鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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第七十二話「互いの気持ち」

Side 緋田 キンジ

 

 戦いで大きく負傷しながらも(*精神的に)フェンサーを元の持ち主に返した。

 

 一体なんだったんだアイツ(カーマン)は。

 

 また戦わなきゃいけない気がするぞ。

 

 それはそうと――狭山 ヒロトが発展させた町、アルカディアに少しばかろ滞在する事にした。

 

 パワーローダーの整備だけでなく移動手段のトレーラーの整備も行うためだ。

 

 それにリビルドアーミーの動きも気になるし、恐らくこの町の近くに何かしらの拠点があると思われる。

 

 それを探る上でもここの滞在は丁度よかった。

 

☆ 

 

「改めて思うけど、ここも凄い発展してるんだね」

 

 リオは周囲をキョロキョロ見渡しながら言う。

 

「初期条件とかもあるんだろうけど、狭山君の人徳や手腕とかもあるんだろうな」

 

 俺はそう分析しつつ町を見て回っていた。 

 今は人で賑わう町のメインストリート。

 様々なものが置いてある場所に来ている。

 

(さて、何をするべきか)

 

 補給物資の調達やら生活必需品を手に入れたりとか、整備の手伝いに情報収集とか、やるべきことは本来沢山あるが皆が作業を分担して受け持ってくれているので殆どない。

 

「私は一緒に見て回るだけでもいいよ」

 

「いいのかそれで?」

 

「うん」

 

「――たく、どうして俺を気に入ったんだか」

 

「ただ異世界の人で自衛隊の人だからとかじゃないと思う。それにキンジは相手の事が好きになった時、相手のどこが好きになったとかちゃんと上手く説明できるの?」

 

「それは――」

 

 リオの言う通り。

 本当にどうして互いの事が好きになったのか上手く説明できる男女は何人いるのやら。

 本当は説明できる――

 

 リオは年下のまだ女子高生ぐらいの女の子だ。

 

 それに口に出すのは恥ずかしい。

 

 クールそうな外見だがそれに反して可愛いらしく、純真なところがある。

 

 強くて格好良くて頼りになって漫画やアニメの世界から飛び出してきたような美少女ヒロインかなんかだと思う時がある。

 

 なのに自分は――と情けなく思う時がある。

 

「クールで強くてカッコいいけど可愛らしくて、純真で――そのなんだ。まるで物語の世界から飛び出してきたかのような――そんな美少女だと思ってる」

 

 と、心の中で思った事を簡潔に纏めて伝えてみた。

 リオは顔を真っ赤にして「そ、そうなんだ――」と返した。

 

「私もキンジのこと――本当は危なっかしいと思うけど、強いだけじゃない、頼りがいのある人で、皆からなんだかんだで慕われていて――こうして皆と旅が出来るのはキンジのお陰だと思ってるから――たぶんキンジはキンジが思っている以上に人徳って言うのがあるんだと思う」

 

「そそそ、そうか――」

 

 年下とは言え、リオみたいな美少女に顔を真っ赤にされて言われるのは来るものがあるな。

 

 俺は場の空気を変えるために場所を移動することにした。

 

 

 Side 宗像 キョウスケ

 

 トレーラーの留守番を他の隊員に任せてパメラと一緒に見て回る。

 キョウスケはリオとデートみたいな感じだ。

 

 まあ俺も似たようなもんだが――

 

「ふと思ったんだけど、私で本当にいいの?」

 

「唐突になんだ?」

 

 なんで急に恋バナになるんだ。

 

「ほら、私――リオやパンサーみたいにそんな容姿――」

 

「とは言うがよ、ちゃんと背格好工夫すれば化けると思うぜ?」

 

「ほ、本当?」

 

「でも俺としては今の姿の方が親しみが持ちやすいからな」

 

「ああ、家があんな感じだったもんね」

 

「そう言うこった。だからお互いこうして距離も縮まったんだろう」

 

「そう――ね――」

 

「どうした?」

 

「正直自分に自信なかったから――いい男と巡り合えないんじゃないかって思ってたから」

 

 その言葉を聞いて俺は(キンジとリオのこと笑えないな)と思いながらこう言った。

 

「そうだな。俺もパメラとこう言う仲になれるなんて思わなかった。正直嬉しい――かな」

 

 恥ずかしいがここは度胸見せる場面だ。

 俺は正直に言う。

 

「本当に?」

 

「ああ。なんなら将来一緒に整備工でもやるか?」

 

「自衛隊の仕事はどうするの?」

 

「あ~まあ今の生活できるのって自衛隊の仕事があってなんぼだけど、別に一生自衛隊を続けなきゃいけないワケでもないし――それに、平和に生きていくためにも今の世の中をよくしていかないとな」

 

「そうね」

 

「安心しろ。たぶんキンジもだが、もしもあのゲートが閉じるとかそう言う話になったら俺はパメラの傍にいるから」

 

「それって――」

 

「こ、これで満足か?」

 

「う、うん――ありがとう」

 

 は、恥ずかしかった。

 キンジの奴に知られるワケにはいかないなこりゃ。

 

 同時に思う。

 女に縁が無い人生だとは思ったが、恋するってのも悪くはないんだな。

 

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