鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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=幕間:トレダーのアネットその3=

 *今回の物語は=幕間:トレーダーのアネットその2=終了直後からはじまります。

 

 シップタウンで緋田 キンジやリオが騒動に巻き込まれている間に自衛隊基地になにがあったのか描かれています。

 

 Side アネット

 

 仲間達や他のトレーダー、キャラバンと一緒にグレイヴフィールドを突き進む私達。

 

 途中で何度か襲撃を受けるも数の暴力で押し潰すように粉砕していく。

 

 すると上空に空飛ぶ飛行機械が現れ始める。

 

 それに呼びかけ、誘導に従い、基地の近くに案内された。

 

 なんでも受け入れ準備とかで時間が掛かるそうだ。

 

 ジエイタイと呼ばれた兵士達は警護しているのか、監視しているのかよく分からない態度で――遠巻きに物珍しげに此方を観ていた。

 

 此方から話し掛けられると驚いたような様子であり、不謹慎ながらそれがなんだか面白く感じた。

 

 とりあえず防備を固めるために他のキャラバンやトレーダーと一緒に防衛拠点を作ることにした。

 

「ニッパ。様子はどう?」

 

「あ、姉さん。簡易的ですが拠点は完成しました」

 

「ご苦労様」

 

「それとジエイタイの人達、根本的に女性に慣れてない感じですね。あとなんか待たせてるお詫びで冷たいジュースくれました。ジュースってこんなに美味しかったんですね」

 

「本当に気前いいのね――」

 

「なんか頂いてばっかで悪いからコイン(この世界における貨幣)置いておきました。皆も同じくコイン出してます」

 

「それがいいわね」

 

 冷たい飲み物。

 特にジュースなんて飲んだことがない。

 と言うか存在でしか聞いたことがない。

 あっても生温くて、冷蔵庫で冷やさないといけない。そうして初めて美味しいジュースを味わえるのだ。

 

 それを配るなんて嬉しい通り越して恐さや不気味さを感じる。

 

 

『どうもはじめまして。この自衛隊の基地の代表者である五島 春夫陸将です――皆様と交流するにあたって知ってもらいたいことがありまして――』

 

 取りあえずそれぞれのグループの代表格が集まり、向こうの基地の代表が集まり、自分達の目的などを説明することにした。

 

 ここはグレイヴフィールド。

 

 商売のために皆来ている。

 

 興味があるからと言う理由でこの危険地帯まで来たバカはいないだろう。

 

 そうして交流を深めて分かった事だが、彼達は此方の技術や貨幣を求めているらしい。

 

 別世界から来たと言うのはさして重要ではない。

 

 彼達は私達と交流、商売を持ち掛ける準備があると言うことだ。

 

 早速パワーローダーや銃火器、コインなどで自衛隊の持ち物と交換しようとする人間が出て来る。

 

 この世界では銃や弾薬も重要だが水や食料の方が貴重だ。

 

 多くの人間が野垂れ死に、禁断の行為に走った者もいる。

 

 それは別として、パメラやリオが上手いこと説明してくれていたのか自衛隊の商品はどれも魅力的な物ばかり。

 

 水や食料だけでなく、服や靴、見たこともない嗜好品の数々。

 

 向こうの世界ではガラクタらしい電子機器なども用意している。

 ペットボトルや空き缶までも。

 

 さらに野外入浴セットと言うお風呂まで準備してくれた。

 

「いやーあの人達本当に気前いいですね」  

 

 などとニッパは購入した服に着替えて野外入浴セットでサッパリした様子だった。

 私も風呂に入ってサッパリした。

 温かく、心地よく、水の心配とか気にせず入れるなんて夢心地だ。

 

「そうね――私はちょっと不気味さを感じてますけど」

 

「まあそれが姉さんらしいっちゃ姉さんらしいんですけど――」

 

「・・・・・・そうね。この流れに乗じて勝負してみるのもいいかもしれませんわね」

 

「姉さん?」

 

 

 自衛隊と契約する事にした。

 

 商品の仕入れやパワーローダーの訓練指導、整備の仕方の講習、基地の警備やジエイタイの護衛だ。

 

 事前に聞かされていたが、ジエイタイは貧弱らしく早急に強くなる必要があるのだとか。

 

 さらには調査――この世界の事を知りたいらしい。

 

 ここには何があるのか。

 

 そこにはどう言う生物が住んでるのか。

 

 そう言ったあれこれだ。

 

 報酬も出るとのことでみな必死である。

 

 人間、稼ぐ時に稼がなければならないのだ。

 

 そして数日が経過し、ジエイタイがシップタウンに救援部隊を差し出したり、騎士団の人々が訪れてジエイタイの手伝いをはじめたり――リオやパメラ達がこの土地に帰ってきたのはそんな時だった。

 

「聞いたわリオ。シップタウンで随分暴れたみたいじゃない」

 

 と、リオに挨拶する。

 どうやら今は一人のようだ。

 

「うん。ジエイタイの人達の御蔭でシップタウンは救われた。それよりもアネットはなにしてるの?」

 

 誇らしげにリオは語る。

 リオ達やシップタウンの手助けもあったのだろうが、ジエイタイも中々やるなと評価を改める。 

 

「ジエイタイの人達にパワーローダーの動かし方を教えているの。時折模擬戦とかもしたりするけど。ニッパとかはパワーローダーの整備やそのやり方を他の方に教えてるわ。なんでもこの基地、人手不足らしくて私達の手も借りたいみたい」

 

「ジエイタイの人達、この世界に来るまで実戦したことないみたいで、来るの恐がってるんだって。よっぽど平和だったんだね」

 

「別世界ともなるとその辺の常識も違うのですね」

 

 別の世界。

 ニホン。

 いったいどういう土地なんだろうか。

 正直言うと、ちょっとだけなら行ってみたいとか思ったりもした。

 

 

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