鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】   作:MrR

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第七十九話「アーティスの演説」

 Side 緋田 キンジ

 

 戦いが終わり、アーティスがこの場にいる全員へ街中に設置されたスピーカーや軍事兵器などに設置された通信機器などを通して少女は語り始める。 

 

『今もお主らが経験した通り、リビルドアーミーの実体がこれじゃ。目的を達成するためなら手段を選ばず邪魔者を焼き払い、今の光景を作り出す。これこそがリビルドアーミーの、リビルドアーミーを牛耳る連中の正体なのじゃ』

 

『リビルドシティやリビルドアーミーのそもそもの目的はこの荒れ果てた世界の復興にあった。しかし、何時しかその手段や方法は皆が知る通り、暴虐の限りを尽くし、手段を選ばず、ヴァイパーズなどの野盗連中を支援をして効率よく支配するための物となった』

 

『このままではいずれリビルドシティは崩壊を迎え、そうなればこの世は混乱を迎える。我々は変わらなければならない』

 

『リビルドシティを変えるために妾は反逆者と言われても仕方のないぐらいの事をした。レジスタンスにも手を回し、そしてジエイタイやこの町の人間にも協力を申し出た』

 

『そして私は更に動こうと思う。この場に残ったリビルドアーミーの兵士達よ。今自分達が受けた仕打ちを受けてどう思った?』

 

『今のリビルドアーミーのありようを見てどう思う?』

 

『だから問う。妾に協力して欲しい。リビルドシティを、リビルドアーミーを本来の姿に戻すために』

 

『重大な選択じゃ。よく考えて決断してほしい』

 

 そう演説は締めくくられた。

 リビルドアーミーも狭山の町の人達も明らかに混乱している。

 

 

 結局考える時間が欲しいとの事でリビルドアーミーは動かなくなった陸上戦艦(味方の空中戦艦の砲撃でやられた)を中心に町の近くで留まった。

 

 取り合えずこの場を狭山君達やアーティス、ヴァネッサ、そして事態の確認に来た自衛隊の増援部隊に任せる事にした。

 

 気が付けば夜中になり、休憩時間で自分たちのトレーラー周辺でその事を話し合う俺達。

 

 あのリビルドアーミーが味方になるかもしれない。

 

 正直複雑な気持ちだ。

 

 アーティスの言わんとしている事も分かるのだが早々割り切れないと言うのが本音である。

 

「なんかとんでもないことになったね」

 

 と、リオが言う。

 彼女も戸惑っている様子だ。 

 

「ああ、確かにな――俺も正直戸惑っている」

 

「うん……私達はどうするの?」

 

「そうだな。このまま惰性でリビルドアーミーと戦い続けるよりかはいいかなと思う」

 

「そう――」

 

「まあ、自衛隊も割り切れん奴も多いだろう。俺も正直殺されかけたりしたしな――だけど、リビルドアーミーが憎いからと言って全員皆殺しにするようなのもちょっとどうかなと思う」

 

「だけどヴァイパーズの時はそんな感じだったような――」

 

「確かにそれを言われると痛いな……正直話し合いが通じる相手じゃなかったし、リビルドアーミーも話し合いすっ飛ばして論外な状態だったからな――だがここに来て対話の可能性が出てきた」

 

「話し合いで解決できる?」

 

「最後は武力解決だとしても、平和に終わる可能性があるのは大きいと思う」

 

「私バカだからちょっと分からない部分があるけどいいことなんだ――」 

 

「リビルドアーミーと戦うのはともかくリビルドシティで平和に暮らしている罪のない人間を殺すのは勘弁だな――って言う話さ」

 

「そう、だよね。リビルドアーミーも、リビルドシティに住んでいる人達も人間なんだよね……今迄考えたことなかった」

 

「そうか――」

 

 なんか悲しい気持ちになった。

 戦時中の日本の人間も戦争中の相手の国の事をリオみたい感じで「倒すべき敵」みたいな感じにしか考えていなかったんだろうか。

 

「正直今更感があるし、説得力はないが……自衛隊も誰も彼もが好きこのんで戦いたいワケじゃないんだ。特に相手を皆殺しにするまで戦いたいワケじゃないんだ――こんな世界だから仕方のない事かもしれないけど、なんて言うか、その、リオは今のリオのままでいて欲しい」

 

「――うん」

 

 困ったような戸惑っているような、そんな表情をリオはしていた。

 

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