鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】 作:MrR
第八十五話「とんでもない作戦」
Side リビルドアーミー 空中戦艦 艦長 グレムス
リビルドシティから少し離れた場所。
そこで他の艦隊と共に部隊を展開する。
まさか、こんな真昼間に仕掛けてくるとは――
敵も空中戦艦を投入してきているがたったの一隻。
後は有象無象の連中の影が確認できる。
普通にやれば勝てる。
そう思った矢先の事だった――
「リビルドシティでレジスタンスが一斉蜂起しました!!」
「ジエイタイと思われる部隊の姿も見えます!!」
「な、なんだと!?」
突然の報せにワシは耳を疑った。
同時に敵の猛攻がはじまる。
「陽動だとしても数はたかが知れているだろう!? シティの防衛部隊に任せて敵を叩くぞ!!」
クソ!? 何がどうなっている!?
リビルドシティが陥落すれば出世どうこうどころじゃないぞ!?
☆
Side 緋田 キンジ
『まさかこんなとんでもない作戦でリビルドシティに潜り込むとはな』
俺はパワーローダー、アインブラッド・ガンブラストを身に纏いながら言った。
『まあ真正面から空中戦艦とかとやり合うよりかはマシか?』
パワーローダーを身に纏ったキョウスケも同じことを言う。
ここはリビルドシティ。
高層ビルや舗装された道路。
控えめに言って綺麗な街並みだ。
都会と言っていい。
とてもリオ達の世界とは思えない。
同じ世界のリオ達ですら驚いている。
俺達は自衛隊基地があり、この世界への玄関口の一つであるグレイヴフィールドから西の方角にあるリビルドシティへと入り込んだ。
街中はアーティスの計画通りレジスタンスの一斉蜂起が真昼間から始まっている。
そのせいか人影らしき物が見えない。
町の外周部では自衛隊の面々達や物好きな志願者達が空中戦艦などを相手に陽動戦を仕掛けている頃だろう。
自衛隊側も動かせる戦力は全て動かし、鹵獲した空中戦艦も投入している。
俺達はここまで簡単に潜り込めた理由はヴァネッサやプレラーティ博士のおかげだ。
ゲートを新たにリビルドシティのこの場所に作って直接繋ぎ、乗り込んだのだ。
それに至る経緯は簡単ではなかったらしい。
更に言うなら敵の中枢に乗り込むのだ。
だがここまで多くの修羅場を潜り抜けたメンバーだけあって腹は決めていたらしい。
後続から特注の白い大型トレーラーがやってくる。
そこにはパメラやプレラーティ、アーティス、佐伯 麗子に第7偵察隊の担当の水島 静香 一尉も乗り込んでいる。
『目標は中枢府のデカいタワーだ!! いくぞ!!』
皆が一斉に『了解』と言う掛け声と共に駆け出す。
既に中央にはレジスタンスが辿り着いているが――
『敵のエース級!? まさか私達の作戦を読んでいたの!?』
リオが驚く。
そこには今迄戦った敵のエース級が待ち構えていたからだ。
『どうやってここまで来たかは知らんがここから先は通さんぞ!!』
と、青いパワーローダー、専用のジェストに身に纏ったランシスが言う。
傍にはエース級と思われる専用機を身に着けた部下が二人いる。
他にもカーマンや金ピカの奴がいた。
だが他にも手勢はいなかった。
『どうやら敵さんもワケありみたいだなこりゃ』
キョウスケが言う様になにか訳がありそうだ。
そうこうしている間に中枢府からドローンなどが湧いて出てくる。
☆
第7偵察隊は雑魚の相手を。
俺達第13偵察隊の主だったメンバーで敵のエース級と戦う。
『カーマンか!!』
『あら、覚えていてくれていたのね。嬉しいわ』
こんな場所でピンク色の継ぎ接ぎのパワーローダーを使う奴が二人も三人もいないだろうからスグに分かった。
『他の部下はどうした?』
『部下は置いてきたわ――私達左遷させられちゃって泥船に付き合わせたくないし。それにリビルドアーミー云々について何も思わないワケではないわ――だけど私は義理堅い乙女なの。それを果たすためにここに立ってるの!!』
これが答えなんだろう。
部下はたぶん巻き込まないために一人できたとかそんな感じに思える。
『たく――産まれる性別間違えたんじゃないのか?』
『うふふ、褒め言葉として受け止めておくわ』
『だけどここで立ち止まる訳にはいかない!! 全力で押し通る!!』
『それでいいわ!! それでこそ私が見込んだ男よ!!』
『褒め言葉として受け取っておくよ!!』
そして俺とカーマンは激突した。
☆
Side リオ
私は青いジェストーーランシスと名乗る男のパワーローダーと激突する。
空中で互いに激しく位置取りし、銃火を交える。
付き人の赤いパワーローダーや大型の重火力の塊の大型機動兵器の姿もいるが――他の仲間達が上手くやって連携を分断してくれている。
『せめてアインブラッドタイプならば対抗出来たかもしれんのに!! 性能差が!!』
『なら道を譲って!!』
彼の言う通り性能差は歴然としている。
それを必死に腕と気迫でカバーしていた。
それは凄いと思う。
だがこれは命のやり取りなのだ。
手加減したら此方が死ぬ世界なのだ。
だから退くように言う。
『私にも意地があるのだよ!! 時代の流れを読み切れなかった責任もある!! これは私に夢を託した部下へのケジメでもあるのだ!!』
『そこまで分かっていながら――』
『何度も悩んださ!! その上で決断した道だ!! 』
『そんな不器用な生き方――私には分からない!!』
『分からんでいい。所詮は自己満足よ!!』
『そこまで分かっていながら――』
『だから躊躇うな!! 君が成すべき事を成すために戦え!!』
『――なら私は――』
私は意を決したようにゲイル・リヴァイヴをフルスロットルにする。
☆
Side 宗像 キョウスケ
『俺の相手はあの時の金ピカか!!』
相手は狭山 ヒロトの町を襲った金ピカの奴だ。
性能はよく、動きは素早いが粗さが目立つ。
腕は大したことは無さそうだ。
『まさか左遷させられた先で出世のチャンスが回ってくるとはな!!』
『まだ出世とかに拘っているのかおたく?』
『当然だ!! このオードン、ゴルディアスの力で成り上がって見せる!! そしてリビルドシティをゆくゆくは自分の物にする!! そのために生きてきたのだ!!』
『じゃあ俺は愛する者のために戦うだけだ!!』
『こんな戦いの場所で愛する者だと!?』
『それの何が悪い!?』
そう言って俺は気合入れて戦いに挑む。
☆
Side ゼネシス
戦況は思わしくないようだ。
ここの陥落も時間の問題か。
「代表!! 敵がここまで攻め込んできてます!! 避難を!!」
と、付き人が言うが――
「ふん――代わりの奴にでも任せればよかろう」
私は一蹴した。
「ですが――」
「くどい――それに見物だ。まさかあの小娘(アーティス)がここまでやるとはな――それに興味がある。真の支配者の姿をな――」
この町を支配していた黒幕。
その正体についてだ。
それを見届けられたのなら悔いはない。
与えられた道を歩み、
与えらえた使命を代行し、
今日まで生きて来た。
その審判が私の代で下る事になろうとは――
まあ、運が悪かったとしかいいようがないな。
「秘蔵の酒でも飲むか――」
「は、はあ?」
覚悟を決めて好き勝手にやってみると言うのも思いのほか悪くはない。
人生、覚悟を決めて行動すれば面白いのやもしれんな。
「くだらん、実にくだらん人生だった――」
なんだか様々な物から解放されて心地よい気分だ。
終わりを迎えられるのも悪くはない。