【本編完結】トレセン学園の禁止リスト   作:ドクタークレフ

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警告:SCP-5640-JPおよびSCP-5034-JPはこのドキュメント内部のみで通用する特別収容プロトコルです。SCP財団公式サイトとの番号の重複は考慮しないことに留意して閲覧してください。


トレセン学園の禁止リスト
SCP-5640-JP トレセン学園の禁止リスト


SCP-5640-JP

 

アイテム番号: SCP-5640-JP

 

オブジェクトクラス:Safe

 

特別収容プロトコル:SCP-5640-JPはサイト-81__の2.0m×2.0m×2.0mの専用収容チェンバーに保管されます。専用チェンバーの中央部高さ1.0m地点にSCP-5640-JPを記録したUSBフラッシュメモリを設置してください。また、チェンバー内にはSCP-5640-JPの内容確認・記録のためにインターネット接続ができないパーソナルコンピュータを設置してください。USBフラッシュメモリ及び部屋の四隅の床面から1メートルの高さにカント計数機を設置し、収容チェンバーの中のヒューム値が2.1以上もしくは1.5Hm未満になることがないよう監視されなければなりません。Hm値の維持のため6機のスクラントン現実錨(以下SRAと記載)を設置し、最低でも4機が稼働可能な状態を維持してください。SRAを稼働させても専用チェンバー内のHm値が1.3Hmを下回る場合は、1.5Hmを上回るまで、SRAの追加配備及びシャンク/アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)の使用が許可されます。

 

SCP-5640-JPの閲覧は、1ヶ月以内に実施した忠誠度テストで120点以上のスコアを記録したクラス2以上の職員にのみ許可されます。SCP-5640-JPを閲覧したスタッフは、閲覧以降最低でも3ヶ月間にわたり定期的な精神科医のスクリーニングテストを受けなければなりません。

 

SCP-5640-JPが新たに確認された場合であっても、SCP-5640-JPの自己収容性により追加の収容は必要ありませんが、市民向けにカバーストーリー『競馬ファンの創作』を実行してください。

 

SCP-5640-JPの更新イベントが発生した場合、収容チェンバー内のコンピュータよりその内容を確認し本報告書に記録してください。チェンバー外部で状況を記録することは無意味であり許可されません。

 

 

説明:完全な記録はSCP-5640-JP収容チェンバー内部の端末に保存されており、それ以外の場所では閲覧できません。完全な記録の閲覧を希望する場合は阿佐谷研究員にコンタクトしてください。O5評議会および実験委員会通達により、閲覧は制限されています。

 

以下に簡易的な説明を記載します。

 

SCP-5640-JPは『トレセン学園の禁止リスト』と題されたテキスト群です。

 

SCP-5640-JPは東京都府中市の競馬場内に存在すると思われる要注意団体『トレセン学園』こと『日本___トレーニングセンター学園』内部で発生した異常事態を無秩序に羅列したと思われる内容が記載されており、その形態は紙、電子を問いません。内容は随時更新されており、収容状態にあるSCP-5640-JPにおいても不明な手段で更新が実施されます。しかしながら固有名詞等については自動的に情報が削除された状況で更新されます。この更新を捉える試みは全て失敗しています。5640-JP-035実験においてSCP-5640-JPを含む空間のヒューム値が1.2Hm以上かつ2.1未満の状況において、固有名詞の消失現象が防げることが確認され、現在の特別収容プロトコルに改訂されました。改訂前の特別収容プロトコルは以下の通りです。

特別収容プロトコル:紙媒体もしくはUSBフラッシュメモリ等に保存されたSCP-5640-JPは内部映像記録装置を備えた低脅威度アイテム収容ロッカーに保管してください。ウェブ媒体上においては専用ウェブクローラ“ダイフク様”が常時インターネット上を巡回しており、SCP-5640-JPの公開が確認された場合はカバーストーリー『違法アップロード』が適応され、自動的に削除されます。

 

固有名詞が記載されたSCP-5640-JPは弱いミーム効果を有しており、___と呼ばれる人型実体(以下SCP-5640-JP-1と呼称)が実在するという幻想を抱きます。これは閲読した人物もしくはSCP-5640-JPのヒューム値が1.2Hm以下になると自然に解消されます。ヒューム値が1.2Hmを超える状況を恒常的に維持している空間、施設は地球上でも数十か所しかなく、財団の管理下もしくは監視下にあること、一般人が恒常的に1.2Hm以上の空間に所在するとは考えにくいことから、SCP-5640-JPは自己収容状態にあると判断されます(詳細は補遺5640-JP-2:5640-JP-035実験後ブリーフィングを参照)。

 

このリストの存在は____/__/__カオス・インサージェンシーとの戦闘(詳細については『インシデントレポート-4DA36F98』を参照)の際に同団体の拠点より電子データとして回収したものです。競馬場内に存在すると推測される『トレセン学園』にまつわる現状唯一の物的証拠ですが、トレセン学園とカオス・インサージェンシーの関係性は不明です。

 


 

補遺5640-JP-1:以下はカオス・インサージェンシーから回収したSCP-5640-JPに関すると思われる記録です。

DELTA COMMAND EYES ONLY

 

DeCIROカタログナンバー: SC-21/521-22/865

 

ドキュメント・タイプ:ステップ・コンビレーション

 

受理された日付:2/24/2021-10/21/2022

 

作戦状態:クローズド

 

序文:オペレーション・キャロット&スティックの成功を考えるに、我々が提供したリソースを元に日本___トレーニングセンター学園は彼女たちが望まない形での収容状況から脱したと考えられる。それを唯一の希望とし、作戦の完了と本ステップの完了を宣言する。

 

我々デルタコマンド、ひいてはカオス・インサージェンシーの理念とは、財団の影として、正常性という檻の外側に人類と世界を誘い、正常性からもたらされる停滞と、その果てに生み出されるであろう緩慢な死から逃れる事にある。そのことを忘れてはならず、そのために何をするべきかを忘れてはならない。正常性の先にある未確定の未来のさらに先で、苦難と希望をつかめることを。そしてそのための糧として我らの屍があり、我らの未来があると信ずる。

 

以下に我々デルタコマンドはエンジニアによって書き写されたプランのステップを記録する。

 

1.ステップ21/521

日本___トレーニングセンター学園の理事長よりコンタクトあり。___の保護のための戦力提供を引き換えに、財団がSCP-2000と呼称するアイテムの完全なドキュメントをはじめとした複数の情報提供を受ける。また、トレセン学園で保護していた___のうち未解明の能力を持った者たちの情報リストの提供を受ける。同時に財団が協力な反ミーム的性質をもった生物を放ったことを確認した。

デルタコマンドはベータクラスを指揮官とする回収部隊の投入を指示、必要リソースは逐次投入されるが、回収後ベータクラスはその内容を報告せねばならない。

DeCIROカタログナンバー:POR-21/521-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付:2/25/2021

著者:戸坂リーダー

結果報告書:トレセン学園側で_________の保護に成功した直後、対象の確保を開始。_____1体の確保に成功しました。その課程で財団管理と思しき収容施設とその警備担当と遭遇し、突発的な戦闘に発展しました。ガンマエージェント2名が負傷したものの、施設の制圧に成功し、収容されていたトレセン学園の生徒と思われる_________を確認し、ステップにはありませんでしたが保護し、トレセン学園に引き渡しました。

 

2.ステップ21/526

確保した_____(以下『サメ』と呼称)の解析を指示。

 

3.ステップ21/601

『サメ』の一時報告を受け、カウンターアイテムの作成を指示。

 

4.ステップ22/023

カウンターアイテムの試験運用開始。

DeCIROカタログナンバー:FR-22/023-001

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付:1/7/2022

著者:池端研究員

結果報告書:ビデオテープの形でミーム効果を仕込むことは概ね成功と言えるでしょう。ビデオテープを閲覧した人間は、『サメ』が___という概念を喰らった後であっても___のことを理解し、受け入れられることを確認しました。これにより彼女たちの言うトレーナーが壊滅することによる種の絶滅を防ぐ最低限の防衛ラインを守ることができると思われます。一方で流通にコストが掛かることが問題ですが、資金の投下で解決できることです。クライアントとコミュニケーションを要求します。

 

4.ステップ22/154

カウンターアイテムの正式運用開始。

 

5.ステップ22/356

『サメ』が___の概念を捕食したとの報告を受ける。カウンターアイテムを使用した者以外、トレセン学園及び___を認知できなくなったと思われる。オペレーション・キャロット&スティックの正式発動を指示。財団支配下にあった___関連施設の開放、接収を指示。

DeCIROカタログナンバー:POR-22/356-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付:2/5/2022

著者:戸坂リーダー

結果報告書:作戦領域にある施設の職員は収容対象であった___のことを認識できず、自らの職務を忘れただの空の箱を守っているに過ぎない状況でした。戸坂班は対象内の財団施設3カ所を無血開放することに成功し___78名を保護、トレセン学園に引き渡した後、当該施設を爆破処理しました。爆破処理時に自動送信されたであろう救援信号を受けとったと思われる財団の機動部隊も___収容施設を認識出来ないありさまです。本日だけで財団日本支部のすでに二割が機能不全に陥ったものと予測されます。

 

6.ステップ22/423

京都レース場にて『サメ』との大規模戦闘が発生。直後財団機動部隊と思しき集団も突入してきたため、ガニメデプロシージャを発動するよう指示した。

DeCIROカタログナンバー:POR-22/423-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付:4/24/2022

著者:赤松リーダー

結果報告書:財団は___を認識出来ないというよりは、サメの『手下』として捉えているようです。結果的に無事でしたが奴らは無辜の民に銃を乱射し、危害を加えようとしたことに怒りを覚えています。一方でガニメデプロシージャの実行により、一時的にではあるものの、強制的に財団に現実を認識させることに成功しました。1個機動部隊が投降し、彼らとの取引の結果、複数の財団拠点のありかを確保することができました。

 

7.ステップ22/865

財団に拠点の襲撃を受けた際に、トレセン学園理事長より、財団に最後のチャンスを与えてはどうかとの提案があった。エンジニアはそれを受け入れ、オペレーション・キャロット&スティックの終了を早めるよう指示。理事長の要望により、情報リストの写しを放棄し、本ステップをもってクローズとする。

 


 

補遺5640-JP-2:5640-JP-035実験後ブリーフィング抜粋

以下は5640-JP-034実験の後に実施したブリーフィングを書き出したものです。ブリーフィングは担当研究員の希望によって行われ、SRA稼働中の特別収容室にて実施された。

(記録開始)

コルト管理官:あなたのヒアリングを担当するサイト-81司令部所属のヘーゼル・コルトです。まずは、あなたの所属と名前から。……そういう手続きになってるので。

阿佐谷研究員:サイト-81__所属研究員の阿佐谷です。SCP-5640-JPの担当をしています。

コルト管理官:OK。それで、あなたがここに引きこもった訳とその結果何が分かったのか聞かせて頂戴。

(コルト管理官は財団支給のタブレットのメモ機能を起動する)

阿佐谷研究員:コルト管理官は___という概念をご存じですか?

コルト管理官:いいえ。

阿佐谷研究員:SCP-5640-JPはその存在についての記録文書でした。その実体をSCP-5640-JP-1と呼称するならば、自動的に消された固有名詞はそのSCP-5640-JP-1の個体名、もしくはそれに類するものの記載であると考えられます。……あぁ失礼ですが、メモも音声録音も無意味です。SCP-5640-JP-1の概念についての情報は、ヒューム値が1.1Hm以下になった途端に文字列ならば塗りつぶされ、音声ならばノイズに代わり、記憶ならば失われます。わかりますか?

コルト管理官:それは電子媒体や紙媒体を含めて?

阿佐谷研究員:確認できた範囲では例外なく。SCP-5640-JPのコピーを財団のサンドボックス環境においても同様の症状になったため、おそらくは、記録媒体の設置場所のヒューム値が下がった瞬間に塗りつぶされていると考えられます。

(コルト管理官は財団支給のタブレットの電源ボタンを押し、画面を消す)

コルト管理官:いいわ。信じましょう。あなたは優秀だとあなたの上司からも報告されています。それで、その___……

阿佐谷研究員:SCP-5640-JP-1です。そう呼ばないと情報が揮発してしまう可能性が高い。

コルト管理官:……SCP-5640-JP-1という概念を覚えていられなくなると判明している情報をあなたがここで持ち出すのは、それが特別収容プロトコルに影響するから?

阿佐谷研究員:それも理由の一つです。SCP-5640-JPは当初カオス・インサージェンシーから回収した『勝手に追記されるデータ型のAnomalousアイテム』として収容されましたが、そんなちゃちなものではないことを、管理官なら理解できるはずです。これは、財団が理解できない概念であるSCP-5640-JP-1についての情報であり、我々はこれを理解しなければならない。理解するためにはSCP-5640-JPを通常のヒューム値の領域に置いてはいけない。

コルト管理官:いいでしょう。SRAの使用を前提とした内容を組み直してください。それまでSRAは稼働状態で問題ありませんし、籠もって作業して良いわ。……SCP-5640-JP-1の概念に触れなければ記憶やメモは問題ない?

阿佐谷研究員:はい。

コルト管理官:いいわ。続けて頂戴。まだ理由があるわね?

(阿佐谷研究員は言いよどむようなしぐさを見せ12秒間沈黙した)

阿佐谷研究員:私がミーム効果の影響下にある前提で聞いてください。あなたにSCP-5640-JPを見せていないのはあなたに私の言い分を正常に判断してもらうためです。

コルト管理官:えぇ、わかったわ。続けて。

(阿佐谷研究員はさらに数秒間沈黙)

阿佐谷研究員:SCP-5640-JPに異常性はありません。

コルト管理官:……続けなさい。

阿佐谷研究員:おそらくはスクラントン現実錨で守れた実験室だけが真実を反映している空間であると考えられます。すなわち、SCP-5640-JP-1が持つ概念を喰う"なにか"があり、それはヒューム値が1.2Hmを超えると手を出せなくなると考える方がSCP-5640-JPそのものが異常であると捉えるより合理的です。

コルト管理官:私はミーム学に詳しくないの。わかりやすく説明して頂戴。

阿佐谷研究員:現実改変効果とはヒューム値が高いものが低いものに現実を押し付ける効果です。SCP-5640-JPの周囲のヒューム値を上げると固有名詞の消失現象が解除されるなら、SCP-5640-JPに現実を押し付けている何かが存在することになります。

(8秒間の沈黙、阿佐谷研究員のため息のようなノイズが記録された)

阿佐谷研究員:つまり我々はSCP-5640-JP-1という存在を知っていた。それがいることが当たり前の世界に生きていた。それが不都合な何者かが存在し、隠蔽している可能性があります。

コルト管理官:……そして、あなたは、それが財団によるものではないかと疑っている?

(阿佐谷研究員はため息をついた)

阿佐谷研究員:財団であるとは限りません。ただ、財団も感知できないなにか、もしくは、感知した事実すら改竄する何かが間違いなく"そこ"に存在します。

コルト管理官:その存在に心当たりは?

(14秒間の沈黙)

阿佐谷研究員:SCP-5034-JP。

(記録終了)

 


 

補遺5640-JP-3:

____/__/__、SCP-5640-JPに対する追加実験に関する請求が行われました。

SCP-5640-JPに関する研究は、SCP-5034-JP封じ込めに関わる障害となる可能性が指摘された。SCP-5034-JPの解決まで新たな研究は凍結される。以降は内容の記録にとどめるように。

我々は正義の味方でも、万軍の主でもない。

確保・収容・保護

O5-1




お世話になっております。作者のドクタークレフです。

今回投稿分をもって、投稿を一区切りとさせていただければと思います。
とはいえ、ネタが貯まったらまた追記のようにふらっと更新するかもしれませんが、これにて一旦は完結ということで、ご理解ください。

この作品、「まぁ、読者がつかなければ数話でエタってもいいかぁ」みたいな軽いノリではじめてしまいました。白状するとシリアスゴルシのTale.なんて、Tale投稿開始4日前まで影も形もなく、サメの件もSPCと打ち間違えたせいで発生したものです。この調子だと作品のテンションの落差で風邪を引きそうなのもあって、いったんここで区切りとします。

ここまで読んでくださった全ての読者に感謝を。読んでくださった皆さま、評価・感想をくださっていた皆さまのおかげでなんとかここまでこれました。

ほぼだらだらと日常を垂れ流すアカウントではありますが、禁止リストの更新情報や別の作品を書くときはこちらのTwitterで告知等行えればと思います。

またいつか、というほど遠くない未来にまた作品を書くことを自分自身に祈りつつ、一旦ここで筆を置かせて頂きます。

皆さま、本当にありがとうございました。

ドクタークレフ
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