鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】 作:MrR
Side 緋田 キンジ
俺はラウンジでエリオットを見かけた。
見た目は可愛い系の美少年なのもあり、また人当たりもよいせいかAlice少女達に受けに受けた。
それもひと段落して彼は今、ノートに必死に書き込んでいる。
必死の形相を見れば何を書き込んでいるのかは大体想像つく。
「あ、いたんですね」
「報告の内容は纏まったか」
「はい。正直もうどうすればいいのやら分かりませんが一先ず反乱軍と合流したいと思っています」
「……正直自衛隊の立場から言わせてもらえばバハムス帝国と反乱軍の戦いは介入するかどうか決めあぐねている状態だが――」
「ですよね――今回の事態の発端は僕達の世界の問題ですし」
「だが俺個人としては真相究明と事態の収拾も重要だと思う」
「真相?」
「もう人事で済ませるには無視出来ない程に状況が悪化してる。他人事を決め込んだら事態が収拾できなくなる」
「それが緋田さんの意思ですか?」
「と言うか経験則だ。以前、世界を救えたのは五藤さん(*元陸将、現在は第一部での一連の騒動の責任を取るために退役している)の決断によるところが大きいし――今度は俺の番かもしんねーな」
「世界を救った――」
「ああそれはだな」
そこから少し昔話をした。
世界の壁を跨いで暗躍したフォボスについてだ。
フォボスについては昭和の悪の侵略者みたいな感じでサラッと解説して、どうして世界を救ったのかについて語った。
実際フォボスは惑星全土に部隊を展開する程の軍事力とテクノロジーを持ち、それに対抗するために世界各国は大量破壊兵器――核兵器の使用が秒読み段階だったのだ。
それを止めただけでも十分世界を救った事になるのだが。
まあ正直、今となっても実感わかないけどな。
ただ無我夢中で戦って気が付いたら倒せてた感じだし。
「そんな凄い人達だったんですか?」
「うん? まあ――そうなるのかな?」
そう言われて照れ臭かった。
自衛隊は嫌われて耐えてナンボなところがある。
それこそ守るべき国民から罵声浴びせられてもその国民のために戦うのが自衛隊である。
世紀末のあの世界の時もそうだったがこうして褒められると、どうしても落ち着かないと言うか、らしくねーなと言うかそんな気分になるのだ。
「ともかく俺達の任務は真相も究明だが、バハムス帝国やあの世界に現れたゼレーナも気になる。ここでの事は他の連中に任せてあの世界に戻るつもりだ」
「はい――それなんですが反乱軍の拠点を目指しましょう」
「拠点?」
「平たく言えば士官学校です。今は反乱軍の拠点となっています」
「学校が?」
「そこでこれまでの事を報告するつもりです」
「そうか――俺達も同行するよ」
「ありがとうございます――」
そしてエリオットは深々と礼をする。
俺は「どういたしまして」と言ってその場を去り、明日に向けて準備をする事にした。