「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 番外集   作:カフェイン中毒

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大胆奇襲のフロンティア

 「何でも、1週間後に俺の最終テストするんだと」

 

 「そうなん!?ハヤテ、もうミラージュさんに認められたんやね~」

 

 「いーや、「合格させると思わないでください」だと。あいつ俺の事嫌いすぎだろ」

 

 あのわいわいがやがや写真撮影からはやもう1週間、相変わらず元の世界に戻れる気配はない。多分、向こうでは捜索願とか出されててんやわんやだろう…駆け落ちとか思われてないよな?流石にそんなことを起こす人間とは思われてないと…信じたい。アリスタどうです?って聞いたら少ししたら返すわ、と言われたのでおとなしく待つとしよう。

 

 現在、お休みです。休養日というやつ、訓練し続けても体の発達に悪いとかそんな話で休め、絶対だぞという念を押されたのでヒマリ、ツムギ、俺、ついでに休みになったハヤテさんとフレイアさんというケイオス新人パーティーを組んで裸喰娘娘の外の浜辺で満喫しております。

 

 もうハヤテさんの最終テストが決まったのか、相手は当然ミラージュさんで、VF-1EXでやるらしい。アニメ通りかな、フレイアさんはかなりポジティブシンキングみたいでミラージュさんがハヤテを認めてくれた~って感じに思ってるんだろうけど多分ハヤテさんはさっさと追い返したいんだろうなあいつって思ってるんじゃないかな。ちなみに俺の考えではある程度形になったからこれ以上は正式採用になってからってラインにハヤテさんが届いたんだと思う。ミラージュさん、多分そこら辺に私情は挟むタイプじゃないと思うから。メッサーさんと一緒、じゃないかな。

 

 「ねーえ、アルトくん」

 

 「どうした?」

 

 「携帯…もらっちゃったね~充電器も作ってもらったし、専用の衣装も作ってくれる~って」

 

 「…シグナス操縦用の専用グローブ用意するって。楽器も、シグナスの操縦用と両立できるように新しく作るって言ってた」

 

 「…ああ、ゴーストの操縦もガンプラバトルのコンソール再現するって。俺も楽器頑張んねーとな~」

 

 そう、なんだか俺の知らないところでいろいろとプロジェクトが進んでるらしく、ゴーストとシグナスを操縦する時用の専用のグローブ、操縦機能を取り込んだ楽器に俺たち用の衣装が現在開発中らしい。プロだし戦場に行くしちゃんとした装備がないと困るとのことでマキナさんが腕まくりをしながら頑張っていた。めっちゃ楽しそうだった。レイナさんもプログラム関係は任せろとのことでワルキューレメカニック組の合作になるらしい。特に衣装はフォールドプロジェクターを利用したワルキューレと似たものになるのかと思いきや安全性を考えてガッチガチに防御力を高めたものになるとか。対人レーザーでも無傷を目指すらしい。

 

 訓練も順調、と言っていいのか分からないが、ランニングも腕立て伏せもなんとか食らいついている。訓練後にぶっ倒れてるのは変わらないし何ならメッサーさんに空輸されるのも変わらない。あとは必死こいてギターをかき鳴らしてワルキューレの曲を練習している。

 

 あと、3人で決めたことなんだけど向こうで俺とヒマリが再現したマクロスの曲については全て封印することにした。もう個人の端末にある楽譜や歌詞なども全部削除した。現物があるプラモについては誤魔化しようがないのでそのままだが、曲についてはこっちで聞くまでは言及しないことを3人で決めている。聞いた場合は耳コピしましたが言い訳になるので解除、そんな感じ。ちなみにこっちの音楽については随時聞いて情報アップデートしてるのでそう気にしなくても大丈夫そうだ。

 

 あと俺たちが異世界から来たという話はデルタ小隊とワルキューレ、それにアーネストさん以外は知らないということになってるので俺たちは未知のフォールド事象による事故に巻き込まれて今ここにいるということになっている。だから変わらず俺たちはフォールド事故に巻き込まれ、母星の特定ができない子供という扱いになっている。ワルキューレのバックバンドの件も外でやってる練習のおかげか、かなり好意的にみられてるみたいだ。

 

 「あれ?なんやろね、あの光」

 

 「あ、どれだよ?」

 

 「あれよ、あれ。なんね?不思議な光~」

 

 フレイアさんが空に何かを見つけたらしい。疑問符を浮かべる俺らに彼女が指をさし示す。ラグナの青い空に紫の光が映っていた。確かになんだか分からない、俺もヒマリもいつぞやのドラウミネコを膝の上に抱いたツムギもそろって首をかしげる。いち早く何かに気づいたのはハヤテさんだった。

 

 「あー、あれ。デフォールドの光だよ。めっずらしいな~、大気圏内じゃ基本デフォールドなんてしないのに。よっぽどの緊急事態か急いでたんじゃねーの?ま、俺たちには関係ない話だよ」

 

 「ほんに?なんかでてきとるよ?ん~~?エリシオンに向かっとるんかね?」

 

 「おー、そうみたいだな。ってことはフォールドブースターか、α小隊かβ小隊の誰かじゃねーの?よく気づいたなお前」

 

 「デフォールド…ってあの空間を飛び越えるってやつですか?」

 

 「そーそー、そんなのも知らねえのって当然か。ないんだもんな、大気圏外じゃ割と見るけど空間を折りたたんでるわけだから星に近すぎるとなんか異常が起こるかもしれねーんだっけ。だから、こうして生でデフォールドを見るのは中々ないんだよな」

 

 「ほへ~、ハヤテ物知りやんね。いひひひっ」

 

 「…んぅ、出てきた。青色のバルキリーと灰色のバルキリー。ちょっと眩しくてよく見えない。でも、エリシオンに向かってる」

 

 「ツムギ、お前よく見えるな…でも青だあ?デルタ小隊じゃあるまいしそんな派手なカラーリングのバルキリーって相当物好きな奴だな。おしっ!そろそろ海行くか、アルト!行くぞ!」

 

 「え?ちょっハヤテさんなにっ、うわあああ!?」

 

 ツムギが眩しそうにデフォールドの光を見て出てきたものを言う。流石に遠すぎてバルキリーっていうのは分かるけど機種までは分からない模様。俺もそっちを向いて何かな~と見てたらそれを隙に見たらしいハヤテさんに小脇に抱えられてそのまま桟橋から海へダイブした。ウィンダミアという冬の星出身で泳ぐという文化がなかったらしいフレイアさんはまだ泳げないらしく、ヒマリとツムギと一緒に桟橋に座って足を海につけてちゃぽちゃぽしていた。俺はハヤテさんに連れられて水中で目を開けても大丈夫なくらい奇麗なラグナの海を堪能するのだった。

 

 

 「はー、遊んだ遊んだ!いー感じだぜ」

 

 「ハヤテ、いっつもそうなんね。いー感じって、いひひっ」

 

 「たまには息抜きが重要なんだよ、ミラージュに負けるわけには行かねえからな、シミュレーションしてくるわ」

 

 「う~~、私もシグナスの操縦頑張らんと!」

 

 「私も、ツムギちゃんと同じくらいには操縦できるようになりたいな~」

 

 「…負けない、でもわかんないところあったら教える」

 

 「う~~~~ツムギちゃん大好きっ!」

 

 「なんか騒がしくね?なんかあったんかな?今日イベントなんかありましたっけハヤテさん」

 

 「さーな、どうでもいいだろ。とりあえずスルメ親父探すぞ、勝手に使ったらミラージュがうっせえからな」

 

 エリシオンに帰ってきた俺たち、ケーブルカーを降りてエントランスに入りエレベーターに乗ってアイテールの中に戻ってきたんだけどなんか騒がしい、何かあったっけ~?と全員で首をかしげながらアイテールのカタパルトデッキの手前の部屋に入ると、ずら~~~~っと事務方から整備員果ては別の小隊のパイロットまでが部屋の中にみっちり入って窓の外を熱心に見つめていた。なんじゃこりゃ!?

 

 「ほああああ!?ほんになんねこれぇ!?ハヤテ、なんかしたんなら謝らんといけん!」

 

 「はああ!?なんで俺なんだよ!どっちかっていうとお前じゃねーのかこのリンゴ娘!」

 

 「ま、まあまあ二人とも落ち着いてください。なんで二人で押し付け合ってるんですか」

 

 この混雑を見たフレイアさんはルンをビンッ!と青色にしつつ跳ねさせてあわあわとなぜかハヤテさんに向かって指をさしつつ犯人扱いした。流石にそれはひどいと俺も思ったんだけど冤罪を着せられたハヤテさんは売り言葉に買い言葉でフレイアさんと取っ組み合いを始めてしまった。お互いがお互いの頬を引っ張り合うという謎の状況が俺の前で繰り広げられているわけなんだけど…これどうしたらいいの?と思って近くの整備士さんに助けを求めようとしたら、周りの人みんなが俺たち、というか俺を見ているのに気づいた。

 

 「…え、と…俺何かしました…?もの壊したりとかはしてない、はずですけど」

 

 「目標物がきたぞおおお!」

 

 「隠せ隠せ!」

 

 「SMSが子供を目的に殴り込みに来やがった!」

 

 「正式な連絡もなしにフォールドブースターでエリシオンに来るなんて宣戦布告に違いねえ!」

 

 「しかもVF-25で来やがった!武装解除もしてねえ!関係が確認できるまではアルト君もヒマリちゃんもツムギちゃんも奴らに会わすな!!聞かれたら知らんで通せ!」

 

 「α小隊、戦闘に備えてヘーメラーの各自機体の中で待機!β小隊は白兵戦用意!要人を保護しろぉ!!!」

 

 「「「「「ウーラ・サー!!!!」」」」

 

 「わっ、ちょ、はええええアルトくんなにこれっ!?」

 

 「…わ、わわ、わわわ…アルト、何したの?」

 

 「いやいや俺のせいじゃねええええ!?」

 

 一瞬シンと静まった室内がひっくり返したように騒がしくなる。体力自慢のパイロット組に担がれた俺とヒマリとツムギ、滅茶苦茶に騒がしいケイオスのパイロットや整備員の人たちに次々たらいまわしの様にパスされていく。混乱した俺がなんか祭りのごとくわっしょわっしょいと担がれてる状態で窓の外を見ると、はぁっ!?スカルマーク背負ったグレーに黒と黄色のラインのVF-25Sと青と白いラインのVF-25G…!?予想が間違ってなかったら…!

 

 「ほわああああ!?み、皆さんなんね!?アルト君かついでどうしたん!?」

 

 「おいおい何慌ててるのか知らねーけど降ろしてやれよ、つーかなんだよ宣戦布告だのSMSだの、大袈裟だろ」

 

 「そんなわけねえだろ新入りぃ!SMSはフロンティアの政府と契約してる民間軍事会社だ!実質的にフロンティアの正規軍みたいなもんなんだよ!」

 

 「それがなんね?アルト君たちと何の関係があるん?」

 

 「あー、フレイアちゃんに分かりやすく言うとだね?あのVF-25ってヴァジュラ戦役の英雄が所属していたスカル小隊の機体なんだよ、さっきのデフォールド後の通信でもスカル小隊っつってたし」

 

 「ほんに!?じゃああの超時空シンデレラのランカ・リーさんと銀河の妖精シェリル・ノームさんと一緒に戦ったっていう!?」

 

 「そうそう、それで…どっから嗅ぎつけられたのかわかんないんだけどそのスカル小隊の英雄と同じ名前をしたやつがここにいるんだよね?そう、そこのポニテのカワイ子ちゃん」

 

 「それが何だってんだよ。別人だろこいつ」

 

 「ウチはそう考えてるけどさ~、向こうさん8年間ずっとその英雄を探してるんだよ、行方不明だから。んでこっちに突然来たわけ、事前に何の連絡もないし危険な大気圏内でのフォールドもしたもんだからスパイか宣戦布告かもって言う緊張状態なんだよ今。んで、そこのポニテお姫様が向こうさんに見られると面倒だから事実確認が終わるまで隠しておかないと…最悪戦争になる」

 

 そこまで聞いてハヤテさんとフレイアさんがサーッと青くなる。ルンも真っ青でしおしおだ。俺もようやっと状況を理解した。なるほど…つまり盛大な勘違いでケイオスとSMS双方に面倒をかけてるんだな俺の存在が!こうしちゃいられねえ!今すぐカタパルトデッキに飛び出してメッサーさんとアラドさん、カナメさんと話し合ってるパイロットスーツ二人組に向かって勘違いですごめんなさいの土下座をせねば!今だけでいい俺の身体!限界を超えろおおお!といこうとしたらむんずと体を掴まれた。ハヤテさんとフレイアさんだった。

 

 「まままままずいねハヤテ!戦争なんかしたらいけん!とにかくアルト君隠さんと~~~!!!」

 

 「そそそそうだなフレイア!どうする!?とりあえずあれだ!シミュレーターの中に突っ込んで外から鍵かけるぞ!そんでレイナ呼んでガッチガチにプロテクトかけてもらえ!あと炭素ケーブルでぐるぐる巻きにして物理的にも絶対に開けられないようにしろ!」

 

 「わかった!レイナさんよんでくる!」

 

 「ちょっとまって!?それおれやばいやつじゃないですか!?」

 

 なんか密室で餓死でもさせられそうな勢いなんだけど!?ハヤテさんを中心に担がれた俺はそのまま部屋を出されてシミュレーター室に運ばれる。あれよあれよという間に俺、ヒマリ、ツムギの順でシミュレーターに突っ込まれてシミュレーターが閉じられロックがかかる。

 

 「いった~い!もうもう何なのさっきから~~!SMSだかSNSだか知らないけどなんで私たちが閉じ込められなきゃならないの~~!?」

 

 「…アルト、知ってる?アルトが目的だって」

 

 「あ~~~…これ見て。銀河ネットの捜索願」

 

 「えっ、これ…」

 

 「…大きいアルトだ」

 

 「なんか知らないんだけど、俺の名前と容姿が8年前に行方不明になったパイロットに似てるんだと。で、俺がここにいることを知ったそのパイロットの仲間が俺を本人だと勘違いして急いでやってきた、んじゃないかな?」

 

 「…人違いで?」

 

 「人違いで」

 

 「なにそれ~~~~~!?」

 

 支給された携帯端末、レイナさん特製の日本語翻訳機能内蔵のそれの仮想画面にこの世界の早乙女アルトの顔写真と名前を出してつらつらと説明すると、ヒマリが困惑の限界を迎えたように脱力してそう言った。ほんと、どっから漏れたんだろうか…あれ?もしかしてこの間撮ったレイナさんとマキナさんのSNS用の写真のせい?う、うぐおおおおおお…原因がそこにあったああああ…

 

 ファーストコンタクトどうしよう、人違いです☆ってすごい言いにくいよ…とシミュレーターの中で3人団子になりながらそう思うのだった。




 はい、そんなわけで出ませんでしたね!誰がと言いませんけど!

 ちなみに一応いいわけですが今回奇襲してきた人たちは某シンデレラがSMSをその場で雇ってすぐさまフォールドパックでフォールド航行を敢行、7時間ほどのフォールド航行で7日後のラグナにやってきた、というわけです。そりゃ連絡できんわな。

 次回邂逅、という感じで行きまーす。ちょっとわちゃるケイオスは書いてて楽しかったです

 次回もよろしくお願いします
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