鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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第二十二話「公安の女X~狭間駐屯地編~」

 Side 緋田 キンジ

 

 一旦、狭間駐屯地に戻り、これまでの事を話す。

 

 狭間駐屯地の近くに新たな村が開拓され、内乱で行き場を失った避難民達が集まって規模がデカくなっている。

 

 一方でそんな事など知ったことなど様々な連中がこの村に襲撃を仕掛けていると言うのだ。

 

 この世界の野盗やモンスター、帝国軍、世紀末世界の野盗にヴァイパーズ、リビルドアーミー、果ては人類の天敵ゼレーナまで。

 

 あの世紀末世界の初期の頃を思い出す連戦続きだ。

 

 反乱軍も手を貸してくれていて、帝国軍の情報をある程度横流ししてくれているそうだが――彼方此方で帝国軍に対して反抗活動が活発化している。

 

 だがこのままだと反抗活動がドを過ぎて異世界にて世界大戦が勃発する可能性も出て来た。

 

 人類の天敵、ゼレーナまでいる状況下でだ。

 

 そうなったらどうなるか?

 

 自衛隊は、日本は静観を決め込めばいいのでは? と言うのが正しいのだろう。

 正直反吐が出る考え方だがこれが正しい。

 

 だがその戦火に日本も後々になって巻き込まれる可能性を俺は危惧していた。

 

 

 =狭間駐屯地・応接室=

 

「久しぶりだな」

 

「ええ、そうですね」 

 

 この異世界の駐屯地で久しぶりに公安の女Xと遭遇した。

 

 公安の女Xとはリオ達の地球ツアー(第一部、第三十六話初登場)からの付き合いであり、色々と俺達に手を回してくれている。

 

 同時にこの人が現れると言う事は日本か、あるいは世界で大体まずい事が起きている可能性が大だったりする。

 

「単刀直入に言いますと日本政府はこの世界からの撤退を考えています」

 

「だろうと思ったよ」

 

「この世界の現代兵器が通じにくいと言う特性、想像以上の異世界軍の軍事力、さらに未知のエイリアンと言うオマケまでついてますからね――」

 

「んで、俺達に何をさせる気だ? この世界でも救って欲しいのか?」

 

「結果的にそうなりますかね。あの荒廃した世界とは違い、魔法などの未知の存在やマジックメイルなどの軍事技術、この世界の手付かずの鉱物資源を手に入れたいと考える先生方も多いのです」

 

「絵に書いたような、″取らぬ狸の皮算用″だな」

 

「ですがフォボスの一件で世界中にパワーローダーなどの超技術がばら撒かれたので、何としても新たな世界でリードできる超技術を欲していると言う考えもあるのです」

 

 公安の女Xの言う通り、そう言う後ろ暗い裏事情があるからあの世紀末世界の扉が開き続けているのだ。

 この世界と関りを持つ意味も彼女が語った通りの意味、まんまだろう。

 

 勿論この女性は俺の″取らぬ狸の皮算用″の意味も理解しているのだが上の先生方達はその意味を分からないことを前提で考えた方がよさそうだ。

 

「ですが、この世界の世界大戦に巻き込まれた状態で鉱物資源を得たいと考える程、先生方は欲深くはないでしょう」

 

「ならいっそ帝国に取り入ってクーデター陣営を鎮圧させたらどうだ?」

 

 意地悪く、エリオットに心の中で謝罪しつつもそんな提案をしてみた。

 言ってる事はド外道その物であるが、国益と言う奴を考えるだけならそれが一番だ。

 

 例えバハムス帝国と言う国家がクソでも、日本は長年に渡ってミサイルを撃ち込んだり戦闘機で領空侵犯させてくる連中とお付き合いしてきた実績がある。

 

「確かにそうですが――望みが薄いかと。特に先の失敗もありますから弱腰です」

 

「リビルドアーミーの時だな……」

 

 リビルドアーミーとの会談――と言う名の宣戦布告の時を思い出した。

 アレで弱腰になってんのか。 

(*詳しくは第一部、第二十三話「思想の対価」参照)

 

「たく、呑気に給料泥棒の不良自衛官やろうと思ったのに、どうしてこうなったんだか……国連よりも国連らしい事している気がするぜ――」

 

「確かに世界救っちゃいましたもんね」

 

「ともかく反乱軍の拠点に行く。その前にヴァネッサと合流したい」

 

「ヴァネッサさんとですか?」

 

「今のパワーローダーじゃ正直限界だからな。基地に戻ったのはヴァネッサとコンタクトを取る意味合いもある」

 

「どうしてそこまでするんですか?」

 

「やりたいように生きる――リオ達を見習っただけさ」 

 

「やりたいようにですか。簡単ですけど、難しいですね――それでは私はこの辺で」

 

 そう言って公安の女Xは立ち去った。 

 

「さてと、準備しますか」

 

 そうして俺は様々な準備に取り掛かった。

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