俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第11話 夜の星 流星

 「上手くいかないーっ!」

 

咲希の声で練習が始まった気がする。

 

「練習だな」

「うぅ……」

「がんばろ?咲希ちゃん」

 

もう少しなんだけどなぁ。なんでできないかな。

 

「咲希、体勢変えてみたらどうだ」

「どういう風に?」

「重心を真ん中に移す」

 

そして練習を再開する。さっきまでできていなかったところもできて、次に進んでいった。

 

 2時間くらい経っただろうか。そろそろ疲れてきたのもあって、俺はみんなに呼びかけた。

 

「休憩するぞー」

「うん!いっちゃん、外行ってみよ!」

「うん。志歩と穂波も行こ」

「うん、志歩ちゃん、行ってみよ?」

「みんなが行くんだったら……」

 

4人は外に飛び出していった。俺は中からみんなの様子を見ていた。こうしていると、本当の先生みたいに思えてくる。

 

「元気だなぁ……」

 

俺は呟いた。外から一歌と穂波が俺を呼んでいるのが見え、俺も外に出ていった。

 

「どうした」

「柊くんも一緒に遊ばないかなーって」

 

穂波が言った。

 

「みんなで鬼ごっこしようよ!」

「子どもっぽくない?」

 

苦笑いして志歩が言った。

 

「いいのっ」

「ま、咲希がいいんだったらいいけど」

「私もいいよ」

「私も。柊くんは?」

「俺もいいよ。あ、じゃあ鬼になった人はこれつけて」

 

俺は会社の空き時間に作ったバンドを配った。

 

「赤のやつが穂波、青が一歌、黄色が咲希で、黄緑が志歩ね」

「すっごーい!星がある!」

「ホントだ」

 

1週間くらいかけて5人分作った。それぞれの色で薄く星をかいた。ゴムでできていて、そう簡単に塗装も消えないようになっている。あとは、会社らしく中にマイクロGPSが入っている。

 

「鬼じゃないときにはポケットに入れといて」

「じゃあ、最初私鬼ねっ!」

 

咲希は早速バンドを手首に付けた。

 

「10、9、8」

 

俺たちは一斉に逃げ始める。

 

「柊くん、どこか隠れやすいところない?」

 

穂波が聞いてきた。

 

「ここを降りたところにある洞窟じゃないかな。狭いけど」

「とりあえずそこ行ってみよう」

 

俺と穂波は洞窟に向けて走った。

洞窟は2人入れればいいレベル。俺は穂波とその中に入った。

 

「狭いね、ここ」

 

穂波と俺が密着している。柔らかい何かが当たっている。

 

「そうだな……」

 

胸だ。やけに大きい。本当に高校生か?

 

「なんか、こうしてるの初めてだね」

「そうだな。穂波とはこうやってしないもんな」

 

会話が上手くいかない。

 

「あっ……」

「……気にしないでくれ」

 

穂波も胸に気付いたようだった。咲希、早く見つけてくれ。

 

「柊くん……恥ずかしいよ……」

「ごめん……」

 

俺たちが顔を紅くしていると、物音が聞こえた。咲希が来たんだろう。

 

「みーつけた──」

 

咲希は口を開けたまま立ちすくんでいた。

 

「咲希ちゃん、引っ張ってくれる?」

「あ、うん」

 

咲希は穂波の手を引っ張る。胸が俺につっかえていたが、ぷるんと反動をつけて穂波が抜けた。

 

「ふぅ……」

 

俺も洞窟から抜け出した。

 

「柊くん……ごめんね」

「あ、いや、大丈夫……」

 

穂波、胸大きすぎるだろ……

 

 鬼ごっこが終わり、穂波と俺の距離がなぜか近くなったが、練習が再開された。

 

「鬼ごっこで逃げてるときに、開けてるところあったんだけど」

 

一歌が言いだした。

 

「星がよく見えそうだったよ」

「そこ行こう!今夜」

 

咲希が手を挙げて言った。

 

「そうしようか」

 

9月だと流星群はないか……

 

「しし座流星群っていつだっけ?」

『11月』

 

俺と志歩が同時に言った。俺と志歩は見合って、2人で笑った。

 

「じゃあ、そのためにも練習しようか。みんな調子良さそうだし」

「うん。このままいこう」

 

俺たち5人は再び練習を再開させた。

 

 気がつくともう20時過ぎだった。外はもう真っ暗で、星を見るには丁度いいだろう。

 

「みんな、一歌が言ってたところに行こう」

「あっ、私が案内する」

 

一歌は俺たちの前を歩いていく。そうすると、志歩が少し不安になるか。1番後ろで1人だと。

 

「志歩、行くよ」

「っ!」

 

志歩は驚いた表情で俺を見た。

 

「志歩は仲間だから。ね、みんな」

「うん!志歩ちゃん、行こ!」

「みんな……」

 

志歩はそう言ってから笑った。

 

「ふふっ、分かった。行く」

 

志歩は俺たちのすぐ横に来た。

 

「みんな、ついてきてる?」

「ついて行ってるよ」

 

穂波が言った。一歌の後を4人で歩いていく。

 

 一歌が俺たちの方を振り向くと、一歌は俺たちに言った。

 

「ここがその場所だよ」

 

空を見ると、満点の星空が広がっていた。どこを見ても星が広がっていて、綺麗。この一言に限る。

 

「みんなで仰向けになって見ようよ!」

 

咲希が仰向けになって言った。

 

「いいね」

 

穂波が続いて仰向けになる。

 

「俺たちもそうしよう」

 

俺がそう言うと、一歌と志歩が俺と一緒に仰向けになった。

 

「綺麗だね……」

「あぁ……」

 

これが夜の星なんだな。

スターナイト。これが本当のスターナイトなんだろう。

 

「11月だったらね」

「なんで?」

「しし座流星群だろ」

 

咲希がきょとんとした顔からハッとした顔に変わった。俺と志歩はそれが面白くて笑ってしまう。

 

「もう!なんで2人して笑うの?」

「ごめん、咲希。顔が変わったのが面白くて」

 

志歩が笑いながら説明した。咲希が口をとがらせると、一歌と穂波も笑い始め、それにつられて咲希が笑って、最終的にはみんなが笑ってしまった。

 

「あっ、流れ星!」

「えっ、どこ」

 

みんなが探し始める。

 

「ほら!」

 

咲希がそう言うと、確かに流れ星が流れていた。

 

「ホントだ……」

「俺たちを応援してるみたいだな」

「うん……」

 

流れ星は30秒に1回ほどの頻度で流れていた。数が多かったが、みんな飽きずに、ずっと見ていた。

 

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