ラスボスになったぜ   作:鈴木颯手

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最初プライマー側の台詞がありますがそこでいちいち別の種族名にするのは混乱するのでコロニストとコスモノーツで統一します。


ラスボスになったぜ

 皆さんおはようこんにちはこんばんは。気づいたら死んで神様となのるお爺ちゃんに会ってました。え? その時の話はしないのかって? 今更神様転生の話をしてもつまらないでしょ。だってテンプレとも言える事しか話してなかったし。

 と言っても特典や転生先はガチャで決める事になりました。なんでも神様の世界でも課金ゲームが流行っていてそれを元にガチャを作ったらしい。どうりで凝った作りだと思いながら回した結果がこれ。

 

転生先:地球防衛軍5

特典:ラスボスに憑依

 

 特典は転生先によって決まるらしいけどまさかのラスボス! あの銀の人ですよ! 地球防衛軍5で地球に飛来したプライマーの親玉にして神の如き存在。神と呼ぶにふさわしい超強力なサイコキネシスに転送能力。隕石の飛来などなんでもありな敵だった。しかも四肢をもがれようと即座に復活するしドンドン強力になっていく化け物。俺も1時間画面と格闘しながら戦ったものだよ。知識がないとここでは倒せなくて次当たりで倒すのかなと思って戦ってたせい、ってのもあるけど。

 そんな訳で俺が今いるのは11隻目のマザーシップ基いコマンドシップ。その玉座っぽい所に俺は座っている。眼前には巨大なモニターがありその下ではグレイ型宇宙人と言われているコスモノーツが作業をしている。因みに画面には青く美しい地球の姿がある。

 

「神よ。まもなく作戦が始まります」

 

 そこへ俺への報告の為だろう。コスモノーツの1体が声をかけてきた。銀の人になったおかげか言葉は理解できる。というよりも憑依したせいかある程度だが銀の人の記憶もみる事が出来た。俺は記憶をもとに大げさに頷いて見せる。銀の人は緘黙だったようでよほどの事がない限り喋らない。

 俺が頷いたのを確認したようでそのコスモノーツは通信を行うと作戦を始動した。因みに今回の侵攻は数ある侵略の一つの様で銀の人への献上品という事らしい。モニターには一斉に地球に向かって降下するマザーシップにテレポーションシップ。数時間後には世界中が大混乱に陥るのだろうな。

 元人間としてはこれを止めるべきなのだろう。だけど銀の人になったからかいちいち気にする事が無くなってしまった。憑依前は穏便に解決しようと思っていたのに。それに、こうして苦しめられてきた奴を顎で使っていると思うととても気分がいい。改造なんてやった事がなかったから余計だ。

 

『敵基地の3割を制圧』

『敵都市への攻撃を開始』

『前線基地の投下準備開始』

 

 マザーシップが地球に飛来すると一斉に通信が入って来る。そのどれもが順調に進んでいる事を示すものだ。だが、俺は知っている。ここからストーム1と呼ばれるようになる主人公が活躍を見せ始め最終的には(銀の人)を倒す事を。せっかく転生したのに死ぬわけにはいかない。だからこそ彼と人類には悪いが一気に畳みかけてやる。

 

「……おい」

「っ! はっ! 何でございますか!」

 

 俺が声を発したことに驚いたように肩をびくりとさせるとコスモノーツがこちらに近寄ってきた。宇宙服を着て頭部のみ出した状態の彼?彼女?は緊張しているのが分かる。モニター前で作業しているコスモノーツも緊張している事が手に取るように伝わって来る。流石は神と言われるだけの生物。このくらいはお手の者か。

 

「前線基地はあの島以外に投下しろ」

「は? それは可能ですが……」

 

 俺の言葉にコスモノーツは困惑したように同意する。前線基地はかなりの力で日本を含む各国を蹂躙したが最終的には主人公によって破壊され前線基地は次々に破壊されていくこととなった。その為、前線基地は日本には落とさずに他の国々を蹂躙してもらおう。その内弱点が発覚するだろうけど主人公に発見されるよりも後になるのは確実だろう。

 

「コロニストはどうなっている?」

「出撃準備は整っていますが投入予定は今のところは……」

「投下させろ」

「へ?」

「あの島に投下させるのだ」

 

 コスモノーツは俺の言葉に訳が分からないと言った表情をしているが文句ひとつ言わずに従った。それだけ俺の言葉は絶対という事なのだろう。ちょっと腹部に痛みを感じる気がする。

 

 そうしているとマザーシップの一隻が動き出した。ライディング・シップを投下しているのだろう。ライディング・シップはコロニストやコスモノーツを地上に運ぶための揚陸艦だ。因みに、コロニストはカエルのような見た目をした宇宙人で地球防衛軍世界の人間から見ると人類とそっくりならしい。俺としてはコスモノーツの方が似ていると思っているけど彼らは真逆の意見のようだ。

 

「コロニストが降下を開始しました。都市の制圧を開始します」

「……やつらの中に強い力を感じる。その様な人物に出会ったら報告させろ。攻撃よりも報告が優先だ」

「? 分かりました。コロニストのみならずコスモノーツにも徹底させます」

「それでいい」

 

 これで日本における状況は悪化しただろう。前線基地がない代わりに大量の宇宙人の襲来。テレポーションの破壊方法が分からない序盤でこれは普通に詰みかねない案件だ。人類が反撃を開始するのは速くても2か月後だ。これで日本が無事に済む保証はなくなるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プライマーめ……」

 

 都市部から離れ山岳部に隠された司令部にて指揮官は忌々し気に呟いた。彼の周りでは次々と入って来る報告にパンク寸前であるがそれ以上に最悪の状況なのは前線の兵士たちだった。

 

『う、宇宙人だ! デカい宇宙人が……! うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

『ぶ、武器を持ってる! このままじゃ全滅する!』

『援軍を! 援軍を送ってくれ! それが出来ないなら撤退許可を……!』

 

 異星文明プライマーが襲来してから2日。世界各地に強力な基地が振ってきていたが幸いにも日本に投下されなかった。遥か上空、宇宙空間にはマザーシップがまだ存在しているがそれも最初に登場してから沈黙を保っていた。そのはずだった。

 人類に似た宇宙人が100単位で降下を開始したのである。それも日本にだけ。他の国々はアメリカ、イギリス、ロシアなどの列強に数えられる国々に前線基地や大量の生物が襲撃を行っていたが日本ではそれ以上に宇宙人の攻撃が激しかった。

宇宙人は戦闘員と民間人の区別でもついているように適確にEDF隊員を攻撃しており負傷者よりも死者が上回りつつあった。その被害は前線基地が振って来た国々を軽く超えていた。

 

「テレポーションシップの破壊も出来ず、次々と転送されている現状でこれか……! このままでは新兵器の投入前に日本は消えるぞ!」

 

 彼は悔し気に机をたたいて怒りを露にした。大量の基地を失い、隊員を失い日本の継戦能力は確実に削がれ始めていた。

 

「司令、EDFに対するデモ隊が基地の前に詰め寄せています」

「追い返せ! 今は非常事態だ! 彼らの言葉に耳を貸している暇はない!」

「ッ! 大気圏のマザーシップが移動を開始しました! 予測進路は……! ここです!」

「何!? デモ隊の殺到で位置がバレたか……! 総員避難を始めろ! ここは放棄する!」

「はっ!」

 

 戦略情報部の成員である女性、少佐の言葉に彼は命令を下す。その言葉に大慌てで重要書類を運び出す隊員たちを一瞬見ると再びモニターに目を向けた。そこにはマザーシップを示す丸い印がゆっくりと動いている姿が映っていた。

 

「プライマー。お前らにとって人類など敵ではないという事か……!」

 

 彼はそう呟くと自らも準備の為に自室に向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 銀の人の指示によりプライマーの攻撃は苛烈に、そして何かを避けるようになった。2か月後にとある新人によってテレポーションシップが撃墜される頃にはゲームの時の倍以上の被害を出し大きく戦力を削がれる事になった。

 この時点で総人口の内3割弱を失いつつある人類がプライマーに勝利出来るのか? そして、滅亡は避けられるのか? 銀の人は生き残れるのか。それはまだ誰にも分からなかった。

 




テレポーションシップ撃墜ミッションの時点で約2か月経過していたのに総人口2割を失った人類が銀の人を倒してギリギリ1割で耐えたのって意外と頑張ったのかもしれないと書いていた時にふと思った。
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