風呂から上がり、ログハウスに戻ると、俺たちは練習はせずに寝室に向かった。さすがに風呂に入ってから練習はしない。というより、ベースが心配だ。指で弾くわけだから、剥けやすい。
「もう入っちゃおーっと」
咲希が布団に入った。早いな。
「まだ7時だよ?」
「私も入ろっかな」
「あ、じゃあ俺も」
一歌に続くように言った。今日は一歌と同じ布団。一歌が一緒がいいって言ったのもあるし、俺が一緒に寝たいのもある。
「咲希って結構子どもっぽかったりするか?」
「えーっ?ないよぉ」
「ちょっとはあるでしょ」
志歩がすかさず突っ込む。
「ホントに?」
「多分?」
「リンっぽいもんな」
リン。うん。イメージが近い。
「リンはなんか最近の女子高生って感じかな」
「同じような感じだけどね」
穂波も言った。
「咲希ちゃん、悪い意味じゃないよ?」
「だといいけどっ」
咲希が頬を膨らませた。それを一歌がふふっと笑った。それに続いて、俺と志歩、穂波も笑い始めた。
「君らといると楽しいな」
「ずっと笑顔だもんね」
一歌が少し俺に寄った気がした。みんなと俺が話してるからヤキモチかな?かわいい子だなぁ。もう少しもてあそぼうかな?
「穂波はドラムやってて困ったことあるか?」
「困ったことっていうか、大きな音に驚かなくなったかな」
「それっていいことなのかな」
咲希が言った。たしかにいいことではないかもしれない。
「それより、穂波って怖い物があんまりなさそうなんだけど」
志歩が言う。
「そんなことないよ?あ、柊くんはなんか怖い物ある?」
「俺?俺はあんまりないかな。あ、けどお化け屋敷は苦手かな」
「へぇ、なんか意外」
志歩が興味深そうに言った。穂波も頷いていた。
「お化け屋敷、平気そうに入りそうだけど」
咲希が言った。正反対のことだな。
「リアクションはしない。放心状態になるから」
「放心状態になったら出るまでずっと?」
穂波が俺に少し近づいて言った。穂波はうつ伏せで顔をこっちに向けている。みんなそんな体勢だけど。
「ずっとだね。というか出てもそのままなことある」
「ふーん、一歌のことエスコートしそうだったのに」
志歩が一歌を見て言った。
「え、私を?」
「いやぁ、できなかったな。お化け屋敷は頑張れ。俺は入れないから」
一歌は少し話したけど足りなかったらしく、またくっついた。今度は俺の服を少し引っ張っていた。かわいい……
「あ、みんな飲み物いる?夜の話って盛り上がるでしょ?」
「あ、私も行く!」
「私も行こっかな」
「あ、じゃあ俺も」
「えっ、じゃあ、私も」
4人が布団から出てきた。5人で用意されていた飲み物を取りにキッチンへ。
冷蔵庫の中には4日分にちょうどいい飲み物と調味料が入っていた。飲み物は未開封のオレンジジュース、アルコール度数の低い酒、炭酸飲料、お茶。調味料は醤油など。
「何飲もっかな~」
「無難にオレンジジュースとか?あ、柊くんはお酒の方が良いかな」
「あ、俺お酒ダメなんだよ。君らを襲ってもいいんだったら別だけど」
「じゃあダメだね」
穂波がきっぱり言った。
「俺はみんなに合わせよっかな」
「じゃあオレンジジュースにしようか?」
「いいね!志歩ちゃんといっちゃんは?」
「私もいいよ。一歌は」
「え、あ、私もいいよ」
一歌は俺の方をずっと見ていた。俺からは少し距離をとってたけど。
「じゃあ、いこっか」
俺たちは寝室に戻った。
一歌は俺の後ろで咲希と話していたが、たまに視線を感じた。