俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第19話 バンドを始めた理由

 

 今から11年前、高校2年生の時だ。

それまで俺は、バンドとは縁もゆかりもなかった。それまで俺はずっとピアノばかりだったから。

 

いつだっただろうか。俺がバンドに興味を持ったのは。当時は父さんや母さんに反対されていた。ピアノばかりやっていたのもあって、両親からすればピアノ以外は音楽ではない。といった感じだった。

 

バンドに興味を持って、ずっと仲の良かった魁と海斗、そして1年生の時に入ってきた龍夜でバンドを結成した。その時は黙っていたのだが、やがて気付かれる。

 

「今日も良かった。また明日な」

「あぁ。また明日」

「また明日な!」

「ありがとな、魁」

 

俺たちは各自家に帰った。

俺はライブハウスで1時間程度練習をした後、家に帰った。もう20時を過ぎ、外は暗かった。

家に帰ると、リビングの薄暗い光が俺を包み込んだ。いつもの空気感じゃない。重い。

 

「遅かったんじゃないか」

「えぇ。何時だと思ってるの」

 

両親から質問される。

 

「すまん」

「何遊んできたんだ」

 

俺はその言葉に反応して素早く返した。

 

「遊んできてなんかない!」

「じゃあ何をしてきたんだ」

「バンドの活動だ」

 

父さんは立ち上がった。

 

「ピアノをやめたのか」

「あぁ、そうだ」

「なぜだ。お前はピアノじゃないと輝けないんだ」

 

俺はハッとした。

それでしか俺は認められてなかったことに。

 

「ピアノじゃないと主役になれない。それがお前だ」

「あんたがピアノを始めた理由、分かってるんでしょうね」

 

何も言い返せなかった。

 

「それでも、バンドはやっていいだろ?」

「ここまで聞いてその決断に陥るか」

 

父さんは冷酷に言った。

 

「今日はもう寝る。おやすみ」

 

俺はその場から去った。これ以上、俺の意見を反対されたくない。

 

 翌日、またバンドで練習をしているときに、俺は両親のことをバンド仲間に話した。

 

「そうか……ん、柊がギター担当になった理由ってそれか」

「そうだ」

 

海斗は手を高く上げていった。

 

「今度のライブ、来てもらえばいいんじゃない」

「え?いや、来てもらえるか?」

 

俺は海斗に言った。

 

「バンド続けたいんだろ?だったらまっすぐな気持ち伝えるべきだって」

 

海斗は俺の肩に手を置いて言った。

 

「ダメだったらその時考えればいい。今は取りあえずやってみろ」

 

海斗は笑顔で言った。だったら、やるだけやってみるか。

 

 俺は早めに家に帰って、ライブのことを両親に話した。

 

「お前、何言ってるか分かってるんだろうな」

「分かってる。ただ、一回聴いてから決めてもらえないか」

 

俺はまっすぐな気持ちを伝えた。

 

「俺はバンドをやりたい」

 

両親は黙ったままだった。

 

「これ、チケットだから。じゃ」

 

俺は自分の部屋に戻った。俺のやることは終わった。もう、これでいいんだ。

 

 

 ライブ当日

 俺はステージ裏で、みんなに両親に言ったことを話した。みんな笑顔になって俺に言った。

 

「いいじゃないか!」

「これで無理だったら考えればいい。今はこれでいいじゃん」

 

そう話していると、スタッフから呼び出しがかかった。

 

「STAR NIGHT、出番です」

『はい!』

 

俺は必死で演奏をした。両親に思いが届くように。

 

 

 家に帰ると、もう親は帰っていた。

 

「遅かったな」

「……」

 

恐らく、来ていなかったんだろう。

 

「お前の気持ち、少しは伝わった」

「……っ!じゃあ」

「まだやることがある。早く戻りなさい」

 

俺は自分の部屋に戻った。きっと、来て聴いてくれていたんだろう。

 

 そうして、俺はSTAR NIGHTのギター担当として活動し始めた。今考えると大変だった気もするが、結局バンドをやれているんだしいいんだろう。

 

「どうした、柊」

「柊くん、行こ!」

 

魁と一歌が俺を呼んだ。

 

「あぁ、行こう!」

 

今はこんなに楽しくやれている。これが、俺のバンドなんだ。

 

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