そして訪れる人類の絶望
テレポーションシップの撃墜。これはゲーム通りの展開となった。先ずは戦術核により黄金の装甲を抜かれて破壊されたがその結果周辺地域は汚染された。ぶっちゃけ侵略者側に立つと核兵器などの汚染物質をまき散らす兵器は止めて欲しいと思う行為だ。何しろその分の手間がかかるうえにコロニストは汚染に弱い。だからゲームの北京でのあり得ない大敗を避けるように動いている。コロニストにとっては最悪の場所だ。
とは言え人類とて核兵器をバカスカ撃つわけにもいかない。自分たちだって住めなくなってしまうからな。プライマーを退ける代償として人類絶滅ではわりに合わないだろう。
あ、それと最近じゃコロニストに外交官らしき集団が近づいてくる事があった。勿論コロニストに真っ先に殺されているけどな。コロニストの登場が早まったせいで講和の使者も大分早く登場した結果となった。
そしてやはり主人公、ストーム1は存在するらしいな。テレポーションシップの撃墜時に確認した。ゲームだとこの後にマザーシップ撃墜作戦に参加しコロニストと初対面を行い部隊は孤立する。最初にやった時は絶望感半端なかったな。
さて……。ではそろそろストーム1には退場してもらおうか。
「おい」
「はっ!」
「奴だ。奴を殺せ。奴は我らにとって最大の脅威となる。育たぬうちに奴を殺すのだ」
「ははっ!」
いつも通りコスモノーツを呼び指示を出す。こいつらも地球への侵攻以来俺が口を出しても戸惑わなくなって来たな。いちいち困惑されるのは面倒だったから丁度良い。
「マザーシップ9周辺に敵が集まってきています」
「コロニストを下に配置せよ。そしてコスモノーツの精鋭を出せ」
「精鋭ですか? つまり……」
「親衛隊だ」
親衛隊。それは銀の人が呼び出したコスモノーツ達の事だ。ゲームでは他の奴らと大して違いはなかったがこの世界ではコスモノーツの中でも精鋭を集めた最強の部隊だ。プライマー版ストームチームと言った感じだ。違いは前線ではなく俺の護衛についている事だろう。
そんな最強の存在を投入する。それも挟み込むように。逃げ出すにはコロニストを殺すかコスモノーツを倒すしかない。しかし、今言った通り親衛隊を出すため突破は難しいだろう。特に序盤はそこまで良い武器やアーマーが手に入らない。この世界でもそうなのかは分からないが十分に対応可能だろうな。
コロニストを倒して前方突破を図る場合はマザーシップから砲撃してコロニスト事殺せばいい。親衛隊をマザーシップを中心に円状に配置すれば逃げる事は出来なくなるだろうしな。
「マザーシップ9には何時でも砲撃を出来るようにさせろ。敵が中心部に集まるようならコロニストごと殺せ」
「了解しました」
「それと親衛隊には建物の中にも気を付けるようにいえ。敵の全滅を確認するまでは細かに通信を行い互いの位置を把握するのだ。敵の残党が各個撃破を狙う可能性もあるからな」
「分かりました。その様に指示を出します」
コスモノーツはそう言うとその場を離れていった。親衛隊に早速連絡するのだろう。俺は息をつき結果が出るまで待つ。指示を出すのはいいが出すたびに人類への遠慮が消えている気がする。これはつまり銀の人側に思考が引っ張られているという事だろうな。別にそれでもかまわないと思うくらいには浸食を既に受けているのかもしれない。
EDFが行ったマザーシップ撃墜作戦。それは欧州に飛来したマザーシップナンバー9の撃破を主目的としたものだ。最初に空軍による攻撃が行われたが失敗し続いて梨状部隊による陸からの攻撃が行われる。
……予定だった。
「あ、あれは……!」
「エイリアンだぁぁぁっ!!!!」
「そんな……!」
マザーシップの中心部に無数のライディング・シップから降下していくコロニスト達。彼らはEDFを迎え撃つように陣形を整えていく。完全にこちら側の動きが読まれている状況だがだからと言って中断するわけにはいかなかった。コロニストとの戦闘経験がある日本人の隊員たちが先頭に立って攻撃を始める。
その中には後に人類を救うストーム1の姿もあった。半年近いプライマーとの戦闘を経験した彼は今や民間の警備員と呼ぶにはふさわしくない闘志を身に着けていた。
「EDF! EDF!」
「敵は武器を持っている! 離れているのは危険だ! 建物を利用しながら近づくぞ!」
「マザーシップは砲台がある! そちらにも気を配るんだ!」
ウイングダイバーやフェンサーのみならず戦車にコンバットフレームまで投入された彼らはコロニスト相手に火力で勝り徐々に追い込んでいった。そして彼らがマザーシップの影に入った時、それは起こった。
「っ! 新たなライディング・シップです! 数は先ほどの倍!」
「何だと!?」
この部隊の総指揮を執るドイツ人の少佐は部下からの報告に驚く。空を見ればマザーシップを囲むように地上に近づいてくる無数のライディング・シップの姿があった。
「奴らめ、挟み撃ちをする気か! 後方部隊! 増援に対応するんだ!」
後方部隊はコロニストとの経験がない欧州の隊員たちで構成されていたが今更前線の兵士を入れ替える事は出来ない。大佐は大量の死者を想定に入れつつ指示を出す。後方部隊には戦車やコンバットフレームもある。多少の犠牲は出ても返り討ちに出来るだろうと予測していた。
実際、コロニストであれば対処は出来ただろう。
「何だ!? あれは!?」
「ろ、ロボットか?」
「い、いや違う! あれは……」
彼らは見た。隊長と思われるコスモノーツが地上に降下してからヘルメットをかぶるのを。そこから見えた顔が生物であると。
「エイリアンだぁぁぁっ!!!!」
新たなエイリアンの出現。それはEDF隊員たちの理性を根こそぎ奪っていた。そんなEDFの隊員たちに対して親衛隊は容赦なく銃口を向け、一気に放った。
「神の仰られた通りだ……!」
親衛隊に所属する彼は歓喜に震えながらそう呟いた。彼はコスモノーツの中でもトップに近い功績を出し、若いながら親衛隊に配属となった。地球は彼が親衛隊に配属となって最初の侵略先だった。そんな彼だが最初こそ出番はなかった。それも当然である。親衛隊の役目は神の護衛である。故に神が戦場にでも行かない限りこのコマンドシップから降りる事は無いだろう。そう思っていた。
しかし、実際はこうして精鋭という事を生かして敵の殲滅に駆り出された。彼はその事に少し不満を持っていた。何しろ相手は自分たちやコロニストよりも小さい存在だ。予想以上に抵抗こそされているが十分に滅ぼせる相手という認識だった。
その為、神が言う脅威となる者が居るとは思えなかった。しかしそれもこの戦場に降り立って変わった。
自分たちが降りてきた箇所にいた敵の後方部隊と思われる者達を殲滅した彼や仲間たちはそのままコロニストを殺している敵に近づく。しかし、その途中で仲間の一人が奇襲を受けた。敵の居住地の下からショットガンを喰らい装甲を破られ肌を露出してしまったのだ。彼がいち早く迎撃に出ようとするとその時には敵の姿は無く周囲を探していると今度は彼が背中に銃弾を受けた。装甲は宇宙服ごと破壊され一番の急所が露出してしまった。
後方にいた仲間が慌てて駆け付けてくるが彼は銃を取り撃って来た方向に連射した。しかし、そこにはやはり敵の姿は無かった。だが、右から感じるなんとも言えない気配を感じ取りそこを向けばショットガンを構える敵の姿があった。姿は他の者と同じだがそこから出る気迫は親衛隊にも劣らない。きっと
そんな敵から銃弾が放たれ彼の体に風穴を開ける。紫の血が噴き出し彼の体をズタズタに破壊した。コロニストと同じように再生能力を持つコスモノーツだがそれにも限度がある。彼はその限度を軽く超えてしまったのだ。
そんな彼が最後に放った言葉は悲鳴でも、懺悔でもなく肯定。神は正しかったという歓喜であり不満を持っていたそれまでの自分の気持ちを軽く変えてくれる巨大な感情だった。
彼は目に焼き付ける。その敵の姿を。仲間たちの接近に気付き敵は再び建物の影に隠れた。彼がこの場を突破できるとは思えない。だが、もしかしたら突破するかもしれないという気持ちもあった。
「(神よ。貴方様が警戒する敵は既に我らを倒せるレベルにまで達しています。ですがそれは仲間たちも気づいたでしょう。故に、きっと自爆すら恐れずに必ず殺して見せましょう)」
彼は心の中で神に向けた言葉を言うと短い生を終えた。
マザーシップ撃墜作戦は参加者の
これを機にコスモノーツと名付けられたエイリアンが各地で目撃されるようになった。プライマーたちの地球侵略はより過激に、より濃密に行われていく事になる。
後の英雄を失った人類に勝機はあるのだろうか。
一応この世界の難易度はノーマルで考えています