ライブが始まった。
俺はLeo/needとSTAR NIGHTの7人と一緒にステージに上がった。歓声がステージ全体に響き渡り、約10年ぶりのライブがスタートした。
「みんな、久しぶり」
海斗のその一言で始まった。その瞬間、歓声が一気に増える。
「およそ10年ぶりの復活、STAR NIGHTです」
俺が言う。歓声は拍手へと変わり、明るくなった。
「10年経っても俺たちの絆は切れないまま、今回ライブします」
「今回俺たちだけじゃ物足りないので、Leo/needにも来てもらいました」
4人全員がセリフを言った。
「みなさん、こんにちは。Leo/needギター担当、星乃一歌です。みんな全力で演奏するので、是非聴いてください!」
一歌が勇気を振り絞って言った。
「まずはSTAR NIGHTから!曲は──」
あぁ、懐かしい。
ペンライトが様々な色で光り輝き、汗をかくほどに全力で歌っている。
確か10年前もこんな感じだったっけ?みんなでライブして、ライブの次の長期休暇で気分転換に出かけて……
あ、そうだ、次はどこに行こうかな。長期休暇だったら一歌たちも休みだろう。どこ行こうかなぁ……
ライブが終わる。舞台裏にあったアンケート結果を見るために舞台裏に向かった。個人でいいと思ったバンドにシールを貼っていく。計算しやすいように、excelで先に線を引き、横20枚ずつしか貼れないようにした。
「えっと、STAR NIGHTは8列と17枚」
「Leo/needは……」
一歌は数え始める。
「8列と17枚……」
同率か……それぞれ177枚で、354枚。票入れてない人もいるが、収支は黒字。
「引き分けだな」
「俺たちと同じレベルか。Leo/needもすごいな」
バンド歴7年とかの俺たちと同レベルまで来てる。恐らく、いや、絶対に上手い。間違いない。
「私たちなんてまだまだだよ……」
「まだ改善するところはあるし」
一歌と志歩が言った。
「だって俺たちと同じレベルなんだろう?俺たちはもう累計で7年はやってるんだし、それと同じなのはすごいと思うけど」
「もっと向上させるのはいいと思うが、自信は持ってくれよ」
俺と魁が言う。
「あ、うん。それは分かってるんだけど、なんか、その、柊くんたちが何か考え事してたから」
あ、気付かれてた。さすがLeo/needだ。
「あぁ。次の長期休みにどこ行こうって考えてたんだ」
「毎年遊園地だから、他のとこも行きたいしな」
Leo/needはみんな考えていた。
「あ、でも、私たちが行くわけじゃないよね」
穂波が言った。
「え?誰が君たちと行かない、なんて言った?」
「え?」
「え?君たちも行くよ?」
咲希と穂波は向かい合って飛び跳ねた。穂波、胸、揺れてるよ。
「だからどこがいいかなって」
「……すき……」
一歌と志歩がなんか言った。
「スキー?いいね」
魁がスキーって言ってるし、多分スキーって言ったんだろうな。
「あぁ。じゃあ、スキーで決定な。スキー板とかは俺たちの知り合いが作ってくれるから。ちゃんと教えるよ」
「え、うん」
一歌は少し焦って言った。
「どしたの?一歌ちゃん」
海斗が覗き込んだ。悔しいというか、羨ましいという気持ちになって海斗より前に出た。
「なんか顔赤いね」
俺は一歌の手を掴んだ。一歌の手を握ることって、今までになかったな……
「行くよ、一歌」
俺はみんなの中から抜け出した。一歌と2人きりでいたい。そんな思いがあった。
一歌と2人でいられる、観覧車まで来た。他のみんなはSTAR NIGHTそれぞれの家や、練習場所で2人きりになっているらしい。
「一歌」
「なに……?」
一歌に俺は抱きついた。
「んん!?」
「好き」
一歌は最初は硬直していたが、ずっと抱きついているうちに力が抜けてきて、一歌からもハグしてくれた。
「私も……」
「ん。知ってた」
すると、俺の胸ポケットにあるスマホのバイブが鳴った。
「ひゃうん!?」
一歌が驚いて俺から離れる。
「あ、ごめん」
俺はスマホを取り出した。
「もしもし」
《あ、来週からのスキーさ、ちょっと話し合いたくてさ》
龍夜からだ。って、今は……
「え、あ、えっと……」
まずい、この状況見られると……
「悪い、今ちょっと外せないんだ」
俺は時計を見る。18時半、夜景が綺麗。って、そうじゃない。この近くに確かテレワークのスペースがあるはずだ。そこまで歩いたら5分くらいか?
「19時からでお願いできるかな」
《あぁ、分かった。じゃ》
龍夜は電話を切った。
「はああぁぁぁ」
俺は大きなため息をついた。
「ふふっ」
「な、なんだよ……」
「なんか、そういう柊くん初めて見た」
一歌は笑った。笑顔が天使だ。
「そ、そうか……?」
一歌のかわいさと見られた恥ずかしさで少し暑くなる。
「あ、ほら。夜景綺麗だよ」
俺は会話の話題を逸らした。それに一歌も気付いて、話を逸らしてくれた。
「ホントだ。綺麗だね……あっ、そういえば──」
夜景は綺麗だった。ただ、それよりも一歌の横顔が、俺は印象に残った。