「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 番外集 作:カフェイン中毒
「そんなわけで!デビューステージの日取りが決まりました!なので一曲用意しといてね!」
「ちょっと待ってください」
「え?私何か変なこと言ったかしら?」
「はい、主に後半に」
ハヤテさんが正式にデルタ小隊に所属することが決定し、ついでと言わんばかりに俺も所属することが決まって3日ほど経った。いつも通りお眠のヒマリを起こして背負ってツムギと一緒に食堂に行ってご飯を食べていると軽い足取りで俺たちの前にやってきて一緒に朝食を食べていたカナメさんが思い出したようにそう言った。
「…デビューステージ、決まった?」
「そうよ。フレイアと貴方たち3人のデビューにシェリルさんとランカさんコラボの超豪華ワクチンライブ!だから、貴方たちも歌ってね?」
「そこです、そこ。俺たちステージバンドでしょ?裏方ですよ裏方。ワルキューレファンが望んでることじゃないですよ」
なぜだから、なのか分からないけど歌えと言いなすったかこの美人のお姉さんは。半分寝ながら朝食を食べている話を聞いてないヒマリはともかくとしてがっつり話を聞いたツムギと俺は首をかしげる。俺たちに歌えって?ははは面白い冗談ですね?え?冗談じゃないって?あらやだ本当に真剣な顔ですやん。
「…なんで?私たちが歌わないとダメなの?」
「そーですよ。なんか理由あります?」
「あるんです。まず一つ、私たちワルキューレ、シェリルさんとランカさん、そして貴方たち。3つの歌でのデータ取りね。比較データなんてなかなか取れないから貴重なの」
なるほど、フォールドレセプターの検証のためなのか。まあそれなら納得と言えば納得か。だって現地のデータなんだから危険な鎮圧ライブもしくはワクチンライブのどっちかでしか取れないもんね。それなら安全なワクチンライブでとっとこうぜ!っていうのは当たり前か。しかも貴重な別タイプの生体フォールド波を発することが出来るランカさんにシェリルさんと一緒。これほど好条件なことがあるだろうか?いやない。
「それともう一つは…こちらをご覧くださ~~い」
「えーっと…なんじゃこりゃああああ!?」
「へうっ!?あ、アルトくんツムギちゃんおはよ~。カナメさんもおはようございます~」
「…おはよ、ヒマリ………これほんとに?」
「おはよう、ヒマリちゃん。本当よ~。だから、歌ってね?」
ご覧くださ~いなんて冗談めかしたカナメさんがホログラムの画面を空間に投影して俺たちの方に見せてくる。それを一通り眺めた俺から飛び出した絶叫にヒマリが素っ頓狂な声を上げて飛び起きた。暢気に挨拶するヒマリに挨拶を返して衝撃の事実に向き直る。
そこにあったのはワルキューレのブログ、その中で練習風景の動画がアップロードされていてその中の一つに俺たち3人が楽器を演奏しながら歌っている動画があったのだ。うっそーいつのまに~、で思いっきり日本語でガンダムの歌を歌っていた俺たちの動画のコメント欄は曲の詳細を知りたがるものとか、デビューしたら歌ってくれとかそういうので埋め尽くされていた。
一応フレイアさんと同じでバックバンドとして俺たちのことはすでに周知されているが恐ろしきはワルキューレの人気、金魚の糞のようなものである俺らにも注目が集まっているのである。だからってバックバンドに歌を求め…思いっきり歌ってる動画をアップロードされたから歌えるって思われたんですねクソァ!
「え?なになに?どうしたのアルトくん」
「デビューステージ決まったからそこで一曲歌えってハナシ」
「歌えるのっ!?ほんとに!?いいんですかカナメさん!?」
「…やっぱり食いついた」
「もっちろん!是非ともお願いしたいわ!まあ本当に無理だったら断ってくれてもいいわよ?」
「いや、やりますけど。ヒマリがこうなったら俺に選択肢ないです」
「…右に同じ」
「よーし!アルトくんツムギちゃん!頑張ろうね!」
「ありがとう!それじゃ、選曲はお任せね!貴方たちの世界の曲でも私たちや他のグループのカバーでも何でも構わないわ!よろしくね?」
「「「はいっ!」」」
というわけで俺たちのデビューライブはますます失敗するわけには行かなくなったのであった。でも正直ちょっとワクワクしてるよ、ここだけの話。
「第一回チキチキ!デビューライブの曲を決めよう会議~~~!!!」
「…いえーい」「「いえーい!!」」
「ヒマリ…で、お二人はなんでこちらに?」
「面白そうだもの」
「困ったらアドバイスできるかな~って。一応、先輩だしお姉さんだから!」
ヒマリがマイクのように握ったペンケースを口元に当てて拳を振り上げながら思いっきりテンションを上げてのコールに便乗したツムギが両手を上げる。俺は暢気な二人にクスッと来たりしたがとりあえず同じく便乗コールをしたなぜかいる二人、ランカさんにシェリルさんに突っ込むと野次馬デースというステキな答えが返ってきた。
シェリルさんは完全に居座るつもりのようでツムギを膝の上に乗っけてふふんと笑ってるし、何でも聞いてね~とほんわか笑いながらホワイトボードマーカーを手にしているランカさんも同様。というか呼んでないのになんでいるの?え?たまたま食堂で話を聞いた?そうなんだ…
「で、まじめな話何がいいと思う?俺的にはキララさんのガンプラ☆ワールドとかよさそうだけど」
「うーん…私たちの世界ならともかくこっちだとガンプラないから意味不明になっちゃうんじゃない?」
「…ガンダムさん音頭」
「ネタに走ると一生ついてくるからやめておこうかツムギさんよ」
「私フリージア歌いたい!」
「うーん、ステージに合うか?かなり曲調ゆっくりだしいい曲だけど楽しい気分になると思う?」
「…私たちしかわかんないミームもあるし、折角なら盛り上がる曲がいいの、かも?」
「じゃあ歌ってみればいいじゃない!案ずるより産むがやすし、だったかしら?やってみてからどれがいいか決めてみればいいのよ!」
煮詰まった俺たちを見かねたのかぱちんと手を叩きながらシェリルさんが提案してくる。むむ、正論と言えば正論なんだけどとりあえずこれだけ聞いておこう。
「シェリルさんだったらどうやって決めます?」
「そんなの私が歌いたい曲を歌うに決まってるじゃない。私が相手に合わせるのはナンセンスだわ」
「あはは…シェリルさんはそうだけど私もおんなじ、かな?自分が楽しくないと聞いてくれるお客さんも楽しくないからね」
「なんか、予想通りですね…そんなこと言うと思いました、なんとなく」
「…それじゃ、どの曲がいいか一通り聞いてもらって意見欲しい」
「お願いしてもいいですか?シェリルさん、ランカさん!」
「「もっちろん!」」
そんなわけでさっそく携帯の音楽フォルダからヒマリ所望のフリージアを流す。歌うのはともかくとしてどういう曲なのか分かれば十分なはずだ。あーやっぱいい曲だよね~
「うーん、やっぱりぴんと来ないかな」
「…ランカさん的にはどうなのかな」
「そうだね~。どれもステキな曲だけど3人がピタッとこれだ!って思うものを見つけたほうがいいかも?」
「そうね、私だと「嵐の中で輝いて」「SUNRISE」「STAND UP TO THE VICTORY」あたりが好みかしら。今回の場合アップテンポの曲中心で行くみたいだから気にするなら揃えるのもありね」
とりあえず一通り流し終えての感想がそれである。何となくあれじゃないコレジャナイってなってて俺たちの中でうまく足並みがそろわないのだ。それで難しい顔で現在黙り込んでるヒマリがどう思ってるかなんだが…その小骨が喉に引っかかって上手く出てこないみたいな顔は何だろうか。
「あーーーーっ!!!なんで忘れてたんだろっ!」
「どうした急に大声上げて」
「ほらアルトくん!ガンプラバトル世界選手権のテーマソング!今年のやつぴったりじゃない!?」
「…それだっ!ナイスヒマリ!」
「…忘れてた。そっちもありかも」
ぱっと顔を輝かせたヒマリがそう言ってくる。そうだよこれだ。実際俺たちにぴったりじゃないか!?「wimp ft. Lil' Fang 」!これならアップテンポだし俺たち3人で歌っても違和感ない!これだ!これにしよう!ついでに去年の「ニブンノイチ」も候補入りだ!そうと決まれば!
「お二人とも!最終候補が二つできたんで今から歌います!どっちがいいか聞き比べてください!」
「そうね、とても気になる話じゃない」
「美雲さん!?いつからそこに!?」
「第一回チキチキ!のあたりからいたわ」
「ほぼ最初からじゃないですかどこに隠れてたんですか!?」
「ふふっ、秘密よ」
いつの間にか俺の後ろに現れて俺の頭の上に顎を載せた美雲さんがとても楽しそうにそうおっしゃった。マジでいつの間にいらっしゃったん?最初から?あとするっと抱き着こうとしないで。ヒマリの目が痛い。悲しそうな顔しないで欲しい、俺は悪くないから。多分。
そんなわけで美雲さんを一行に加えた俺たちは部屋を出てレッスンルームまで行くことにしたのだった。翌日、決めた曲と仔細をカナメさんに報告すると「なんで呼んでくれなかったの!?ねえ美雲?何で私呼ばれなかったのかしら?」「それは貴方が仕事をしていたからよ。私をオフにしたのも貴方じゃない」っていうやり取りのあとしょんぼりしてしまったので謝りまくったのである。ちょうどいたメッサーさんの視線がクッソ痛かったのを覚えている。あとそのあとの訓練がみょーにきつかったりした。
「あの、なんか怒ってます?メッサーさん?」
「喋る余裕があるなら、脚を動かせ。3周追加だ」
「はいっ!」
やっぱり怒ってるでしょメッサーさん。
『えー本日はお日柄もよく…』
「フレイアちゃんとハヤテ!それにチビスケ3人の正式採用を祝って!かんぱぁぁい!!!」
『あっおい!お前ら!』
「「「「「「乾杯!」」」」」」
ところ変わってここは裸喰娘娘、お祭り好きなケイオスの社員の皆さんがハヤテさんとフレイアさん、それとおまけで俺たちの歓迎会をもう一度開いてくれたのだ。アーネストさんがマイクを握って挨拶をしようとするのを誰かが遮って乾杯し、やんややんやと始まってしまったパーティーにアーネストさんが頭を抱えている。
「おおっ!?アルトすごいっ!?」
「アルトお兄ちゃんすっごーいっ!ねえねえ次はウミネコ!」
「ほいさっさ~」
ちなみに俺は早々に満腹になったのでちょい分厚目の紙を使っていろんなものを作っている。これがチャックさんのご兄弟たちに大受けである。プラモフルスクラッチより断然楽だね。ハサミ一本あればできるし。えーっとウミネコウミネコ…あのドラウミネコじゃあかんな。うーん、よしこれで行こう!こことここ塗って、折って切ってはめ込んで~はい完成!三毛猫っぽいウミネコである。はいエリザベスちゃんどーぞ。
「……今アルト何秒で作ったんだ?」
「1分ジャストです。とんでもない早業ですね」
「どうなってんだ。途中の動きが理解できなかったんだが」
「かわいい~~!アルトお兄ちゃんありがと~~!」
「いいってことよ~。他の人も作れる範囲でリクエストお受けしますよ~!」
プラモのフルスクラッチならいざ知らすペーパークラフトなら大幅に時間を短縮することが出来る。俺の場合フルスクラッチする前段階で変形機構の確認のためとかプロポーションの確認のためとかで一回紙で作ることが多いので慣れたもんです。流石に変形機構込みでバルキリー作れって言われたら1時間くらい時間欲しいけど。あとミラージュさんとハヤテさんはこそこそ内緒話してどうしたんだろ?
「よっしゃ、チャックさんのリクエストを聞いてくれ!」
「はい!チャックさんどうぞ!」
「あそこのキレイどころを一つ…」
「他の人いますか~?」
「ちょっと~~~!?」
「せめて被写体の許可を取ってください。時間かかりますし」
意気揚々とやってきたチャックさんのリクエストは却下だ。指をさされたオペレーター娘3人の嫌そうな顔よ。え?作るだけならいいけどチャックさんに渡すな?むしろ作ってみて欲しい?お、おう…まあやりますけど…。20分後、俺が作った紙製フィギュアを前にしたケイオス社員から拍手をもらったのはここだけの話。
「アルアル~」
「はい何ですかマキナさん」
「今度こそガンプラバトルの続きを見せて欲しくって!」
「あ、いいですよ。はいどうぞ」
「ドッキング~!!」
マキナさん製充電器でマックスまで充電してある俺のスマートフォンにマキナさんがコネクタを繋いで途中で水入りになっちゃったチョマーさんとのガンプラバトルが最初から流れ出した。仮想画面を前にめいめい好きな飲み物をもって集まったデルタ小隊はじめα小隊やγ小隊の人たちがガンプラバトルを前にしてここはどうだここの動きはどうだだの戦術的な話をし始めてちょっと緊張した。
この前途中で切れたスキュラの中を突き進むヅダがダイダロスアタックをぶち込んだ瞬間歓声が上がり、いや面白かっただのなんだの言われた。なんであんなことしたんだ?って聞かれたけど細かく説明するのがめんどくさかったので一番楽しそうだったからです!で通した。PS装甲がどうのって言っても通じないだろうし。
終わったタイミングで荷物の中からヅダを持ってきていたらしいツムギがそれを取り出してテーブルに置くとすぐさま反応したマキナさんが様々な角度から観察を始めたり可動域の説明から武装から何から何まで色々聞かれまくったけど楽しかったのでオッケーです。メッサーさんがアラドさんとガンプラバトルをクソ真面目に考察していたのに噴きだしそうになったのは秘密だ!
暫くちょっと巻きで進めていきたいと思います。
次回でようやく原作の3話くらいに行けますかね。ではでは、次回でお会いしましょう!
感想評価よろしくお願いします
一応確認 どっちがいい?
-
SMS共闘ルート
-
フロンティア組帰還ルート