが例のコアよ!!』

 

 パメラが通信を送ってくれる。

 

『分かった!! ちょっくら決めてくる!!』

 

 キョウスケが気合を入れて返事をした。

 

『全部隊、第13偵察隊の援護を!! 当てるなよ!!』

 

 航空自衛隊も援護に入ってくれる。

 石崎大尉も、マジックメイルの部隊も援護に入ってくれた。

 

『キンジ!』

 

『リオか!』

 

 傍にリオが来てくれる。

 俺はリオに合わせるようにパわローダーの動きをコントロールする。

 リオが調整をしてくれる。

 

『砲撃来るぞ!!』

 

 相手のビーム砲で左右に別れる。

 そして相手の船体に沿う様に回り込み、コアがある周辺に集中砲火を浴びせる。

 リオも挟み込むように攻撃。

 他の隊員も食らいついたらしく、至近距離からコア周辺への攻撃を開始。

 

『コアの露出を確認! 今だ!』

 

 佐伯 麗子が叫んだ。

 銀色の丸い球形状のコアの露出を確認。

 総攻撃を開始する。

 

 数秒後――白いガラス片のようになって、そして塵となって何もかも消えていき、人類の天敵、ゼレーナは撃破された。

 

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