オラリオの喧嘩屋 作:アイズに膝枕されたい侍
「それではまた来ますね」
「うん、ベル君もあまり無理しないように」
「あ、あはは。分かりました」
冒険者登録も終わりギルドから出る時にそんな会話をする兎。
それに対して俺のアドバイザーときたら、
「……っ」
俺が目を向けるだけで体をビクッとさせるだけ。
「……また来るぞ」
「は、はい。お、お待ちしておりますです…はい……」
変な語尾。来て欲しくないのが見え見えだ。
「はぁ……おい兎。行くぞ」
「あ、はい!それじゃエイナさん、また!」
「あ、うん」
先歩く俺に小走りで追いついてきた兎。
さて、の後は、
「刀取りに行くか」
そういえば忘れてきてたんだった。
兎も兎で代金払ってないみたいだしちょうどいいか。
「すみませんでしたァ!」
勢いよく頭を下げる兎。
その兎の目の前には昔とは打って変わってBBAになった豊穣の女主人店主の"ミア・グランド"がいた。
「こちら代金です」
「ふむ……まあよしとしようか。こうやってちゃんと金を持ってきて謝られちゃ責める気にもならないしね」
俺をチラッとみたBBAはそんなことを言った。
ここで無理に詰め寄って俺の機嫌を損ねるのは良くない、なんて考えもあっただろうがこいつは元々しっかり筋通していたらそこまで詰め寄ることなんてしないやつだからな。
そんなことはさておきだ。
「おい、さっさと刀返せよ」
「忘れていった貴方の責任でしょう?頼み方ってのがあるんじゃないんでしょうか?」
「この長耳が……削ぎ落とすぞ?」
生真面目エルフが一向に刀を返してくれん。
この野郎が……昔から俺に食ってかかってきやがって。
「できるものならどうぞ」
「ああ?」
「まあまあ落ち着いてください。リューもよ?」
そんな俺たちの間に入ってきた銀髪のねーちゃん。確か、"シル・フローヴァ"といった名前だった気がする。
「久しぶりに愛しのカグラさんに会えて嬉しいのは分かるけどあんまりイチャイチャしないこと」
「な!?何を言っているんですかシル!イチャイチャなんて私は……」
「今日のリューは生き生きしてるニャ」
「表情が柔らかいニャ」
「そ、そんなわけ…!」
銀髪のねーちゃんの言葉で赤面する生真面目エルフ。それに追撃とばかりに茶髪と黒髪の
ふむ、確かにこう見ると昔に比べて表情も柔らかいような……いや、気のせいか。
「あ、はい。こちらカグラさんの刀です」
「あん?おお、サンキューな。どこかのアホエルフとは違って優しいじゃねーの」
「相変わらず貴方は一言余計です」
銀髪のねーちゃんが刀を持ってきてくれていたみたいだ。
うんうんこの生真面目エルフもここまで素直だったら可愛げがあるんだがな。
そんなことを思いつつ刀をもらおうと、
「……」
「……?どうかしましたか?」
「……いや、なんでもねえ」
思わず銀髪のねーちゃんの目を見つめてしまった。
なんだろうか。何か違和感を感じたのは気のせいか。とりあえず、それを考えるのは後にしよう。
刀を受け取り腰に差す。今や腰に差してないと落ち着かないからな。
「それにしても、武器使うようになったのですね」
「使うって点じゃ昔から使ってたけどな。ただ、今は刀にハマってるってだけだ」
「そうですか」
そう言って生真面目エルフは腰に差した刀に目を向けた。
昔に比べて距離感が近いような。まあいいか。
「ところで他のアホ共は元気してんのかよ」
「ええ、それはもう。昨日もあなたのこと話したら会いたいと言っていましたよ」
「あっそ。いつか遊びに行くって伝えとけ」
「分かりました」
そういうと生真面目エルフは踵を返し厨房へと戻って行った。仕事か。
そんなことを思っていたら、生真面目エルフは足を止め、
「カグラ」
「あ?」
「……また会えて嬉しいです。……では」
顔はこっちに向けては来なかったがそう言う生真面目エルフの特徴的な耳は赤かった。
そして、足早に奥へと消えていく。ちょっと可愛いと思ったのは絶対に本人に言わない。
「よし、要件も済んだし帰るぞ兎」
「え、あ、はい!」
「BBAも、また食いに来るわ」
「……もう来ないで欲しいんだけどね。まあいいさ。来たなら来たで金使うんだよ」
「そんじゃそれ相応のうめえ飯食わせろよー」
そんなことを言いつつ俺は兎と一緒に外へ出た。
さて、今日は何をしようかな。
次回から第2章突入!みたいな?
感想、評価待ってますね。