セラマニア難民少女兵団   作:朝比奈たいら

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第六話『リベリオン共同戦線(前編)』

――第六話――

 

前回のあらすじ:

難民から始まり、盗賊退治を続けるセラマニア率いる部隊はセラマニア・リバティースを名乗る総勢100名の組織に膨れ上がっていた。

リザード団との戦い、戦列歩兵モドキとの戦い、ボスとの戦い、保守派と繋がりのあった人肉生産盗賊との戦い。

そして明らかになったセラマニアの過去、師匠である神聖同盟佐官リシャールとの因縁。

彼の雇ったルキニア帝国兵との戦いで3名の重傷者を出してしまったセラマニア・リバティース。

リシャールの力を借りなければここまで来ることは出来なかった現実に歯がゆい思いをしながらも、

セラマニアは傷ついた部下を見捨てぬ事を選ぶのであった。

 

セラマニア:まぁ、さすがに一週間目覚めなかったら今元気な部下達を死なせない為にも帰りますけど。

さて、ヘカテリーナ達が出立してから――

 

時間など経過させるものかダイス

〈2D6〉4+6

1時間×100=100時間。

 

セラマニア:いや、結構経過しましたね。

4日と4時間、今は夕方か夜ぐらいですか。

まず重傷者は峠を越えているはずですが、その後4日でどうなりました?

AI:「はい、意識不明だった1名は昨日の朝に目を覚ましまして、現在リハビリ中ですね」

セラマニア:早い早い早いです! 何考えてるのですか、絶対安静ですよ!

……感染症になった方の重傷者はどうなりました?

AI:感染症を起こした重傷者に関しては、現在も隔離されていますね。

セラマニアAI:もう治らないとかじゃないでしょうね……。

AI:大丈夫ですよ。治療済みなので。

セラマニア:最後の一人は?

AI:最後の重傷者は他二人よりも軽く、あと一日で退院可能だそうです。

セラマニア:それ重傷じゃないのでは? ともあれ良かったです。

ちなみに今回の負傷原因はマシンガン、ロケット、グレネードランチャーのどれを食らったのが原因でした?

AI:グレネードですかね。

セラマニア:やはりグレネードランチャーはポンポン撃てれば強いですねぇ。

市街戦だと民間人の誤爆を気にして撃てなくなるのですが、敵だけだと分かっている時には有効です。

壁の裏を攻撃出来るグレネードとか欲しいですね。

さて、ではヘカテリーナ達と毎日電話で定期連絡していますが、向こうの様子はどうですか?

AI:本拠点の方は順調です。

ただ、町の方が少しきな臭いようです。

セラマニア:何がありました?

AI:最近になって、治安が悪くなったらしいです。

セラマニア:具体的にどんな感じでしょう。

AI:なんでも、傭兵崩れの強盗集団があちこちで暴れまわってるみたいですね。

セラマニア:それはまた……面倒そうな。

AI:えぇ、セラマニア・リバティースの所にも来ましたよ。

セラマニア:えっ……ヘカテリーナに「強盗は無事撃退出来たのですか!?」と心配して聞く。

ヘカテリーナ:「いえ、それが……セラマニア様の部隊の活躍もありましたし、一応返り討ちに出来ましたが……」

セラマニアAI:おや?

ヘカテリーナ:「ただ、その後その傭兵団を雇った組織が判明しまして……」

セラマニアAI:ほう、それはどこの組織でしょう。

ヘカテリーナ:「『ルキニア帝国』です」

セラマニア:「…………何でリシャールのバックについてるルキニア帝国が、リシャールの神聖同盟領を襲わせるのですか」

ヘカテリーナ:「分かりません。しかし、これでセラマニア様にもご注意願います」

セラマニアAI:「気を付けましょう。他に何か変わった事は?」

ヘカテリーナ:「セラマニア様のお陰で、悪化した治安の中でもセラマニア・リバティース周りは良くなっております。

先日の強盗事件以降、セラマニア隊の評判が良くなって、他の市民の人達から感謝されております」

セラマニア:「それは良かったです。例の『子供達と仲良くする』方は上手くやれていますか?」

ヘカテリーナ:「はい。みんな良い子ばかりです。しっかりしていて、将来が楽しみです」

セラマニア:そうですか(微笑)それは良かったです(暗黒微笑)「その調子で頼みます。リリスとか子供達に人気ありそうですよね」

ヘカテリーナ:「はい!皆リリスには懐いております!」

セラマニアAI:ふむ……ちなみに、ヘカテリーナから見てリリスってどういう印象を持っています?

ヘカテリーナ:「あの子は大人びているように見えて、中身は年相応で可愛らしいところがありますわ」

セラマニア:「逆でしょう、と言いたいところですが前回の会話とかそんな感じでしたね。

子供にしてはしっかりしていますが、本来なら銃を持って指揮官などする年齢ではありませんから。

もちろん、私達も」

ヘカテリーナ:「えぇ、子供らしくないところはありますけど……」

セラマニア:私達のような女子供が難民にならず、銃を持たずに生きられる時代にしたいですね……

ヘカテリーナ:「その為に我々は戦っております。平和な世界をセラマニア様と共に作っていく為にも」

セラマニアAI:「ありがとうございます。ヘカテリーナ、貴方が副官で本当に良かったです。

これからもよろしくお願いします」

ヘカテリーナ:「こちらこそ宜しくお願い致します」

セラマニア:「引き続き規律を保って……ああ、そういえば、保護したルキニア帝国兵二人はどうしてます?

監視付きで戦闘要員にしたり拠点要員の訓練させたりすればいいと思っていましたが」

ヘカテリーナ:「あの帝国兵二人なら、本拠点に来てからはずっと射撃訓練やら体力づくりなどの訓練教官役をさせております。

お陰で兵達の基礎的な能力がかなり向上しておりまして」

セラマニア:「たった4日の訓練で、私達難民出身者の練度がそんなに変わるものですか?」

ヘカテリーナ:「セラマニア様、あれは紛れもない帝国式の訓練です。重視されるのは『効率』と『反復回数』。

セラマニア隊でも、セラマニア様には及びませんが何人かは習得している筈ですよ」

セラマニア:「有効な事を出来るまでやる、ですか。歩兵だけで戦っていたら負けていたかもしれませんね。では彼らに関しても引き続き指導せさつつ、部隊が帝国に染まらないよう監視は怠らないで下さい。洗脳は『他人を見て、自分はそれほど馬鹿ではないと思い込む奴』から騙されます」

ヘカテリーナ:「はっ!肝に銘じておきます!」

セラマニア:「頼みましたよ」と言って電話を切り、仲間に電話内容を伝えたら私はネメシスを護衛にしてリシャールの下へ向かいます。

そして「何でルキニア帝国の息がかかった傭兵だか強盗だかが、神聖同盟のセランピアを襲うんですかね」と尋ねる。

リシャール:「それはまぁ、セラマニア・リバティースには関係のない事だよ。セラマニアは正義の為に戦うのだろう?」

セラマニア:「あなたの差し金ですか、それともルキニア帝国の別派閥があなたに攻撃を仕掛けているのですか」

リシャール:「どちらかと言えば、後者の方かな」

セラマニア:「なら治安部隊なりあなたのアーシャ・ラピスラズリ兵でも使ってどうにかすればよいものを」

リシャール:「セラマニア、君はセラマニア隊以外の部隊の統率も出来るのか?」

セラマニア:「……私に何をさせようというのですか」

リシャール:「今回の件については、君には何も期待していない。これは私の問題だからね」

セラマニア:「では私がアーシャ・ラピスラズリ兵を率いて戦うわけではないと」

リシャール:「セラマニア、君に何かあった時、誰が私に力を貸すんだい?」

セラマニア:「知った事じゃないですっ! 何ですかその二つの意味で斜め上の目線は! 子飼いの『リベリオン』に守ってもらえばいいじゃないですか!」

リシャール:「……セラマニア、君は本当に分かっていないな。『セラマニア・リバティース』の隊長である君を失う事がどれほど痛手になるか」

セラマニアAI:「はぁ? 何言ってるんですか? 私はただの難民ですよ。

そんな人間一人居なくなったところで、あなたにとっては大した損失でもないでしょうに」

リシャール:「……セラマニア、君の祖国はどこだ」

セラマニア:「故郷ならあなたが焼きましたけど」

リシャール:「そうだったね。それで、セラマニア。どうすれば私に力を貸してくれるのかな?」

セラマニア:「あなたが、あなたの持っている主義主張を全て捨てれば何も問題は無かったのですけどね。

でもあなたはそうしないし、私も自分の主義や仲間を捨てる気は無いのですよ」

リシャール:「ははっ。セラマニア、君こそ分かってないじゃないか」

セラマニアAI:「どういう意味ですか?」

リシャール:「確かに私は多数のために少数を犠牲にするのを好む。だが、君は私の仲間ではないからね」

セラマニア:「……つまり?」

リシャール:「ルキニア帝国とセラマニアの仲を取り持とう。その代わり、私の事を裏切らないでくれ」

セラマニアAI:「…………」

リシャール:「セラマニア、君はセラマニア隊以外の部隊の統率も出来るのかい?」

セラマニア:「二度も同じ事を聞くからには、それは命令や恫喝の類なんですね。出来ると言ったら何をさせられるのです」

リシャール:「今回の君の役目は傭兵退治ではなく、『神聖同盟』と『解放者連合』の和解の仲介役だ。

そして隊長として、私の部下に指示を出す立場にあるという事を忘れないように」

セラマニア:「馬鹿な……難民の武装集団である私達に、軍閥の仲介交渉役などと……」

リシャール:「セラマニア、君は難民出身でありながらも、部隊の統率を見事に果たしている。それこそが君の価値であり、価値ある物なのだよ」

セラマニア半AI:「私がセラマニア隊を率いているのは、単に私が最初に始めたからに過ぎないでしょう」

リシャール:「ふむ。まあ、そういう事にしておこう」

――――

――

 

セラマニア:「そんなわけで、リシャールの部下を率いて神聖同盟と解放者連合との和平交渉を取り持つ事になりました。……どういうわけです……?」

ネメシス:「……その説明では分からない」

セラマニア:私だって分からないです(困惑)。しかもこれ、リシャールの部下って言ってもアーシャ・ラピスラズリ兵ではないという口ぶりでしたが……実際はどうなのでしょう。

AI:セラマニアが率いるリシャールの部下は、『ルキニア帝国』の兵という設定になっています。

セラマニア:保護した兵士二人は本拠点に帰しておいて良かったですね、バレたら銃殺ですから。

……んん? 設定? という事はルキニア帝国兵に偽装した別の何かという事ですか?

AI:「実際は、ルキニア帝国兵に見せかけた『アーシャ・ラピスラズリ』の特殊部隊です」

セラマニア:……念の為聞きますが、その特殊部隊の名前は?

AI:「名前は『リベリオン』と言いまして――」

セラマニア:何で難民が特殊部隊の指揮を執らされるの(絶望)。帝国エリート貴族の部隊なんでしょう! そこに難民出身の私を放り込んでリシャールは何をさせようというのですか!

リシャール:「さてね」

セラマニアAI:この野郎……。

セラマニア:「さすがに状況が不明過ぎて指揮どころじゃなくなるので、せめてリベリオンを一般帝国兵に偽装する意味を教えてください。

帝国が関わっている事は知られても良いが、アーシャ・ラピスラズリの正体は隠したいのですね?」

リシャール:「そうだ。君は理解力があるようだな」

セラマニア:「正確にはリベリオンという特殊部隊は極秘である必要がある、と。

でも和平交渉にそんな特殊部隊を潜入させるというのは……本来の目的は重要人物の護衛ですか、それとも暗殺ですか」

リシャール:「……ふむ。いいだろう、教えよう。だが他言無用だぞ。私達二人の信頼関係に期待するしかないのだが……」

セラマニア:「どうせリベリオンの愛人部隊には事前に伝えてる癖に」

リシャール:「……ほう、なぜそう思うのかね」

セラマニア:「あなたが私にしか興味ない人間であれば、無条件でセラマニア・リバティースとリベリオンの立場を逆転させるからです。

そうしないという事は、私と同じくらいリベリオンの愛人が大事だという事ですよね」

リシャール:「……はぁ。……まったく、君は本当に優秀な部下だよ」

セラマニア:「部下ではないです(真顔)。で、目的は?」

リシャール:「和平交渉の仲介とは言ったが、実際の目的はそれにかこつけた『ルキニア帝国』への牽制と嫌がらせだ」

セラマニア:「何か繋がって来ましたね。今回暴れまわってる帝国の敵対派閥に対して抵抗をして見せると言うのですか。

では、私は交渉の場で何をすればよいのです。

帝国が応援している方に嫌がらせをするというのは」

リシャール:「帝国のとある派閥としては、この交渉は失敗してほしいのだ」

セラマニア:「という事は、あなたは成功してほしいと思っているのですね。良いんですか? 生半可に和平が成立すれば逆に泥沼化して、あなたの神聖同盟が武力で統一する事は難しくなりますよ」

リシャール:「それはそれで構わない。私は無条件の統一主義者になったわけではないからな。

今回の和平交渉に限って言えば帝国派閥の介入と妨害があるだろうと踏んでいる」

セラマニア:「あなたと敵対する帝国の派閥とは? そいつがよく使う手段は聞いておきたいです」

リシャール:「主導しているのは帝国貴族の『マルス・エルム』という人物だ。

彼はルキニア帝国保守派の中心人物で、帝国貴族の中でも皇帝に近しい存在であり、次期皇帝候補の一人でもある」

セラマニア半AI:「皇帝候補……あなたの兄弟じゃないですか。その人が和平に反対する理由は何ですか?」

リシャール:「彼の主張は単純明快。『自分達の先祖が汚した土地を、自分達の手で浄化しなければならない』だそうだ」

セラマニア:「この国、元帝国領でしたっけ。それにしても何百年前の話ですか」

リシャール:「およそ700年前だ。当時はそもそも『ルキニア』という国名もなかった。

そして、当時の帝国は周辺諸国に戦争を仕掛け、侵略を繰り返していた」

セラマニア:「自分達の先祖が汚した、というのは……」

リシャール:「700年前、帝国の軍勢がこの土地で『ある蛮族共』を虐殺し、奴隷化したのだ。

その結果現在に至る。土地の汚染という意味ではなく、帝国による民族迫害の歴史だ」

セラマニア:「なるほど? 『蛮族は700年前に殺し尽くすべきであった』という考えの人ですか、分かりやすいですね」

リシャール:「『ルキニア』という国はそういう歴史を持っている。だから我々は同じ過ちを繰り返してはならない。

それこそが我々の使命なのだ」

セラマニア:「珍しく真っ当な事を言いますねあなたは。

であるなら帝国のエルム派は、和平交渉が決裂して、ルキニアの介入が決定して、あなたではなくエルム軍にこの国を支配させたいわけですか。

私達『蛮族』とやらを皆殺しにして」

リシャール:「その通りだ」

セラマニア:「良いでしょう、今回の件については私達にも利益はあります。

先ほどの話だと、マルス・エルムと敵対する代わりにリシャール派のパイプを用意してくれると言うのですね。

……正直欲しくないのですが! もう巻き込まれてるので! 要ります!

でもまだ帝国貴族に顔を覚えられたくないので私も帝国兵に偽装して良いですか!」

リシャール:「それは構わない。だが、君が帝国の人間に成りすませば、帝国派閥の工作員が接触してくる可能性があるぞ」

セラマニア:「リベリオンの隊長にぶん投げますよ。簡単な帝国式作法はその人から聞きますし、バレたら広い帝国の田舎出身とか言って言い訳します。

私が率いる事になるリベリオンの隊長に合わせて下さい」

リシャール:「了解した。ではこちらへ来てくれ。その前に……君の服と武器は用意してある。着ていけ」

セラマニア半AI:「ありがとうございます。

作戦中の私の偽名は『マリア』という事にします」

リシャール:「分かった。そうしよう」

――――

――

リベリオン隊長:「ようこそセラマニアさん。私が今回あなたの部下になる予定、リベリオン隊長の『アルヴィト・バルバロッサ』です。

早速仕事の話をしましょうか。

今回の任務は神聖同盟と解放者連合との和平交渉をマルス・エルムら帝国保守派の妨害から守る事です。

セラマニア:「初めましてバルバロッサ隊長。この件について、リベリオンの部下達は全員事情を知っているのですか?」

バルバロッサ:「えぇもちろん。我々にはセラマニアさんの味方が多いので」

セラマニア:「介護でもしてくれるつもりですか。難民出身の小娘など、あなた方にとってはゴミ同然でしょうに」

バルバロッサ:「その通り。我々は『弱きを助け強きを挫く』のが信条の集団なのです。弱者に手を差し伸べるのは当然の事ですよ。

あなたの事は聞いています。セラマニア・リバティース(SL)の代表。代表が前線に出るとは珍しい。それも一人で。勇敢ですね」

セラマニア:この人無自覚の煽り方が……「リシャールとお似合いですね!」と言う。

バルバロッサ:「ふっ……ご冗談を。それでは交渉に参りましょう」

セラマニア:喜ぶかと思ったら、もしかしてこの人私に嫉妬してません? いや、私リシャールとはプライベートでも仕事でも関わりたくないんですけど。帝国を防ぐ任務でなければ請け負ったりしませんよ。

……という気持ちを隠して、「その前に、最低限部隊員と簡易的な訓練や模擬戦をしたいです」と言う。

バルバロッサ:「了解しました。では案内しましょう」

――――

――

セラマニア:「というわけで、まず4VS4の模擬戦やります。SL隊は私、ネメシス、プレイン姉妹。

相手はリベリオン隊長のバルバロッサと他3名です。ペイント弾で、ゴーグルは付けますが当たると普通に痛いです。殺さない程度にボコっても構いませんが、相手がこちらを『教育』しようとしたら最悪近接戦の事故を装って腕の一本ぐらいへし折って構わないですからね」

ネメシス:「承知した。手加減は苦手だ」

アテナ:「うーん、殺すなと言われてもですね……」

ラピス:「手加減は得意じゃないわ」

セラマニア:模擬戦なのにぶち殺す気まんまんですねウチの隊員。

「まぁ特殊部隊相手に銃無しで勝てるわけないので、そこら辺は心配しないで下さい。

最低減目潰しと首に噛みつくのは止めた方が良いです。

あの人たちを傷物にしたら多分リシャールが暴走しそうなので。

ではネメシスとアテナがショットガンで左右から十字砲火を。

私とラピスがVSSで援護します。

模擬グレネードの使用も許可されているので、投げる時は同時に放り込んで敵の移動を誘いましょう。

訓練場は壁と曲がり角があちこちに配置された室内戦風のやつです」

リシャール:「これは中々面白い趣向の訓練になりそうだ。では私が審判を務めよう。ルールは特になし。戦闘不能になったら負けだ。では――試合開始!」

 

バルバロッサ:「行きますよ! 散開!」

セラマニア:「ネメシスは左の敵、アテナは右の奴、私は中央で牽制。

ラピスは右から隠れて回り込んで、右側を崩したら中央を全員で十字砲火です」

セラマニア隊:「了解……」「はっ!」「了解っ!」

バルバロッサ:「では始めましょうか私は右の敵に攻撃します」

セラマニア:「……ネメシス! そちらに敵の隊長です!」

ネメシス:「承知した。貴様が隊長だな。死ね」

バルバロッサ:「くっ!?」

セラマニア:「プレイン姉妹、右翼は!?」

……相手もエリートです、今までみたいに一瞬で倒せるとは思えません。

2VS1に持ち込めてると良いのですが。

アテナ:「ちいっ、当たりませんね!」

セラマニア:「アテナ、残弾数を確認しつつラピスはカバー!」

バルバロッサ:「甘いですね、その程度の考えなら、この勝負には負けますよ?」

セラマニア:戦力の分散は愚策……なら、中央を足止めしつつ右翼のカバーを……いや、敵の4人目はどこに居る?

AI:敵の4人目は右、左、中央の内、右に居たようです。

セラマニア:まずい、右翼側が2VS2になっています、これでは勝てない。なら……左のネメシスに合流して、中央に気を付けつつバルバロッサ隊長を潰します。

プレイン姉妹にはしばらく持ちこたえてもらい、先に左側を落とした方が勝ちます。

ネメシスとバルバロッサはどう戦っていますか?

AI:左翼はネメシスが優勢。右翼は互角。中央はやや劣勢。

バルバロッサ:「ふむ、少し厳しいですか。ならば私も本気で行きましょう」

ネメシス:「っ、移動が速い!!」

セラマニア:「ネメシス、相手が行きそうな遮蔽物に当たりをつけてグレネード投擲、炙り出します」

二人でグレネードを投げます。

AI:敵は回避しました。

バルバロッサ:「無駄ですよ」

セラマニア:中央の敵はどうしてます?

AI:中央の敵が向かったのは左、右の内、左だったようです。

セラマニア:こっちですか! プレイン姉妹と3VS2になるのではなく、同数を当ててくるとは。

私は各個撃破を恐れる意味で隊を二分しましたが、相手は同数なら負けないという自信あっての事でしょう。

ちなみにバルバロッサと、部下3人の銃は……

AI:彼女達の持っている銃は統一されているかというと、そうではありません。

バルバロッサの持っている銃は『FN Five-seveN』、

部下の一人は『H&K USP』、もう一人は『コルト M1911ガバメント』を持っています。

最後の一人は『MP40サブマシンガン』

セラマニア:最後だけおかしくないです!? というか拳銃一丁でフルオートショットガンやVSSと渡り合ってるんですかこの人達。

当たれば勝ちというペイント弾模擬戦だとしてもこれは……ちなみに、ドットサイトとかホロサイトをつけるなどのカスタマイズはしてます?

AI:リベリオン達は今回、銃のカスタマイズはしておりません。

セラマニア:下がります下がります! 距離を取ってVSSで中距離から撃った方が良いです。

ネメシスにフルオートショットガンで制圧射撃させつつ、距離を離します。

バルバロッサ:「甘いですよ」

バルバロッサがグレネードを投擲。

ネメシス:「!」

グレネードを避けます。

バルバロッサ:「お見事、さすがですね」

ネメシス:「…………」

セラマニア:ネメシスの後退を援護しつつ、牽制射撃を中央から来たもう一人……USP持ちですかね、そいつに撃ち込みます。忙しい! 「プレイン姉妹はまだ生きてますか!」

アテナ:「大丈夫ですが、このままじゃジリ貧です!」

ネメシス:「…………」

セラマニアAI:ネメシスさん、何か手はないですか。

ネメシス:「無い。諦めて」

セラマニアAI:えぇー……。

セラマニア:「姉妹! スタート地点まで何とか後退してきてください!」

アテナ:「了解しました!」

セラマニア:後はネメシスか私が犠牲になって後退し、3VS2の状況を作り……いえ、それはダメですね。

実戦であれば仲間を犠牲にする作戦は執れません。

「一度後退して合流し、遠距離戦に持ち込みますよ! VSS二丁とAA‐12二丁あるこちらの方が有利です!」

バルバロッサ:「逃すと思います?」

AI:バルバロッサの部下がグレネードを投げてきました。

グレネードが爆発し、セラマニアの視界を遮ります。

セラマニア:「まだ当たってはいない……! 左側は敵味方共にグレネードを消費済み、ならば――」

バルバロッサ:「残念ながら――」

AI:バルバロッサの声に振り向くと、すぐそこにFN Five-seveNの銃身がありました。

バルバロッサ:「チェックメイトです」

セラマニア:「それは良くないですね!」と言ってバルバロッサを蹴倒します。

銃を突きつけて獲物を前に舌なめずりは三流の何とかですよ!

そのままもつれ込んで寝技で腰のナイフを抜いて首を掻っ切ろうとします。

あ、もちろん模擬戦なんで鞘はつけたままで。

バルバロッサ:「ふむ、ここまで接近されるとやりにくいですね。まぁいいでしょう。この距離なら外しませんね」

そう言ってセラマニアの右手の甲を撃ち抜きます。

セラマニア:「なっ……!」

バルバロッサ:「まだ試合は終わっていませんよ?」

セラマニア:左手で顔面をぶん殴ろうとします!

AI:バルバロッサはその手を掴み、逆に腕ひしぎ十字固めを極めようとします。

セラマニアAI:「ぐぅう……ッ!」歯を食いしばり、左腕に力を入れて脱出を試みます。

バルバロッサ:「諦めが悪い人は嫌いではありませんが、あまり調子に乗らない方が良いかと。このまま関節を壊してしまいましょうかね」

セラマニア:「バルバロッサさん、どうやらあなたの方が上手なようですが……一つだけよろしいですか」

バルバロッサ:「何でしょうか? 降参してくれるなら私も楽ができるのですが……」

セラマニア:「私に怪我をさせたら、リシャールが黙っていませんよ? ほら見て下さいあの人の顔」と言ってリシャールの方を向かせます。

バルバロッサ:「………………」リシャールの顔を見ると、そこには怒りの表情がありました。

セラマニア:と…油断させといて…馬鹿め…死ね!!! 脚に噛みつきます!

バルバロッサ:「くっ!」と顔をしかめて振り払います。

セラマニア:「させるかっ!」と言ってすかさず左の肘でバルバロッサを打ちます。

バルバロッサ:「痛っ!?……なるほど、確かに一筋縄ではいかないようですね」

セラマニアAI:「はぁ……はぁ……はぁ……この程度ですか?」

バルバロッサ:「いえ、まだまだこれからですよ。さあ、もっと楽しませて頂きましょうか」

セラマニア:そんなわけないじゃないですか。飛びのいて遮蔽物に隠れ、「ネメシス、撃って!」と叫びます。

一騎打ちなどするつもりないです、フルオートショットガンを食らうと良い!

AI:ネメシスの状況は……こちらからは何も見えていません。ただ銃音だけは聞こえています。

バルバロッサ:「ちぃ……っ!」と舌打ちして、セラマニアの方へ走りながら、拳銃を撃ち続けます。

セラマニア:認めましょう、私の負けです。だが一人では死にません!

こっちに来て遮蔽物に隠れられる前に、撃たれながらも正面から体当たりをかまします。

バルバロッサ:「ぐわあっ!!」と叫んで転倒しそうになりますが、何とか持ちこたえます。

セラマニア:「私は撃たれた! 構いません、撃って!」と言ってネメシスに私ごとバルバロッサを撃たせます。私と共に死ぬがよい! 模擬戦ですけど!

ネメシス:「了解した。撃つ」と言いつつ引き金を引きます。

バルバロッサ:「くぅ……!」と声を上げつつも、ネメシスの銃撃を避けようとします。

セラマニア:当たりました?

AI:当たっていますよ。

バルバロッサ:「ぐふっ……!?」とうめき声を上げて倒れます。

セラマニア:一矢は報いましたよ……。では、私はやられたので後の成り行きを見守ります。

お互い隊長が倒れたセラマニア隊とリベリオン隊は、その後どのような模擬戦の展開になりましたか?

AI:両方の隊長が倒れた後、残った者達は動ける者同士で戦闘を続けます。そして

最後に立っていたものはどちらかというと、リベリオン隊の方が多かったようですね。

セラマニア:一応流れとしては、どんな攻防が繰り広げられました?

AI:まず、セラマニア隊員達はセラマニアの指示に従い後退していました。そして、バルバロッサが倒れると同時に突撃を開始します。

セラマニア:遠距離から撃ってって言ったのに何故……まぁ、ショットガン二丁だから突撃も悪くないですが。

AI:それに対しリベリオン隊の残りは、セラマニア隊が突撃してくると予想して迎撃態勢を整えて迎え撃ちます。

リベリオン隊の射撃に対して、セラマニア隊は防御姿勢を取りながら突進していきます。

そしてセラマニア隊は、バルバロッサを倒した事で油断していたのか、あっさりと全滅してしまいます。

 

セラマニア:反省会です。

ネメシス、アテナ、ラピス。

何故私がやられた後前に出たのですか、一人ずつ理由をどうぞ。

ネメシス:「えっと……」口ごもりつつ、「あの人達にこれ以上好き勝手させる訳にはいかないと思って」

アテナ:「うーん、そうですね……」と言いつつも、ちょっと困ったような顔をしながら「ネメシスが前に出たから仕方ないかなって思って」

ラピス:「わたし達の目的はセラマニアを守る事だったんでしょ?」と言っています。

セラマニア:「違いますよ!? 仮に実戦だとしたら、私が死んだ後も皆は生きるんですから、無駄死にしようとするのは止めて下さい!

目的は一人でも多く生き延びる事です!」

ラピス:「目的が違うわね。わたし達はあくまでセラマニアを守りたかっただけ」

セラマニア:「別に私はカルト宗教の教祖でも何でもないので、自分を犠牲に私を守るなんて事は止めて下さい。

そして私が居なくても自分の身は守ってください。」

ラピス:「……分かったわ。これからは気を付ける」

セラマニアAI:「はい。お願いします。私は皆に死んで欲しくありませんから」

セラマニア:「後、薄々感づいてましたがネメシスは動きは良いですけど正面から突っ込むの止めましょう。頭を使い、相手の射線を封じ、障害物を利用しつつ側面を取るのです」

ネメシス:「了解した」

セラマニア:「アテナは状況を見て。周りに合わせるのも良いですけど、周りが変な事をしてたらただ追従するのではなく『上手くカバー』出来るようにしましょう」

アテナ:「はっ! 分かりました~」

セラマニア:「リベリオン側から学ぶ点としては、障害物から障害物へ身を隠しながら移動するのが上手かった事です。とはいえ、隊長のバルバロッサは強かったですが、私程度に煽られて同士討ちになるようでは特殊部隊の隊長としてはどうかと思います」と上から目線でバルバロッサを更に煽る。

バルバロッサ:「…………。ふむ、確かにそうです。私の作戦もまだまだですね。もっと精進しましょう」

セラマニア:「言い返してくるかと思いましたが素直ですね、リシャールはリベリオンと私達SL団を同じようなものだと言いましたが、その通りかもしれません。私も素直ですからね!」と、彼女の前でリシャールを呼び捨てにした挙句自画自賛する。

バルバロッサ:「それは褒め言葉として受け取っておきますよ」

セラマニア:更に素直に返されました。どうも私はリシャール絡みになると喧嘩腰になるのはいけませんね、と反省します。それはそれとして、私本当にこの人達率いて一触即発の交渉護衛任務なんてしなきゃならないんですか。リシャールは私に経験を積ませて二大特殊部隊を作るとか、バルバロッサと私を仲良くさせたいとかのロクでもない事を考えてるでしょうけど、私は早く皆のところへ帰って就職先を探してあげねばならないのです。

なのでさくっと終わらせましょう。

訓練を終え、具体的なブリーフィングを始めてもらいます。

 

AI:まずはお疲れ様でした。今回の依頼は、和平交渉に臨むの要人の護衛です。

要人とは神聖同盟の上層部で…………




~後書き~
長くなったので以下次回。
今後は一話のボリュームが増えつつあるので前中後編も出てきます。

数字が見にくいので、1000000ルピア→100万ルピア
のように改正していきます。
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