俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第5章 STARNIGHTの思い
第21話 スキー出発


 

 12月25日。

俺たちSTAR NIGHT4人は知り合いのスキー関係こものを作っている工場に向かった。

 

「光矢さん」

 

赤崎光矢さん。俺たちよりも6つほど年上だが、昔から仲がよかった。

 

「お、龍也くんたちじゃないか。どうしたんだい、また要望か」

「察しがいいっすね」

 

龍夜が言った。

 

「28日までに、8人分のスキー板って作れます?」

 

海人が言う。無理なのは承知の上だが、せめて4人分でも……

 

「そう言うと思ったよ。実はな、もう君らの分は作ってあるんだ。27日に送ろうかと思っていたんだが」

 

さすが、光矢さん。

 

「んで、スキーウェアは」

「え?いや、レンタルですけど」

「8人分か?そんな無駄金使うなよ。もうスキーウェアは8人分作ってあるんだ。えっと、君ら4人と星空みたいな子たち4人だよな?」

 

なんで知ってるんだ?教えた覚えはないが……

 

「はい。合ってます」

 

魁が言った。

 

「は?魁、もう言ってたのか!?」

「あぁ。もう2週間くらい前に」

「スキー板は27日にはできるからな。スキーウェアはもう持って帰ってしまいなさい。27日に来るか?」

「じゃあ、そうします」

 

光矢さんはハンガーに掛けてあったスキーウェア8着を俺たちに渡した。

 

「おぉ……」

「すごいな……」

「魁くんが言ったとおり、首元にカラーセロハンが挟まってるから」

 

よく見ると、赤、黄色、黄緑、青のカラーセロハンが貼ってあった。Leo/needのメンバーカラーだ。

 

「君らのスキーウェアは楽でいいね。身長、体型みんな一緒だから」

「あはは。じゃあ、スキー板4枚持って帰っちゃいますよ」

「じゃあ、頼むよ」

 

光矢さんはスキー板4枚持ってきた。

 

「じゃ、また27日な」

「はい。ありがとうございます」

 

俺たちは車にスキーウェア、スキー板を乗せて工場をあとにした。

出発は28日。ガーラのスキー場だ。

 

 ずっと一歌たちに会えないまま27日になった。一昨日と同じように光矢さんのところに行った。明日が出発だ。

 

「おぉ、来たか。ちゃんとできてるぞ」

「ありがとうございます」

 

俺たちはそれぞれパートの人のスキー板を持った。

 

「すごいな……キラキラしてる」

「星屑か……」

 

俺たちはスキー板を車に乗せ、STAR NIGHTの家に向かった。

帰っている途中、みんなで話し合った。どこで合流するか、時間だ。時間の関係上、新幹線で行くことになる。

 

「とりあえず、どこから新幹線に乗る」

「大宮か東京だな」

 

それぞれ、魁が戸塚、海斗が学芸大学、俺が中野、龍夜が三鷹に住んでいる。Leo/needも渋谷だし、東京と大宮どっちからでも乗れる。

 

「魁が東京で合流、Leo/needと俺と龍夜が渋谷で合流すればどうだ」

「俺が恵比寿まで日比谷線ってこと?」

 

海斗が言った。

 

「そうなるな」

「じゃあ、東京から新幹線でいいな」

「待って、あの東京駅で合流できるか?」

 

確かに、少し難しいかもしれない。

 

「確かにな……」

「じゃあ、Leo/needと柊、龍夜が渋谷で合流、海斗が横浜まで来て、俺と全員が横浜で合流。これでどうだ」

 

それだったら、東海道線ホームは1つだけだし、東京駅ほど広くない。

 

「いいじゃないか。時間を調べればいけそうだ」

「じゃあ咲希たちに教えとくよ」

 

海斗はスマホでLeo/need全員に送った。

 

「んで、レンタルは何が必要だ」

「靴かな?」

 

ストックはスキー板とセットになってるし、ゴーグルは買ったし、手袋もみんなで買ったからそんなもんだろう。

 

「楽しみだな、柊」

「柊ってスノボ残ってるんじゃないの?」

 

海斗が俺に聞く。

 

「あるけど、持ってくか?」

「結構長くやってないし、それは柊に任せるよ」

 

スノボなんて久しぶりだもんなぁ。

 

「あ、みんなからOK貰ったよ」

「じゃあ、当日まで待つだけだな」

 

 

 12月27日に残りの板を取りに行って、12月28日、早朝から出発した。

時間の都合上、龍夜、俺、Leo/needは横浜ではなく品川で合流になった。また、海斗は恵比寿から山手線で品川に向かうため、品川からみんな同じ電車になった。

龍夜と俺は4:40発快速東京行きで新宿まで行き、5:03発の山手線内回りで品川まで。渋谷でLeo/needが合流する。

海斗は学芸大学5:12発和光市行きで中目黒、5:22発南栗橋行きで恵比寿、5:28発山手線内回りで品川。

品川からは全員で5:44発に乗る。

 

「おはよう、龍夜」

 

電車の中で合流した。

 

「おはよう。今日は早いな」

 

まだ外も薄暗いし、確かに早い。

 

「こうでもしないと合流できないから」

 

俺は自分のスキー板と一歌のスキー板をドア横に立てた。次が降りる駅だからというのもある。

新宿に着くと、14番線から山手線内回りに乗車。渋谷から一歌たちが乗ってくるはずだ。

渋谷に着いてすぐ、Leo/needの4人が乗ってきた。

 

「おはよう、りゅうくん」

「おはよう、柊くん」

 

志歩が俺の横に来た。

 

「あ、そうそう。君たちに少し遅れたクリスマスプレゼントがあってね」

 

そう言ったのを俺が聞くと、俺は一歌と志歩のスキー板とストックを差し出した。

 

「スキー板とストック。今日使うから、プレゼント」

「えっ、いいの?」

「これからも使うかもしれないし」

 

みんなはスキー板を押さえて、笑顔になっていた。よかった、気に入ってもらえて。

 

 品川から全員が集まり、大宮には6:25に着いた。7:09発ガーラ湯沢行き臨時に乗車するため、俺たちは新幹線改札に入り、待合室で待った。

 

「今日って何号車だっけ?」

「11号車1番ABCD、2番ABCD」

 

Leo/needは4人で固まって暖まっていた。

確かに、今日はかなり寒い。東京でも最高気温14℃と、寒い日だ。

 

「スキー、教えれるのか」

「大丈夫だって。以外といけると思うし」

 

怪我さえしなければいいだけだ。あとは楽しくやろう。

そして、待合室にチャイムが鳴った。

 

《17番線に、6:57発、はやぶさ1号新函館北斗行きとこまち1号秋田行きが17両編成でまいります。この電車は──》

 

6:57発が到着するらしい。俺たちが乗る7:09発まで12分だ。

 

「そろそろホーム行くか?」

「そうだな。みんな、行くよ」

 

Leo/needが固まってついてきた。STARNIGHT4人にLeo/need4人がついてきて、カルガモ親子みたいだった。

 

「さむーっ」

「思ったより寒いかも……」

 

咲希と一歌が身を震わせて言った。新幹線ホームは屋根と壁に覆われている、シェルターのような構造にはなっているが、それでも寒い。

 

「あと10分くらいだから。それまで待ってよう」

 

そのあと、18番線に7:01発ガーラ湯沢行きが出て行ったが、それより先に7:09発ガーラ湯沢行きが到着する。

7:08、時刻通りやって来た。俺たちが乗る11号車はグリーン車で、2人掛けシートが2組列んでいる。そこに座った。

 

「あったかーい」

「どのくらいで着くの」

 

志歩が聞いた。魁がすかさず答える。

 

「50分くらい」

 

一歌はそれを聞いてから、スキー板とストックを荷物棚に乗せ、俺の隣に座った。

 

「楽しみだね、柊くん」

「あぁ。楽しみだな」

 

一歌は外を眺める。外にすっかり夢中で、他のことは気にしていなかった。

 

「柊」

 

俺の右隣から龍夜が話しかけた。

 

「ん?どうした」

「ほなちゃん、もう寝ちゃったよ」

 

穂波を見ると、龍夜の肩に頭を乗せて、かわいい寝息をたてながら寝ていた。

 

「ホントだ」

「一歌は外に夢中だな」

「かわいいけど」

 

龍夜は笑って穂波の方を向いた。

 

「外どう?」

「速い……目に追えなくて疲れてきた」

 

一歌は背もたれにもたれ掛かって言った。

 

「まだあるからさ」

「柊くんと一緒だから何時間でもいいけど」

「一歌~~」

 

俺は一歌を抱きしめた。

 

「ちょっ、苦しいって……」

「あ、ごめん」

「けど、ありがと」

 

一歌は微笑んだ。

新幹線はスピードを上げていき、最初の熊谷を通過した。

 


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