IS ~Battle Stage~(仮)   作:S・TOM

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 IS発明者にして自分の姉である篠ノ之束から、第四世代型IS「紅椿」を貰い受けた箒。他の追随を許さない性能を備えた機体をその身に纏い、シャルロットとの試合に臨む。
 開始直前、「操縦者の技能が高ければ第二世代機でも第四世代機に勝てる」というシャルロットの言葉を受け、その意味を探っていく中、試合開始の合図が鳴り響いた。


BATTLE3「紅椿vsラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」

 篠ノ之箒は息苦しいほどの緊張感を覚えていた。

 無理もない。何故なら彼女は今、これから戦う相手――シャルロット・デュノアと共に、アリーナの中央で向かい合っているからだ。フランス代表候補生のシャルロットは、その肩書に恥じぬ実力を備えている。他の候補性と異なり、第二世代型ISを専用機としているが、その性能は決して第三世代型に劣っていない。むしろ武装の多彩さでは第三世代型のそれを遥かに上回っているのだ。

 

(だが、私には紅椿が在る)

 

 紅椿。自分の姉でありIS開発者でもある篠ノ之束が開発した、世界最初の第4世代型IS。現在存在する全てのISを上回るスペックを誇り、あらゆる局面に対応できる万能機だ。

 このISさえあれば、どんな相手にも負けることは無い。自分に言い聞かせるように心の中で呟くと、箒は目の前に立つシャルロットを見据えた。

 対するシャルロットはいつものように微笑みを浮かべている。しかし彼女の笑みを見るたびに箒の心の中には得体の知れない不安感のようなものが生まれてくるのだ。

 

「シャルロット。悪いがこの勝負、私の勝ちだ」

 

 不安を拭い去るように口を開く箒。対するシャルロットは微笑んだままだ。

 

「第二世代型のISで他の代表候補生と互角に渡り合うお前の実力はよく知っているつもりだ。だが紅椿の前ではそんなものは無意味だ。勝つのは私だ」

 

 強い決意を込めた箒の言葉は、同時に虚勢でもあった。彼女自身にもわかっていた。今の自分がどれほど無謀なことを言っているのかということを。だがそれでも言わずにはいられなかった。そうしなければ、この重圧に押し潰されてしまいそうな気がしたからだ。

 

「さあ、それはどうだろうね?」

 

 シャルロットは相変わらず笑顔のまま言った。

 

「確かに紅椿の性能は圧倒的だけど、それを全て引き出すことが出来ないと意味が無いんだよ? どんなに世代が新しくなっても、最終的にモノを言うのは乗り手の技量だからね」

 

 逆に言えば、とシャルロットが続ける。

 

「ISの力を最大限に発揮することが出来れば、型遅れと揶揄される第二世代機でも第四世代機を凌駕することだって不可能じゃないだ。僕は強敵だよ、箒」

 

 その言葉が強いプレッシャーとなって箒を襲う。だがそれに屈することなく、箒もまた不敵に笑って見せた。

 

「言ってくれるではないか……ならば見せてやろう! 紅椿の……いいや、私達の力を!」

 

 試合開始のブザーが鳴ると同時に箒が動いた。刀型武器『空裂』を振り抜き、遠距離からエネルギー刃を撃ち放つ。それを難なく回避したシャルロットは二丁のアサルトライフル『ガルム』を乱射しながら距離を詰めてきた。

 

「ふっ!」

 

 箒も対抗して、ガルムによる弾幕を避けつつシャルロットに接近する。そして間合いに入った瞬間、今度は左手に持つ雨月を突き出した。が、これもまた避けられてしまう。

 

「はあっ!」

 

 シャルロットが瞬時に近接ブレード『ブレッド・スライサー』に切り替え、隙が生じた箒を真横から斬りつける。ブレードが紅椿に触れた直後、その表面装甲の一部が砕け散った。

 

「うわ!?」

 

 思わず声を上げる箒。怯まず空裂を振るって反撃を試みるものの、後方へ跳んで距離を取ったシャルロットには当たらない。

 

「っ!?」

 

 再びガルムを展開したシャルロットが掃射を仕掛ける。最初の数発を弾いたところで、箒はすぐに防御を諦めてその場を離れた。

 

「逃がさないよ!」

 

 逃げる箒を追いかけながら、シャルロットが更に追撃する。絶え間ない銃撃で逃げ場を失った箒は地上を離れ、上空へと飛び上がった。

 

「調子に乗るなぁ!」

 

 雨月と空裂の刃を重ね合わせ、十字に形成されたエネルギー刃を飛ばす。その速さは先ほどまでの比ではない。

 

(回避は間に合わない……なら!)

 

 ガルムを収め、左腕にシールドを展開するとシャルロットは真正面からそれを受けた。凄まじい衝撃が襲ってくる。だが直撃を受けてなお、シャルロットはその体勢を崩さなかった。

 

「そこだぁ!!」

 

 攻撃直後の一瞬の硬直時間を狙い、一気に肉薄してきた箒が渾身の力を込めて刺突を放つ。雨月の切先がシールドの表面装甲を削り取り、シャルロットの機体が後ずさる。

 

「まだだ!」

 

 さらに追い打ちをかけるべく、箒は右手に握る空裂を突き出そうとする。だがその時、雨月を握る力が緩んだところをシャルロットに見抜かれてしまった。

 

「貰った!」

 

 シャルが素早く右腕を前に出し、右手に展開したショットガン『レイン・オブ・サタデイ』を構える。次の瞬間、無数の銃弾が紅椿を襲い、その装甲を削っていった。

 

「ぐぅ!?」

 

 被弾し、バランスを崩す箒。地上に落下する寸前でなんとか態勢を立て直すと、すぐさまシャルロットから距離を取る。

 

「ちっ……絢爛舞踏!」

 

 エネルギー残量が危険域に達したことを知らせる警告表示が現れたのを確認するなり、箒は即座に単一仕様能力を発動させた。紅椿の機体が金色に染まり、失ったシールドエネルギーを補充していく。

 

(くそっ、何という様だ……!)

 

 自分の不甲斐なさに歯噛みする箒。シャルロットは全く被弾していないというのに、こちらはもう既にかなりのダメージを負っている。しかも相手は第二世代機だというのにだ。

 

(やはり……私の技量が至らな過ぎるのか?)

 

 改めてそう思う。実際、紅椿の性能を十全に引き出せているとは言い難かった。シャルロットの機体がカスタムされた物とは言え、姉が開発した紅椿が量産機に劣るはずが無いのだ。にもかかわらずここまで苦戦しているということは、自分の技量が追いついていないということに他ならない。

 ならばどうするか。答えは一つしか無い。

 

(紅椿の力を引き出してやるのだ。この私の手で!)

 

 そのためには何が必要か。考えるまでも無いことだ。紅椿の性能を理解しなければ、その力を発揮させることは出来ない。

 

「……よし」

 

 覚悟を決めた箒は一度大きく深呼吸すると、意識を集中させ、眼前に立つ敵を見据えた。

 

(シャルロットを倒そうとは敢えて考えない。今はただ、紅椿の力を引き出すことに全力を注げばいい。……それだけでいい!)

「行くぞ!」

 

 スラスターを吹かし、箒は真っ直ぐに突っ込んでいった。

 

(来る、真正面から!)

 

 迫りくる紅椿の姿を見て、シャルロットが迎え撃つようにアサルトライフル『ガルム』を構える。そして発射。箒はそれらを全て避け、あるいは弾きながら接近する。

 

「はあああっ!」

 

 左手に持った空裂を振り下ろす。それを後方に飛んでかわしたシャルロットだったが、箒の攻撃に違和感を覚える。

 

(本気じゃない……?)

 

 そう感じたのは束の間のことだった。シャルロットの思考は続く箒の斬撃によって中断させられる。

 

「っ!」

 

 咄嵯に片手でブレッド・スライサーを構えて受ける。その瞬間、ガキィンッ! と耳障りな音がアリーナに響いた。

 

「うん……?」

 

 音に反して箒の一撃は軽かった。受け止めた際の手応えもまるでない。

 

「これは……」

 

 何かがおかしいと感じ取ったシャルロットは、一旦間合いを取って様子を窺うことにした。一方の箒もシャルロットを追いかけることはせず、その場で構え直す。

 

(攻めてこない……どうして?)

 

 シャルロットは不思議に思った。これまでの箒であれば、隙あらばすぐにでも仕掛けてきたはずだ。なのに今は、こちらの様子をじっと見つめたまま動こうとしない。その顔に浮かぶ表情は、どこか落ち着いているように見えた。

 

「どうした? 私に恐れをなしたのか?」

 

 箒が不敵に笑い、シャルロットを挑発する。虚勢の類は感じず、むしろ余裕すら感じられる。シャルロットは警戒心を強めた。

 

(どういうつもりなのか知らないけど……)

 

 シャルロットは上空へ飛ぶと、スナイパーライフル『ヴェント』を展開して箒に狙いを定めた。

 

(油断はできない!)

 

 トリガーを引くと同時に、圧縮粒子が銃口から放たれ、一直線に目標を目指す。

 

「ふっ!」

 

 空裂で弾を斬り捨てつつ、エネルギー刃を攻めの起点とする。箒は即座に反撃に移り、シャルロットと同じ上空へ飛翔した。

 

「くぅ!」

 

 シャルロットは回避運動を取りつつも、射撃を続けて牽制を仕掛ける。だが、箒はそれらの攻撃を悉く避けるか捌き、シャルロットに肉薄していった。

 

「そこだ!」

 

 箒が空裂を振るって攻撃を仕掛ける。しかしシャルロットはそれをギリギリまで引きつけてから、身体を捻ってかわすと、右手のレイン・オブ・サタデイを至近距離で撃ち放とうとした。

 

「っ……!?」

 

 瞬間、シャルロットは直感した。攻撃を外した箒に隙があるわけではない。むしろ、攻撃する寸前だった自分の方が逆に攻撃を当てられかねないと。

 即座にシャルロットは攻撃を中断し、後ずさった。次の刹那、それまでシャルロットがいた場所を雨月のビームが貫いていく。もしシャルロットの判断が遅れていたなら、今頃はシールドエネルギーを根こそぎ持っていかれていたことだろう。

 

(間違いない、箒の動きが……変わった!)

 

 先ほどまでの箒とは別人のような動きを見て、シャルロットはその事実を確信する。今までの直情的とも言える攻撃から一転、今の箒は冷静かつ慎重に戦っているように見える。

 

(勝ちを急いでいるわけじゃなく、自分に何が出来るのか、何をすべきかを考えているような……)

 

 そこまで考えた時、シャルロットはハッとして再び上空へと飛んだ。直後、彼女がいた場所に紅椿が放った斬撃が通り過ぎていった。

 

「ちぃっ!」

(そうか! 箒は僕を倒すことよりも、紅椿の性能を引き出すことを優先しているんだ!)

 

 だから無駄な攻撃を避け、自分が出来る最善のことをしようとしているのだ。箒の行動の意味を理解したシャルロットは、改めて意識を集中させた。

 

(だったら、こっちから仕掛けるまで!)

「はああぁぁー!!」

 

 気合一閃。箒に向かって突撃するシャルロット。対する箒も、迎え撃つべく両手に握られた刀を構えた。

 

「はあっ!」

 

 先に動いたのは箒の方だった。一気に間合いを詰めると、横薙ぎに剣を振ってくる。

 

「はああっ!」

 

 シャルロットはブレッド・スライサーで受け流しつつ、左手のガルムを放つ。

 

「ふん!」

 

 箒は素早く後退することでそれを回避。そして雨月の切先からビームを連射した。

 

「くうっ!」

 

 シャルロットはそれらを必死に避けながら、同時に右手のレイン・オブ・サタデイで応射する。

 

「このぉ!」

 

 箒もまた、シャルロットの攻撃をかわしながら斬撃を叩き込む。両者一歩も譲らない攻防が続く中、箒は落ち着きを払っていた。

 

(勝つことに拘らず、紅椿の性能を引き出すことに集中すればいい……。そう思うだけでこんなにも戦いやすいとは思わなかったぞ)

 

 実際、箒の戦いぶりは以前のものとは明らかに違っていた。感情任せに突っ込むことは無く、相手の出方を窺いながら戦う余裕が生まれている。

 それは、今までの箒では出来なかったことだった。彼女はただひたすらに勝利を目指し、力を振るうことしか考えていなかった。代表候補生でないにも関わらず専用機を与えられた自分にコンプレックスを抱き、その思いが余計に自分を焦らせていたのだ。

 

(だが、もう焦りはない。闇雲に結果を急ぐのではなく、今自分に必要なものを考えればいいだけだ。それで勝てるならば、私は……)

「負けるはずがない!」

 

 叫びと共に放たれた一撃が、シャルロットのシールドエネルギーを削っていく。

 

「うっ……」

 

 一方、シャルロットは追い詰められつつあった。紅椿の機体性能が存分に発揮されているせいもあるが、それ以上に箒の動きが変わったことで、以前と比べて明らかに手強くなっている。

 

(このままだとマズイ……!)

 

 箒が放つ斬撃をかわすシャルロットだったが、その表情には次第に焦燥の色が見え始めた。絢爛舞踏によってシールドエネルギーを回復できる箒とは異なり、シャルロットの機体はエネルギーが尽きればそこで終わりなのだ。

 

「くっ!」

 

 箒の斬撃が肩装甲に当たり、小さな火花を散らした。直撃ではないが、それでも大きなダメージである。シャルロットは慌ててその場を離れた。

 

(箒に勝つには、回復をさせる暇を与えずに倒すしかない!)

 

 幸い、シャルロットにはまだ使用していない武装がある。これを使えば、一気に勝負を決められるはずだ。だが、問題はどうやって使うかだ。

 

(隙を作るためには……やっぱりアレを使うしかないよね)

 

 一瞬だけ迷った後、シャルロットは覚悟を決めた。こうなればヤケクソでも何でもやるだけである。

 

「行くよ、箒!」

 

 シャルロッ卜は左手のガルムを収納すると、両手にレイン・オブ・サタデイ二丁を展開した。

 

「はああぁぁーっ!!」

 

 両手の銃口を箒に向け、トリガーを引く。圧縮粒子が発射され、弾丸が箒に迫る。

 

「甘い!」

 

 しかし、箒は雨月と空裂を巧みに振るって全ての弾を撃ち落とした。撃ち落とされた粒子が虚しく散っていく。

 

(予想通り!)

 

 シャルロットは内心ほくそ笑む。箒が攻撃を防ぐことは最初からわかっていた。問題なのはその後だ。

 

(これで決める!)

「はああっ!」

 

 再び箒に向かって突撃するシャルロット。それに対し、箒は雨月の切先を向けた。

 

(来るか……!)

 

 シャルロットが向かってくるのに対し、箒は冷静な眼差しで待ち構えていた。次の瞬間、箒は雨月からビームを発射した。

 

(来た! このタイミングだ!)

 

 リヴァイヴのスラスターにエネルギーが取り込まれ、爆発的な加速を生み出す。瞬間加速だ。シャルロットはそれを見越して、あえて真っ直ぐに突っ込んだ。

 

「何!?」

 

 予想外の行動に箒が驚くと同時に、肉薄したシャルロットが右腕のシールドを突き出す。

 

「この距離なら外さない!」

 

 シールドから炸薬が点火し、巨大な杭となって射出される。灰色の鱗殻(グレー・スケール)。通称『盾殺し(シールド・ピアース)』。第二世代型のISでは最高級の威力を持つ装備だ。

 

「くっ!」

 

 咄嵯に回避しようとする箒だが、間に合わない。シャルロットの一撃が、紅椿の腹部に命中した。

 

「が……はっ!?」

 

 凄まじい衝撃を受け、箒の身体が後方に吹き飛ばされる。その勢いのまま地面を転がり、ようやく止まった時には、既にエネルギー残量がレッドゾーンに入っていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 呼吸を整えつつ、ゆっくりと立ち上がる箒。一方のシャルロットは、畳み掛けんばかりに盾殺しを構えて急接近していた。

 

「終わりじゃないよ!」

「ちぃっ!」

 

 迫り来るシャルロットに対し、箒は空裂で斬りかかる。対するシャルロットも、杭を打ち出して応戦した。

 二つの刃がぶつかり合い、甲高い金属音が鳴り響く。

 

「くぅ……っ!」

 

 だが、パワーの差は歴然だった。箒はじりじりと押されていく。

 

「うおおぉぉぉっ!」

 

 力任せに押し返そうとする箒だったが、シャルロットもまた力を込めてそれを押しとどめようとする。両者一歩も譲らない攻防が続く中、箒は次なる手を打った。

 

「穿千!」

 

 左肩の装甲が変形し、クロスボウ状となって腕に装着された。

 対するシャルロットも左手にレイン・オブ・サタデイを展開。箒に向けてトリガーを引いた。

 

「喰らえぇぇーっ!!」

 

 シャルロットには粒子の矢が、箒には無数の散弾が直撃していく。

 

「ぐうっ!」

「くううっ!」

 

 両者のシールドエネルギーがみるみると減少していき、底を突きかけようとしていた。だが、空裂と盾殺しの鍔迫り合いは止まらず、激しさを増していく。

 

「負けるかっ!」

「負けないよっ!」

 

 そしてついに、均衡が崩れた。シャルロットの盾殺しが弾き飛ばされ、その機体も後方へ大きく吹き飛んだのだ。

 

「ぐわっ、あっ……!」

 

 地面に叩きつけられるシャルロット。同時に、シールドエネルギーがゼロになったことを示すブザーが鳴った。

 

『試合終了。勝者、篠ノ之箒』

 

 アナウンスと共に、観客達が歓声を上げる。そんな中、箒はゆっくりと立ち上がった。

 

「勝った……のか?」

 

 目の前に表示されているリヴァイヴのステータス画面を見て呟く。そこには、確かに『SEエンプティ』の文字が表示されていた。

 

「……そうか。勝てたのだな、私は」

 

 安堵の溜息を漏らすと同時に、全身の力が抜けていくのを感じる。それと同時に、今まで忘れ去っていた疲労感がどっと押し寄せてきた。

 

「はは……流石に疲れたな」

 

 苦笑いを浮かべながら、歓声に包まれているアリーナを見渡す箒。その表情には満足そうな笑みが浮かんでいた。

 

 

 アリーナの更衣室。試合を終え、疲れ果てた二人がそこにいた。

 

「凄いね、箒。僕なんか最後は圧倒されちゃったよ」

「私も必死だっただけだ。それに、お前の攻撃はなかなか効いていたぞ。最後の攻撃など、危うくやられるところだった」

「あはは……あの時は僕も必死だったから」

 

 お互いの顔を見ながら笑う二人。その時、ふとシャルロットが言った。

 

「あーあ、負けちゃったな。試合前に第二世代機でも勝てるって大口叩いといてこれじゃあカッコ悪いよね」

「そんなことはないさ。今回は私の運が良かっただけだ。それに、私があそこまで戦えたのは、その言葉があったからだと思っている。ありがとう、シャルロット」

「箒……」

 

 シャルロットは少し驚いたような顔をした後、クスリと微笑んだ。

 

「どう致しまして。僕の言葉が箒の力になれたなら嬉しいな」

「ああ、お前には本当に感謝している」

 

 今回の試合を通して箒は自分を見つめ直すことが出来た。自分の弱さを改めて自覚すると同時に、自分がまだまだ強くなれることを教えられたのだ。それらは正しくシャルロットのおかげだろう。

 

「それで、一つ頼みがあるのだが」

「ん? 何かな?」

「もしよかったら、ISについて教えてくれないだろうか? 知っての通り、私は代表候補生ではない。だから、シャルロットから学べることはたくさんあると思う」

「うん、いいよ。そういうことなら喜んで協力させて貰うよ」

 

 シャルロットは快く承諾してくれた。

 

「ありがとう。良い友を得られたことを嬉しく思う」

 

 心の底からの笑顔で礼を言う箒。すると、シャルロットが恥ずかしそうに頬を掻いた。

 

「良い友だなんて、照れるなぁ……でも、友達として信頼されるのは悪くないかも。これからよろしくね、箒!」

「こちらこそだ。シャルロット」

 二人は互いに握手を交わす。この瞬間、二人の友情は確かなものとなった。

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