俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第18話 ライブ前日

 

 俺は練習場所に行って、今までで決まったことを報告した。

 

「時間は2時間程度とって、曲数はそれに合わせて」

「柊くんが場所を取ってくれたから、ワンマンライブに変更。値段は1人1000円で」

 

俺は値段配分の表をみんなに配った。全部で2枚の表紙を含めた3ページ。

 

「2ページを開いて。まず、ステージ貸切で10万円、フェンス等の利用料で4万円、臨時交通機関確保で20万円、CM料で15万円、ポスター掲示で3万円、その他は各自で見てもらう物として、その他合計25万円。総額77万円」

 

一歌が電卓で計算して、何人来ればいいかを算出した。

 

「770人来れば均衡状態、それ以下だと赤字、それ以上だと黒字」

 

770人はまぁいけると思う。結構広いから収容人数は3500人はいける。今回は観客同士の距離を保つため、収容人数を3400人で設定した。

 

「じゃあ、曲を決めようか。あと、最後にアンケート結果に基づいたコラボ演奏もあるから、曲は弾けるようにね」

『はい!』

 

全員が返事をして、今日は練習に移った。

 

 もう全てが決まった。STAR NIGHTは6曲用意、Leo/needは5曲用意した。俺はSTAR NIGHTと一緒に練習した。6曲のうち、全てが4~5分で構成されている。

 

「あうぅ……」

「なんだ、海斗」

 

海斗が唸った。

 

「咲希ちゃんに会いたいんだよぉ……」

「あ、俺もほなちゃんに会いたい……」

「あぁ、俺も志歩に……」

「一歌……」

 

練習がままならない。みんなLeo/needのメンバーが好きすぎて、いないといけないらしい。

 

「呼ぶか」

「あぁ」

 

魁はLeo/need全員に連絡をした。魁は少し話すと、すぐにこっちを向いた。

 

「来るって?」

「2分以内に」

 

早いなぁ……

 

「俺たちは練習してようか」

 

俺たちは少し練習をした。

言っていたとおり、2分以内に一歌たちは来た。部屋に入るなりみんな自分のパートのところに駆け寄った。

 

「一歌、会いたかった」

「私もっ」

 

結局、バンドごとで練習するはずがみんな集まって練習になった。

 

 俺たちは3時間程練習したあと、みんなで休んだ。どっちも全曲練習したため、指や腕が疲れ果てていた。

 

「柊くん、疲れた……」

「焼きそばパン食べるか?」

「うん……」

 

一歌は焼きそばパンを食べる。俺も一緒に食べていた。

 

「あと30分休もうか」

 

一歌は焼きそばパンを咥えたまま俺の隣に来た。一方、俺と一歌以外もみんな横になったりしてくつろいでいた。

 

 俺たちの休憩が終わると、楽器を持ち始める。手の力も入らない人が多く、手を何回も柔軟していた。

 

「あ、私たちの前回のライブ、反応どうかな」

「あーっ!気になる!」

 

一歌と咲希が言った。志歩と穂波も寄っていって、みんな一歌の携帯を見る。

 

「俺たちは……な」

「あぁ」

 

活動休止した理由なんて、公にしてるのは建前だ。言ってしまえば、「猫を被っていた」。

 

「今回はどうなるか、だよな」

 

龍夜が俺たちの方を向いて暗そうに言った。

 

「大丈夫、きっとうまくいく」

 

海斗が励ます。ただ、海斗だって分かっていた。

またそうなるかもしれない。活動休止までなるかもしれない。

全員が知っている。このバンドの、全員が知っている。ただ、それでも今回はライブをやるんだ。

 

 ライブ前夜。

俺は自宅でギターの手入れをしていた。

 

(明日か……)

 

また、コメントで言われるのだろうか。

 

〈別にそんな上手くなくね?〉

〈こんなんでバンド組んでんの?〉

〈バンド業界舐めすぎ 笑 〉

〈バンド業界舐めんな〉

〈他のバンドの方がいいや〉

〈聞いてても苦しい〉

〈というか吐き気〉

 

活動休止前最後のライブで書かれたコメントの一部だ。

 

「……っ」

 

またこうなるのか、あるいはもうこんなことにはならないのか……

 

(まだ、バンドを続けたい……)

 

そう思っていると、TwitterのSTAR NIGHT公式アカウントにDMが来た。

 

〈ついに明日ですよね!結成当初からのファンです!絶対行きます。応援してますね!〉

 

励ましのコメントだ。

なんだろう、少し鳥肌が立つ。いつ以来だろう、こんな励ましのコメントを貰ったのは。

 

〈ありがとうございます!明日のライブ、大成功させますので、楽しみにしていてくださいね Guitar担当月島柊〉

 

他のメンバーからも返信が来る。

 

〈ありがとう!励ましのコメント嬉しい!楽しみにしててね! keyboard担当犀山海斗〉

〈励ましのコメントありがとうございます。4人で全力でやるので、楽しみにしていてくださいね bass担当幸山魁〉

〈明日のライブ楽しみにしててくださいね!全力で演奏します! drum担当春先龍夜〉

 

そして、DMを送ってくれた人からも返信が来る。

 

〈みなさんからコメントありがとうございます!楽しみにしてますね!〉

 

明日が、俺たちの復帰ライブになる。

どんなことになるかは分からないが、このような観客も中にはいる。

明日来る観客のために、俺たちは…演奏するだけだ。

 

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