今から11年前、高校2年生の時だ。
それまで俺は、バンドとは縁もゆかりもなかった。それまで俺はずっとピアノばかりだったから。
いつだっただろうか。俺がバンドに興味を持ったのは。当時は父さんや母さんに反対されていた。ピアノばかりやっていたのもあって、両親からすればピアノ以外は音楽ではない。といった感じだった。
バンドに興味を持って、ずっと仲の良かった魁と海斗、そして1年生の時に入ってきた龍夜でバンドを結成した。その時は黙っていたのだが、やがて気付かれる。
「今日も良かった。また明日な」
「あぁ。また明日」
「また明日な!」
「ありがとな、魁」
俺たちは各自家に帰った。
俺はライブハウスで1時間程度練習をした後、家に帰った。もう20時を過ぎ、外は暗かった。
家に帰ると、リビングの薄暗い光が俺を包み込んだ。いつもの空気感じゃない。重い。
「遅かったんじゃないか」
「えぇ。何時だと思ってるの」
両親から質問される。
「すまん」
「何遊んできたんだ」
俺はその言葉に反応して素早く返した。
「遊んできてなんかない!」
「じゃあ何をしてきたんだ」
「バンドの活動だ」
父さんは立ち上がった。
「ピアノをやめたのか」
「あぁ、そうだ」
「なぜだ。お前はピアノじゃないと輝けないんだ」
俺はハッとした。
それでしか俺は認められてなかったことに。
「ピアノじゃないと主役になれない。それがお前だ」
「あんたがピアノを始めた理由、分かってるんでしょうね」
何も言い返せなかった。
「それでも、バンドはやっていいだろ?」
「ここまで聞いてその決断に陥るか」
父さんは冷酷に言った。
「今日はもう寝る。おやすみ」
俺はその場から去った。これ以上、俺の意見を反対されたくない。
翌日、またバンドで練習をしているときに、俺は両親のことをバンド仲間に話した。
「そうか……ん、柊がギター担当になった理由ってそれか」
「そうだ」
海斗は手を高く上げていった。
「今度のライブ、来てもらえばいいんじゃない」
「え?いや、来てもらえるか?」
俺は海斗に言った。
「バンド続けたいんだろ?だったらまっすぐな気持ち伝えるべきだって」
海斗は俺の肩に手を置いて言った。
「ダメだったらその時考えればいい。今は取りあえずやってみろ」
海斗は笑顔で言った。だったら、やるだけやってみるか。
俺は早めに家に帰って、ライブのことを両親に話した。
「お前、何言ってるか分かってるんだろうな」
「分かってる。ただ、一回聴いてから決めてもらえないか」
俺はまっすぐな気持ちを伝えた。
「俺はバンドをやりたい」
両親は黙ったままだった。
「これ、チケットだから。じゃ」
俺は自分の部屋に戻った。俺のやることは終わった。もう、これでいいんだ。
ライブ当日
俺はステージ裏で、みんなに両親に言ったことを話した。みんな笑顔になって俺に言った。
「いいじゃないか!」
「これで無理だったら考えればいい。今はこれでいいじゃん」
そう話していると、スタッフから呼び出しがかかった。
「STAR NIGHT、出番です」
『はい!』
俺は必死で演奏をした。両親に思いが届くように。
家に帰ると、もう親は帰っていた。
「遅かったな」
「……」
恐らく、来ていなかったんだろう。
「お前の気持ち、少しは伝わった」
「……っ!じゃあ」
「まだやることがある。早く戻りなさい」
俺は自分の部屋に戻った。きっと、来て聴いてくれていたんだろう。
そうして、俺はSTAR NIGHTのギター担当として活動し始めた。今考えると大変だった気もするが、結局バンドをやれているんだしいいんだろう。
「どうした、柊」
「柊くん、行こ!」
魁と一歌が俺を呼んだ。
「あぁ、行こう!」
今はこんなに楽しくやれている。これが、俺のバンドなんだ。