第1話 再び、みんなと。
社長になってから数ヶ月、高校のシステム点検に向かった。システム点検の仕組みとしては、俺が学校の端末にUSBを差し込み、会社にいる社員が点検を行う。ざっと1つあたり10分ほどで終わる。
宮益坂女子学園が今回の場所だ。予定だと1週間にわたって作業を行う。
学園の中に入ると、聞き覚えのある声が聞こえた。志歩の声だ。
「志歩?」
「柊くん!?」
志歩は俺に驚いていた。
「なんでここに居るの!」
「システム点検でさ。志歩ってこの学校だったんだな」
志歩は1人でブツブツ呟いていたが、俺が聞くとすぐ答えた。
「一歌もこの学校か?」
「うん。今頃焼きそばパン買ってると思う」
焼きそばパンかよ。確かに昼頃だけど、そこまでして焼きそばパンが食いたいか。
「ありがと。じゃあちょっと会いに行ってみるかぁ」
俺は仕事を始める前に購買に行って一歌と会った。
「やっほ、一歌」
「ん!?はんへいうほ!(え!?なんでいるの!)」
焼きそばパンを咥えたまま言った。
「仕事でね。さっき志歩に会って、一歌にも会いたいなーって思って」
「そうだったんだ。あ、昼休み、中庭に来れる?」
「え?まぁ、仕事が終わったら」
「じゃあ来てっ」
一歌は焼きそばパンを食べながら歩いていった。何だったんだろう……
5分で終わらせて、俺はさっさと中庭に向かった。中庭には穂波、志歩、咲希、一歌が座っていた。
「どうしたんだ」
「あともう1人見せてあげようって」
一歌はホログラムのミクを出した。本物みたいだな。
「柊くんだ!久しぶり!」
「久しぶり、ミク」
ミクは俺に手を振った。
「仕事順調?」
「順調だよ」
「順調なんだ。だから今日も?」
「そう」
ミクはかわいく微笑んだ。
「柊くん、セカイにいるときと髪型違うんだね」
一歌が俺の髪を見て言った。
「あぁ。少し髪型変えたんだ」
「かっこよくなったね」
ミクが言った。そのあと、一歌も言った。
「うん。かっこいい」
「そりゃどうも」
一歌は次々と話した。会えてうれしいのかな。
「こっちでもバンド手伝ってくれる?」
「一歌たちがいいんだったら」
一歌はかなり喜んでいた。もちろん、お互いに時間がある時だけだが、できるんだったらやってもいい。
「柊くんは何か楽器やってるの?」
穂波が聞いた。
「中学の時は吹奏楽やってて、高校ではエレキギターとベースをやってた」
みんなは意外だったのか、驚いていた。
「ギターやってたの!?」
「アコギもエレキも両方な」
アコギはそんなに長くはやってなかったけど。
「柊くん、今度ベース弾いてよ」
「考えとく」
俺が志歩に言うと、志歩はすんなりと言った。
「今日私の家ね」
「あぁ、分かった──ん?」
いやちょっとまて、さっき、「私の家」って言ったか?しかも今日?
「ちょ、ちょっとシステム点検行ってくる」
その場を離れたが、恐らく待ってるんだろうなぁ、志歩が。
案の定、放課後の時間になると、志歩はみんなと一緒に校門で待っていた。
「柊くん、行くよ」
俺は言われるがままに志歩たちについていった。
「志歩ちゃんが柊くんを家に連れ込むなんて~」
咲希が冷やかすように言った。
「べっ、別にただベースを弾いてもらいたいだけ……」
そんなに俺を嫌がるように言うなよ……
「そういえば、志歩って姉がいるんだっけ?」
「うん。あ、家に帰ったらうるさいかも」
どんな姉だよ……
「今度は私にもギター聴かせてね」
「あぁ。いつか、な」
俺は志歩についていき、家まで行った。